気分良く終えられた人、終えられなかった人



NHKBS1で放送されていた、NFLプロボウルの感想を。


いやぁ、面白かったですね。


途中、ちょっとグダグダだった感はありましたが、
最後に帳尻を合わせた(?)ような。


この試合のMVPはシンシナティ・ベンガルズのQBカーソン・パーマーでしたが、
「試合を面白くしたで賞」をあげるとしたら、
AFCビル・ベリチックヘッドコーチになるんじゃないですかねぇ。


第1クォーターに、ネタで仕込んだ「出来ないはずのチャレンジ」をしたのも最高でしたが、
第4クォーター終盤のNFCオンサイドキックのとき、
あれ、絶対に、わざと相手に取らせていたんじゃないでしょうか。


いや、いくらプロボウルでも、
オンサイドキックを無理してリターンチームが取りにいっちゃダメ」、
というルールは無いでしょうし。


おかげで、面白い展開となりました。


対する、NFCショーン・ペイトンヘッドコーチもなかなか。


トライフォーポイントでのフェイクで、
ダラス・カウボーイズの「ホールダートニー・ロモにパスを投げさせたのは、
明らかに、プレーオフでの失敗の場面を意識(再現)したものでしょう。


解説では、「ここで2点を取って、次のタッチダウンで逆転できるように」、
と言われていましたが、明らかに、それは必要ない場面です。


完全に、勝負度外視の「盛り上げ」プレーでしたね。


プロボウルは、そうじゃないと。


試合の最初の方で、「何もロモにホールダーさせなくても・・・」と言われていましたが、
あの嫌な終わり方でオフシーズンを迎えるよりは、
「終わったこと」と、全てをふっ切ってオフシーズンを迎える方が、
ロモにとっても良いことでしょう。


もちろん、ロモ自身が嫌がっているなら、ホールダーを引き受けないでしょうし、
何より、あんなプレーは絶対にしないでしょう。(あらかじめ練習していたからこそ)
しっかりとふっ切っているようで、何よりでした。


その後、タッチダウンパスとツーポイントコンバージョンを成功させ、
本当に良い形で試合を終われたのも良かったですね。


また、NFCが同点に追いついたおかげで、もう1人、
「良い形」でシーズンを終えることが出来た選手がいます。


それは、サンディエゴ・チャージャーズKネイト・キーディング


チャージャーズプレーオフで負けたとき、
最後、キーディングの「フィールドゴール失敗」で終わっていたんですよね。


2年前のプレーオフのときとは違い、今回は54ヤードという長距離で、
キーディング自身の責任とは言えない「失敗」でしたが、
それでも、本人は、気分が良いものではないでしょうし、
しかも、この試合でも、第1クォーターに1本失敗していましたから、
このまま終わっていては、かなり嫌な気分でオフシーズンを迎えるところでした。


それが、「決勝フィールドゴール成功」で終われたのですから、最高の終わり方で。


リラックスして、オフシーズンを迎えられること。
それが、プロボウルの意義の1つでしょうね。


・・・ああ、それなのに・・・。


ニューオリンズ・セインツのQBドリュー・ブリーズは、
なんて、ついていないんだろうか・・・。


こんな試合で怪我をするなんて。


思い返してみると、昨シーズンも、レギュラーシーズン最終第17週、
既にプレーオフ進出の望みがなくなっていた「消化試合」で怪我を負い、
それが、チャージャーズを放出される一因となっていました。


うーん、どういう星の元に生まれているんだか・・・。


ブリーズといえば、プロ入り4年目という、
普通ならまだ「若手」と言われるところで「カムバック賞」を受賞しているように、
もう、「苦労人」が代名詞のような選手ですが、
今回の件も、そんなブリーズならではと言えなくもないですね。


ただ、今シーズンも、結果的に、自分の力でそれを「プラス」に変えたように、
今度もまた、「プラス」となるように頑張ってもらいたいものです。


なお、怪我は、「左ひじの脱臼で全治2ヶ月」ということらしいです。
試合中に解説でも言われていましたが、
投げるほうの腕ではなかったことが、不幸中の幸いでした。


・・・と、ブリーズの件は残念でしたが。


今回のプロボウルで面白かったのは、あとは、
プレイコールを直に聞くことが出来たことでしょう。


もちろん、プレイコールの中身はさっぱり分かりませんが、
普段は、絶対に聞くことが出来ないものですからね。


しかも、ハドルの中にカメラが入っていて、
プレイコールクォーターバック(そのときはロモでした)が他のメンバーに伝える様子とか、
そんなものまで見られたのは、本当に面白い試みだと思います。


