解禁後1週間の状況の比較



さて、フリーエージェント解禁から1週間が過ぎました。


この1週間にあった最大のニュースといえば、
アトランタ・ファルコンズQBジョーイ・ハリントンの解雇ですが、
そろそろ皆さん、そのショックからは立ち直れた頃でしょうか。


・・・うん、それは無い。


えー、ハリントンについて、ちょっと書いておくと。


さっさと解雇されると思っていたのに、ここまで引き伸ばされていたので、
「あれ? 残す気あるのかな・・・?」と思い始めていたのですが、
なんだ、やっぱり解雇するんじゃん・・・という感じでしょうか。


だったら、フリーエージェント解禁の前に解雇してくれていれば、
ハリントンも、今後に向けて動きやすかっただろうになぁ。


ところで、本日、「フリーエージェント解禁後1週間の状況」を載せるために、
昨年の状況と比較しようと、「昨年3月9日の日記」を見てみたところ、
そこに、「マイアミ・ドルフィンズを解雇されたハリントン」という表現がありまして。


そうか、そういえば、昨年も同じような時期に解雇されていたんだなぁ、
・・・と詳しく調べてみたら、「同じような時期」どころか、
全く同じ「3月5日」に解雇されていました。


・・・何? ハリントンの厄日・・・?


ともかく、どちらにせよ、「フリーエージェント解禁後1週間以内」に解雇されたわけで、
本当にこの人は、間が悪いんだなぁ・・・ということが、
こんなところからも見て取れるような気がしてなりません。


不憫な。


またどこか、拾ってやってください。


ちなみに昨年は、約1ヵ月後の4月9日にファルコンズと契約していますが、
今年はどうなるんだろうなぁ。


さて、ハリントンについて書き始めると止まらないので、これくらいにして、
本題の「フリーエージェント解禁後1週間の状況」に移ることにしましょうか。


このデータは、過去2年取っているので、いろいろと比較できそうです。


では、まず、ポジションごとの契約状況を。


なお、契約(合意)者については、例によって、
NFL選手ステータス」のページに載せたものを正としております。


それから、前回、「フリーエージェント初期データ」を訂正しましたが、
その後、「解禁前に既に残留契約済み」という選手が、
結構混じっていることが判明し、その選手分は除いてありますので、
どうぞ、ご了承ください。(11人)


・・・来年から、情報ソース変えようかな・・・。

  未決定 残留 移籍 決定率
クォーターバック 15 4 3 22 31.8%
ランニングバック 32 2 7 41 22.0%
ワイドレシーバー 26 5 6 37 29.7%
タイトエンド 24 3 6 33 27.3%
オフェンスライン 57 2 7 66 13.6%
ディフェンスライン 48 4 11 63 23.8%
ラインバッカー 37 7 14 58 36.2%
ディフェンスバック 76 5 12 93 18.3%
スペシャルチーム 11 2 1 14 21.4%
326 34 67 427 23.7%



ああ、そうだ、その前に「全体の状況」ですね。


ご覧のとおり、合計101件の契約が決定しており、
「契約決定率」は「23.7%」と、約4分の1となっています。


実は、偶然にも、昨年も「解禁後1週間」の決定件数は101件でして、
「決定率」としても「22.5%」と、非常に似通った状況となっています。


それに対し、一昨年は、「決定率」が「27.0%」という、やや高いものだったのですが、
これは昨年も書いたように、労使交渉の遅れにより、
解禁が8日遅れになったことが影響していた、ということになるのでしょう。
(「解禁後1週間」で、もう3月の半ばを過ぎてしまっていますので)


ただし。


合計件数こそ昨年と同じですが、実は、内訳が大きく異なっておりまして、
今年は「残留34件・移籍67件」なのに対し、
昨年は「残留47件・移籍54件」でした。


「解禁後2日」のときに書いていたように、昨年は残留傾向が強く、
今年は移籍傾向が強いので、予想されたことではあるのですが、
それにしても、残留件数が移籍件数の約半分というのは、極端な移籍傾向ですねぇ。


