生まれ変わって、ワールドボウル進出
佳境に入ったNFLヨーロッパ第9週の試合の感想を。
まずは、ベルリン・サンダー対ケルン・センチュリオンズの試合。
もう、なんというか、これが「モチベーションの違い」なんでしょうね。
サンダーは、全く良いところのないまま、ずるずると敗戦です。
来週も、きっとこんな感じでしょう。(これ、重要なポイントです。詳しくは後述)
センチュリオンズは、「勝率5割」を目指しての、良い勝利。
スターターに戻ったQBクリフ・キングズバリーもなかなかの活躍でしたが、
なんと言ってもこの試合は、RBジャマール・ブランチの活躍でしょう。
タッチダウンこそなかったものの124ヤードを走り、
67ヤードを走ったRBフレッド・ラッセルとの「2枚看板」で勝利に貢献しました。
思い返せば、センチュリオンズといえば、
ラッセルとRBアレックス・ヘインズの「2枚看板」が「ウリ」と思われていたところで、
ヘインズが怪我で戦線離脱して、成績も上がらなくなってしまったのでした。
ブランチが、ようやくその穴を埋めてランオフェンスが機能した、ということで、
残り1週、「勝率5割に向けての最後の戦い」も、期待が持てそうな感じです。
なお、心配された「フィールドゴール」は、
今週は20ヤード台のフィールドゴールを、キッチリと3本成功させています。
あと、この試合、センチュリオンズのWRマイケル・ガスパーソンが、
パントをブロックして、セイフティを引き起こしていたりもしました。
これは、週間MVPでしょうかね。
この2チームの「来週」については、また後ほど。
次に、ライン・ファイヤー対ハンブルグ・シーデビルズの試合。
シーデビルズの・・・というか、QBブロック・バーリンの先週の成績は、
まぐれではなく、「本物」でした。
ちょっとそれを期待してはいたのですが、いやぁ、ビックリ。
シーデビルズのスタータークォーターバックは、トッド・モーテンセンでしたが、
第1クォーターに5回中3回成功25ヤード獲得(+1ファンブル)、
というスタッツを残して、第2クォーターにバーリンにバトンタッチ。
すると、もう、その後は、モーテンセンの手にボールが戻ることはありませんでした。
それほどの、バーリンの大活躍。
結局、28回中17回成功204ヤード1タッチダウン1インターセプト。
先週ほどではありませんが、上々の成績と言って良いでしょうね。
それでも、ファイヤーのディフェンスが「さすが」だと思ったのは、
第2クォーター、バーリンに替わった途端にポンポンと進まれてしまい、
あれよあれよとゴール前5ヤード地点まで攻め込まれてしまったのですが、
ここで、CBロニエル・ウィテカーがインターセプト。
なんと、そのまま100ヤードのリターンタッチダウンとなりました。
(間違いなく、週間MVP受賞かな)
これがこの試合の先制点。
先ほど書いたように、第1クォーターにモーテンセンからファンブルを引き起こし、
ターンオーバーを奪っていたりもしましたから、
こりゃファイヤーがディフェンスで勝つな、とそんな風に見ておりました。
でも、ファイヤーのオフェンス陣が、それを全てダメにしてしまいました。
この試合のスタータークォーターバック・・・というか、
試合を通して出てきたクォーターバックは、結局QBティミー・チャン1人でしたが、
チャン自身の成績がどうこう、というよりは、全体的にダメダメ。
まずは、サック。
6回は多すぎです。
オフェンスラインが守れていないのか、チャンがボールを持ちすぎているのか・・・、
・・・まあ、多分、その両方なんでしょうけども、
さあここから行くぞ、という場面、
ことごとくサックで勢いを潰してしまっていました。
それから、反則の多さ。
これは、オフェンスだけではないのですが、
ファイヤーはこの試合、実に12回もの反則を犯しています。
これも多すぎ。
そのせいでフィールドゴールを逃した場面もありましたし、
間違いなく、これも「敗因」の1つと言えるでしょう。
あとは、作戦。
試合時間残り約6分30秒。
10対13でシーデビルズがリード。
ファイヤーのオフェンスで敵陣15ヤード地点。
フォースダウンでファーストダウン獲得まで1ヤード。
さあ、どうする!?