シーズン中の「本気の試合」で同じことをやったら、
きっと、相手チームスタッフがテレビをチェックしてディフェンスが即対応するんだろうなぁ、
・・・とか、普通に想像できてしまうところが、NFLの恐ろしいところですが。


あとは、元デンバー・ブロンコスTEシャノン・シャープの「突撃インタビュー」も、
ズハズバと聞いていて、なかなか凄かったですね。


もちろん、チャージャーズRBラデイニアン・トムリンソンの件も、
マイアミ・ドルフィンズDEジェイソン・テイラーの件も、
既に報道されていたことではありますが、
そういったことを、まとめて本人たちにしゃべらせていたのは、
プロボウルならではでしょうし、シャープがインタビュアーだからこそでしょう。


ちなみに、トムリンソンの件は説明されていましたが、テイラーの件はどういう件なのか、
特に放送内で説明が無かったので、ここで、フォローしておきますと、
薬物規定違反で4試合出場停止となっていたチャージャーズLBショーン・メリマンが、
プロボウルに選出されたことについて、少々、物議を醸していたのですが、そんな中、
「薬物規定に引っかかった選手は、その年のプロボウルに選出されるべきではない」、
テイラーが発言した・・・ということですね。


その前の、「最優秀守備選手賞」選出の過程でも、
メリマンは薬物規定違反が影響して選出されず、それでテイラーが選出された、
・・・なんて言われたりしていたのも、伏線としてあったので、
「すわ、メリマンテイラーの争い勃発か!?」となっていたわけです。


しかし、テイラーについては、シーズン中の放送でインタビューされていたときに、
「気は優しくて力持ち」と書いていましたが、そういう生真面目な印象が強いので、
「発言は、メリマン個人に対するものではなく、NFL全体に投げかけたものだ」、
というテイラーの言葉は、すんなりと納得できるのではないでしょうか。


マスコミが、変な方向で「盛り上げて」いただけ、ということで。


テイラーの「提案」は、早速、ロジャー・グッデルコミッショナーにも受け入れられて、
来シーズンから適用されるのではないかと言われているようです。


それにしても、シャープのインタビューの中でも、
ダラス・カウボーイズWRマイケル・アーヴィンに対するインタビューは、
特に面白かったですねぇ。


素行の悪さが原因で、なかなか殿堂入り出来なかったことに対して、
「悪いことをすると報いがあることを子供たちに教えられて良かった」なんて、
もちろん、殿堂入り出来たからこそ言える「軽口」の面はあるのでしょうが、
それでも、なかなか言えるものではありません。


いやぁ、ちょっとアーヴィンを見直したなぁ。


そうそう、あとは、プロボウルの「代替出場」の選出過程が、
今回、ちょっと分かりましたね。


昨シーズンのときに、AFCクォーターバックで追加選出されたのが、
「なんで、ピッツバーグ・スティーラーズQBベン・ロスリスバーガーじゃないんだ?」、
・・・というようなことを書いていましたが、
やっぱり、オファーがあっても本人が辞退した、ということなんでしょう。


で、その「オファー」は、元々の投票結果には関係なく、
ヘッドコーチが勝手に指名できるんだなぁ、と。


ニューイングランド・ペイトリオッツQBトム・ブレイディが、
ゴルフの試合に出場するため辞退したことは知っていましたが、
テネシー・タイタンズQBヴィンス・ヤングが選ばれた経緯が、
ボルチモア・レイヴンズQBスティーヴ・マクネアに薦められたから」だとは。


そんなこともあるんだなぁ、とちょっとビックリしました。


・・・以上。


これで「シーズン」は終了ですが、個人的には、NFLが本当に面白いのは、
「オフシーズンの動き」があるからこそ、だと思っています。


ドラフトに至る流れもそうですし、サラリーキャップ制のおかげで、
フリーエージェントの動きも活発ですからね。
それを追いかけるだけでも、楽しいところで。


感覚的には、ドラフト(+その後のドラフト外契約)が終わって、初めて、
「一区切り付いたなぁ」という感じでしょうか。


更に、NFLヨーロッパも追いかけようものなら、その後はトレーニングキャンプ
そして、プレシーズン開幕も間近。
もう、ほとんど、エンドレスです。


ちなみに、昨年は、サッカーワールドカップの影響により、
NFLヨーロッパの日程が2週間早まっていたので、
プロボウルが終わった瞬間にNFLヨーロッパの話題満載でしたが、
そういう意味では、今年はここから1週間が「オフ」でしょうか。


来週末には、もう、「スカウティングコンバイン」が待っています。


さあ、ここから、もっともっと、NFLを楽しんでいきましょう!