なかなか面白いものです。


ポジション別では、ラインバッカー選手の契約の進みが最も早いようで。


昨年・一昨年は、ラインバッカー選手の契約の進みは決して早くなかったので、
これは、「今年の特徴」と言えるところかもしれません。


次いで「決定率」が高いのは、クォーターバック選手。


というか、結局、クォーターバックは、最初の1日で一気に7人が契約して以降、
1人も契約していないんですね。


ドラフト前のクォーターバックの動きは、もう終わった、ということなのかな。
(QBブレット・ファーヴが引退したグリーンベイ・パッカーズを除いて)


「残留」が「移籍」より多いのは、そのクォーターバック選手と、スペシャルチーム選手のみ。


スペシャルチーム選手は、如何なる年であっても、
残留傾向が強いポジションのようですね。(イメージどおり?)


ちなみに、スペシャルチーム選手で移籍している「1人」というのは、
例の、シアトル・シーホークスからセントルイス・ラムズに移籍したKジョシュ・ブラウンです。


その他のポジションは、まあ、見てのとおり、完全に移籍傾向。


「解禁後2日」の時点では全く進んでいなかったオフェンスライン選手の契約も、
それなりに進んでいますね。


あ。
今、気が付いたのですが。


昨年:
 スペシャルチームランニングバックタイトエンドオフェンスラインディフェンスライン
  →ワイドレシーバーラインバッカーディフェンスバッククォーターバック
今年:
 ラインバッカークォーターバックワイドレシーバータイトエンドディフェンスライン
  →ランニングバックスペシャルチームディフェンスバックオフェンスライン


この時点の「決定率」の高い順に、昨年と今年のデータを並べてみたのですが、
ちょうど真ん中の「ディフェンスライン」を境として、
ほぼそっくり、入れ替わってませんか? (完全にじゃないけども)


これは、前の年に需要が高いと、次の年は需要が低くなる、
・・・ということを、如実に表しているのかもしれません。


ああ、まさに、フリーエージェント「市場」だなぁ。


ちなみに、今、ちょうど真ん中の「ディフェンスライン」・・・と書きましたが、
昨年、この中でもディフェンスタックル選手の契約の進みが非常に遅かったのに対し、
今年は、ディフェンスタックル選手の移籍が非常に目立っていたりします。


これも「市場」。


ポジション別は、こんなところで。


次は、「旧所属チーム」ごとの契約状況を見てみましょう。

  未決定 残留 移籍 決定率
アトランタ・ファルコンズ 10 1 1 12 16.7%
アリゾナ・カーディナルズ 22 0 2 24 8.3%
インディアナポリス・コルツ 11 0 0 11 0.0%
オークランド・レイダーズ 7 1 4 12 41.7%
カロライナ・パンサーズ 14 1 1 16 12.5%
カンザスシティ・チーフス 9 0 2 11 18.2%
クリーブランド・ブラウンズ 15 2 1 18 16.7%
グリーンベイ・パッカーズ 9 0 1 10 10.0%
サンディエゴ・チャージャーズ 7 1 2 10 30.0%
サンフランシスコ・49ers 7 0 3 10 30.0%
シアトル・シーホークス 12 0 3 15 20.0%
シカゴ・ベアーズ 4 1 4 9 55.6%
ジャクソンビル・ジャガーズ 10 1 3 14 28.6%
シンシナティ・ベンガルズ 12 2 2 16 25.0%
セントルイス・ラムズ 13 1 0 14 7.1%
ダラス・カウボーイズ 11 0 1 12 8.3%
タンパベイ・バッカニアーズ 9 2 1 12 25.0%
デトロイト・ライオンズ 13 4 5 22 40.9%
テネシー・タイタンズ 15 0 6 21 28.6%
デンバー・ブロンコス 8 3 0 11 27.3%
ニューイングランド・ペイトリオッツ 7 6 3 16 56.3%
ニューオリンズ・セインツ 7 5 2 14 50.0%
ニューヨーク・ジェッツ 4 0 2 6 33.3%
ニューヨーク・ジャイアンツ 7 0 3 10 30.0%
バッファロー・ビルズ 9 1 4 14 35.7%
ピッツバーグ・スティーラーズ 10 0 1 11 9.1%
ヒューストン・テキサンズ 14 0 3 17 17.6%
フィラデルフィア・イーグルス 5 0 1 6 16.7%
ボルチモア・レイヴンズ 13 0 0 13 0.0%
マイアミ・ドルフィンズ 12 1 1 14 14.3%
ミネソタ・ヴァイキングス 5 0 5 10 50.0%
ワシントン・レッドスキンズ 15 1 0 16 6.3%
326 34 67 427 23.7%



