プレッシャーの中で



NFLプレシーズンゲーム第3週、最後の1試合、
シンシナティ・ベンガルズアトランタ・ファルコンズの試合の感想を。


現在、アメリカ国内は、ファルコンズのQBマイケル・ヴィックのニュースで持ちきり。
スポーツニュースのみならず、一般のニュースでも大きく取り上げられているようです。


そんな中、ファルコンズのQBジョーイ・ハリントンは、
未だかつて無いプレッシャーに晒されていると言ってもよいのではないでしょうか。


恐らく、5年前、ドラフト全体3位指名でNFL入りしたとき以上に。


今日、CNNのニュース番組を見ていたら、ヴィックのニュースに関連し、
「本日の試合では、代わりのQBジョーイ・ハリントンファルコンズを勝利に導いた」、
というようなことまで触れられていました。


ヴィックが去った後のクォーターバック」として、
普段NFLにそんなに興味の無い人たちからも注目を浴びる存在になってしまっています。


勝っても負けても、ヴィックと関連させて報じられるのは間違いなく、
それは、あまり嬉しい注目のされ方ではないので、嫌な気持ちはあるでしょうね。


僕がこれまで、ハリントンを応援しながら見てきた中で感じていたことの1つに、
「プレッシャーに弱い」というものがあります。


試合の中で、調子が良いときは、ポンポンとパスを決めまくるのに、
1度サックをされたりすると、途端に縮こまってしまったり、とか。


あとは、「気が弱い」。


デトロイト・ライオンズ時代の終わりごろ、
既にチームメイトからも成績の悪さで批判される存在になっていたためか、
タッチダウンパスを決めた後、エンドゾーンまで走っていったのに、
喜びの輪に加われず、輪の外で所在無さげにしていた映像が、
今でも目に焼きついています。


そんなハリントンにとって、今の状況は、非常に辛いものかもしれません。


しかし、逆境は、今まで何度も経験してきました。
今のハリントンは、2年前(ライオンズ時代末期)とは違うでしょう。


これを乗り越えて、より素晴らしいクォーターバックに成長してもらいたいと願っています。


頑張れよー!!


さて、そのハリントンは、この試合、第3クォーター最初のドライブまで出場し、
パス21回中13回成功164ヤード獲得2タッチダウンと、素晴らしい成績でした。


前半の終盤には、あっけなくドライブが終わってしまったりもしていましたが、
調子に乗ったときには、ポンポンとパスを通していけるのが、ハリントンの良いところ。


最初のタッチダウンドライブなんかは、まさにそんな感じでしたね。


非常に良い「上昇曲線」を描いて開幕を迎えられるのは何よりです。


ただ、良くないところもありまして、それは3回の被サック


数自体も少々多いですが、先ほどもちょっと書きましたように、
サックされると縮こまってしまう、というようなところが、やはり見られるように思います。


記録を見返してないので、あくまでイメージなのですが、
ハリントンは、サックされた後、そのドライブファーストダウンを取れることが、
あまり無いのではないかと。(他のクォーターバックと比べて、かなり少ないような)


そのあたりは、今後の課題だと思いますし、
そもそも、サックされないようにすることも大事なことですね。


成長を期待しています。


一方、ベンガルズのQBカーソン・パーマーも、
第3クォーター最初のドライブまでの出場で、ハリントンと似たような成績。


こちらも、良い「最終調整」となったのではないでしょうか。


なお、ベンガルズの3番手QBジェフ・ロウは、この試合は出場しませんでした。
来週の試合での活躍を期待します。


他で気になったのは、ファルコンズランニングバックは、
RBウォリック・ダンが復帰してきたのですが、まだ本調子ではないようで、散々な成績。


走ってはロス、走ってはロスという感じでした。


先週、「大事なところで信用が置けないんじゃないか」と書いたRBジェイソン・スネリングは、
今週の試合では、それほど悪くもなく。
ただ、まあ、後半の出場ですからね。


ダンの調子が上がらないようだと、
ファルコンズは、ランオフェンスが全く機能しなくなりそうなので、
なんとか、開幕までに間に合ってもらいたいものです。


また、この試合、ファルコンズPマイケル・ケイネンが、
54ヤードと53ヤードのフィールドゴールに挑戦し、どちらも失敗。


ファルコンズキッカーは、Kビリー・カンディフで間違いないですが、
今シーズンも、長い距離のフィールドゴールケイネンが担当するかどうか、
・・・ということを、試している最中なんだと思います。


昨シーズンは、それで、ちょっと失敗してしまったところもありましたからね。


個人的には、そういうのは面白くて良いと思うのですが、
ただ、この試合でも結果が伴わなかったので、
このままだと、レギュラーシーズンでは見られないことになるかもしれません。


下手に挑戦して失敗すると、折り返しの相手オフェンスが怖いですし。


さて、そして。
この試合では、もう1つ。


ファルコンズWRノリアキ・キノシタが、
キックオフリターンで2回40ヤード、レシーバーとして1回12ヤードを記録しました。


これは、なかなか良かったんじゃないでしょうかね。


特に、後半最初のキックオフ時のリターンは、
相手のキックオフが53ヤードしか飛ばなかった中で、23ヤードリターンしたというもの。


キックオフが飛ばない、ということは、それだけ相手カバーチームも近いわけですから、
必然的に、リターン距離は伸びにくくなります。


ですから、価値は「23ヤード」という数字以上に高いと思います。


例えば、ゴールラインまでボールが飛んで(70ヤードのキックオフ)、
そこから23ヤードリターンしたとしても、まあ及第点というところでしょうが、
自陣17ヤード地点からの23ヤードリターンは、値千金。


何せ、自陣40ヤード地点からオフェンスを始められますからね。


ちなみに、このドライブは、フィールドゴールに結びつきましたが、
それは、キノシタの好リターンがあってこそ、とも言えるわけです。


レシーブも、試合終盤、逃げ切るためにファーストダウンが欲しいところでの12ヤード。
結果として、これが、この試合最後のファーストダウン獲得となっています。


良いアピールとなったのではないでしょうか。


もちろん。
だからといって、ロースター残留が出来るかどうかは分かりません。


「良い選手」が解雇されていくことなど、NFLではよくあることです。
他の選手との兼ね合いもありますし。


これを書いている時点では、ファルコンズの「ロースターカット」対象選手は、
まだ発表されていませんが、数時間後には決定しています。


なんとか乗り切って、来週の試合でも活躍を見たいものですね。
(来週は、主力選手が出場しないので、プレーに絡む機会も多くなりそうですし)


以上、プレシーズンゲーム第3週、最後の1試合の感想でした。