ここで、ギャンブルを選択したファイヤーは、あえなく失敗。
最大のチャンスが潰えました。
結果論ではなく、ここは確実にフィールドゴールで同点にしておく場面、
・・・だと思うのですが、どうでしょうか?
結局、そのまま10対13で試合終了。
まあ、とにもかくにも、ファイヤーは、全く「勝てる試合」をしてなかった、
ということですね。
ワールドボウル出場に向けて、非常に厳しくなりました。
さて、最後に、アムステルダム・アドミラルズ対フランクフルト・ギャラクシーの試合。
アドミラルズのWRスカイラー・フルトンは105ヤード獲得。
今シーズン6試合目の100ヤードレシーブで、これはNFLヨーロッパ新記録。
シーズン計では974ヤードとなり、新記録達成まで残り50ヤードとなりました。
ギャラクシーのRBロジャー・ロビンソンは121ヤード獲得。
今シーズン6試合目の100ヤードラッシュで、これはNFLヨーロッパタイ記録。
シーズン計では954ヤードとなり、新記録達成まで残り103ヤードとなりました。
・・・と、まあ、両「記録男」が、しっかりと自分の役割を果たしたこの試合。
どちらも素晴らしいですが、どちらの方がより素晴らしかったかというと、
それは、フルトンの方なのではないでしょうか。
なんといっても、アドミラルズはクォーターバックが替わっています。
「クォーターバックが替わっても100ヤードレシーブできる」というのは、
ワイドレシーバーとしての能力の高さを表しているものでしょう。
あと、この試合で目立ったのは、アドミラルズディフェンス陣の頑張り。
インターセプトが2つに、ファンブルフォースでのターンオーバーが1つ。
また、2人のクォーターバックに対して計5サック。
ギャラクシーのオフェンスを、耐えて耐えて耐え抜いて、
前半、フィールドゴール2本に抑えたことが、最終的に効いていたように思います。
ここまでのところ、アドミラルズは「ハイパワーオフェンスのチーム」で、
その分ディフェンスも取られまくっていた、という感じでしたが、
この試合を見る限りでは、そういうことはなくなっていました。
その結果。
確かに派手さはなくなりましたが、コツコツと点を積み上げ、
そして、しっかりと守ったアドミラルズが、
この「頂上決戦」を制することとなりました。
ついにワールドボウル進出決定。
「生まれ変わった」アドミラルズが、大舞台でどんな試合を見せてくれるのか。
今から2週間後が楽しみです。
さて。
「残り1席」がどうなるか。
現在、ギャラクシーが6勝3敗で、ファイヤーが5勝4敗なので、
ギャラクシーが1歩リードしていることに変わりはありませんが、
ただ、「直接対決」なら、得失点差でファイヤーが上位になります。
つまり、来週の試合、ギャラクシーが負けてファイヤーが勝てば、
ファイヤーがワールドボウル進出。
それ以外なら、ギャラクシーがワールドボウル進出です。
で、その来週の対戦相手ですが、
ギャラクシーはサンダー、ファイヤーはセンチュリオンズ・・・という。
はっきり言いまして。
ギャラクシーが圧倒的優位です。
最初の方で書きましたとおり、もう、サンダーには「勝つ気力」が見られません。
それに対して、センチュリオンズには「勝率5割」というはっきりとした目標があります。
ファイヤーはセンチュリオンズに苦戦するでしょう。
そして、なんとかその試合に勝ったとしても、ギャラクシーが楽勝していて、
結局、ワールドボウル出場はギャラクシー、ということになると思います。
ホント、ファイヤーは今週、痛い星を落としました。
以上、NFLヨーロッパ第9週の試合の感想でした。