4プレーでファーストダウン



NFLディビジョナルプレーオフNHKBS1で放送していた、
ジャクソンビル・ジャガーズニューイングランド・ペイトリオッツの試合の感想を。


まあ、とりあえず、ペイトリオッツQBトム・ブレイディの「完璧さ」は置いておいて。
(それにしても、この試合は、いつも以上に凄かったけど)


ジャガーズQBデイヴィッド・ギャラードも、負けず劣らず頑張ってましたね。


先週の試合を見て、単なる「走るクォーターバック」になったら嫌だな、
・・・と思っていたので、パスの好調さを取り戻してくれたのは嬉しいものがありました。


もちろん、ペイトリオッツディフェンスがランを警戒してくるだろうから裏をかいた、
ということもあるのでしょうが、それも、ギャラードの良さがあってこそ。


そういえば、ポケットの中での粘りと、ラッシュのかわし方は、
ピッツバーグ・スティーラーズQBベン・ロスリスバーガーのようだな、と、ふと思ったり。


今まで考えたことなかったけど、もしかしたら、似たタイプなのかも・・・?
(「走力」はギャラードの方がありそうだけども)


やっぱり、こういうクォーターバックは、好きですね。


どうか、来シーズン以降も、このまま成長をしていってもらいたいものです。


さて、これで「17勝0敗」となったペイトリオッツ


その強さについての説明は、いろいろなところでされまくっているのですが、
この試合を見て、改めて僕が感じたのは、ペイトリオッツオフェンスは、
「他のチームと違う「前提」でプレーしているんじゃないか」ということで。


以前から、そう感じることは多かったのですが、
他のチームのオフェンスが「3プレーでファーストダウン」を取りにいっているのに対し、
ペイトリオッツは「4プレーでファーストダウン」を取りにいっているように思うのです。
(もちろん、いつでもどこでも、というわけではないですよ)


この試合、最初のジャガーズオフェンスとペイトリオッツオフェンスで、
共にフォースダウンギャンブルがあったのですが、ここで、違いを感じました。


まず、ジャガーズ側は、「敵陣43ヤード地点で残り1ヤード、よし、ギャンブル行こう!」、
・・・という、まあ、よくある判断がされていたと思います。


これは、しばしば見かける判断で、特に驚くに値しないでしょう。
(「敵陣43ヤード地点」というあたりに、この試合にかける思いは感じますけどもね)


でも、ペイトリオッツ側は、
「敵陣40ヤード地点で残り5ヤード、よし、ギャンブル行こう!」、
・・・という判断がされたようには見えませんでした。


その直前が、「サードダウン残り2ヤード」で、ランプレーをして3ヤードもロスしたのに、
そこからギャンブルにいくのに、全く、何の混乱も見られなかったからです。
ブレイディにも、他の選手にも)


では、どんな判断があったのか。


もちろん、これは、想像でしかないのですが、
「敵陣45ヤード地点でファーストダウン、よし、4プレーしよう!」、
・・・と、そんな判断でプレーが行われたのではないでしょうか。


だから、サードダウンでロスしようとも、すんなりとギャンブルにいけたのではないかと。


もし、本当にその通りだったとすると、
それは、「ギャンブルにいくときに混乱しない」以上のアドバンテージがあると思います。


何せ、最初から「4プレーでファーストダウンを取れば良い」と考えているのであれば、
そのプレー選択の幅が、大幅に広がるからです。


それに対し、相手ディフェンスが「3プレーで止めよう」と考えているのなら、
裏をかくのも容易になり、結果として、フォースダウンまで行かずに、
2・3プレーでファーストダウンを取ることも容易になるでしょう。


これは、大きな違いですよ。


そして、どういう位置で、こういう判断が行われるのか・・・と考えると、
それは、ハーフラインから敵陣35ヤード地点あたりでファーストダウンになったとき。


これより手前だと、ちょっと危険ですし、これより先なら、フィールドゴールを狙えます。


で、実は、これが重要だと思うのですが、多くのチームのディフェンスにとって、
ここは、「このあたりで止めればOK」と考えるエリアなのではないでしょうか。


自陣20ヤード地点からハーフラインあたりまでは、すんなりと進むのに、
そこから先になると、突然進まなくなる・・・というのは、
NFLの試合を見ていると、よく見かけると思います。


ここで止めれば、相手のオフェンスをパントで終わらせることができるわけで、
いわば、得点できるか無得点で終わるかの「境界域」。


当然、多くの対策をつぎ込んでいるところでしょうに、
相手オフェンスが、違う「前提」でプレーをしてきたら、対策の意味がなくなってしまいます。


ということは、ここで、他のチームよりプレー選択に幅を持てることが、
爆発的な「得点力」の要因の1つになっているんじゃないか、とも思ったりするわけです。


・・・とはいえ。


これは、「机上の空論」に終わる可能性が高く。


そんなことをやって、フォースダウンギャンブルを失敗しまくった日にゃ、
もう、全く試合にはならないです。


実際に出来るのは、とんでもないパス成功率の高さがあるおかげなのでしょうから、
結局のところ、「ブレイディが凄いから」というところに集約されちゃうのかもしれませんね。


・・・って、それを言ったら、元も子もない?


まあ、何はともあれ、今後、
そういう目でペイトリオッツオフェンスを眺めてみるのも面白いかもしれないな、と、
そんなことを思った次第です。


以上、ディビジョナルプレーオフジャガーズペイトリオッツの試合の感想でした。