コルツとレイヴンズからは、まだ1人も行き先が決まってないんだなぁ。


「解禁後2日」のときに書いたように、昨年は、こういうチームはなかったのですが、
一昨年は、1チームありました。


ですから、別にそれほど珍しい事態とは言えないのかもしれませんが、
そのときは、8人しか対象者のいないジェッツだったので、
11人のコルツと13人のレイヴンズから1人も決まっていないのは、
ちょっとだけ変わっているのかもしれません。


しかし、レイヴンズは、流出傾向が収まっても、
まだ、「残留傾向」とまではいってないのね・・・。


さて、逆に、ペイトリオッツ、ベアーズ、ヴァイキングスといったあたりが、
既に半分以上の選手の行き先が決まっているチームとなります。


ただし、この中でも、ベアーズやヴァイキングスは「流出しまくり」なのに対し、
ペイトリオッツは残留率が非常に良く、ちょっと対照的な状況です。


やっぱり、強いチームは、残留が多い方が、
翌年も強さを維持できるんだろうな・・・と思えるところですが。


昨年、この時点で残留人数が最も多かったのはテキサンズで、
一昨年は、スーパーボウル王者のスティーラーズ


テキサンズは、翌年(つまり今シーズン)、成績を上げましたが、
スティーラーズは、翌年、成績を下げております。


・・・まあ、人数だけ見ても、仕方がないんですけどもね。
(しかも、フリーエージェント対象者だけしか見てないし)


同じことは、流出が多いチームにも言え、
昨年はドルフィンズ、一昨年はレイヴンズでした。


ドルフィンズの「翌年」については、記憶に新しいところですけれども、
一方、レイヴンズは翌年、見事に地区優勝を果たしておりました。


今年はタイタンズ


さあ、どっちだ?


なお、今年は全体的に「移籍傾向」にありますから、
もちろん、ほとんどのチームは流出の方が多くなっているのですが、
そんな中、前述のペイトリオッツや、ブロンコス、そして、セインツあたりは、
非常に良い「残留傾向」を見せています。


このあたりは、次の、「新所属チーム」ごとの契約状況でも見て取れます。

  残留 移籍
アトランタ・ファルコンズ 1 4 5
アリゾナ・カーディナルズ 0 1 1
インディアナポリス・コルツ 0 0 0
オークランド・レイダーズ 1 2 3
カロライナ・パンサーズ 1 3 4
カンザスシティ・チーフス 0 1 1
クリーブランド・ブラウンズ 2 2 4
グリーンベイ・パッカーズ 0 0 0
サンディエゴ・チャージャーズ 1 0 1
サンフランシスコ・49ers 0 3 3
シアトル・シーホークス 0 1 1
シカゴ・ベアーズ 1 0 1
ジャクソンビル・ジャガーズ 1 4 5
シンシナティ・ベンガルズ 2 1 3
セントルイス・ラムズ 1 3 4
ダラス・カウボーイズ 0 0 0
タンパベイ・バッカニアーズ 2 7 9
デトロイト・ライオンズ 4 1 5
テネシー・タイタンズ 0 0 0
デンバー・ブロンコス 3 3 6
ニューイングランド・ペイトリオッツ 6 3 9
ニューオリンズ・セインツ 5 2 7
ニューヨーク・ジェッツ 0 4 4
ニューヨーク・ジャイアンツ 0 1 1
バッファロー・ビルズ 1 2 3
ピッツバーグ・スティーラーズ 0 1 1
ヒューストン・テキサンズ 0 2 2
フィラデルフィア・イーグルス 0 2 2
ボルチモア・レイヴンズ 0 1 1
マイアミ・ドルフィンズ 1 8 9
ミネソタ・ヴァイキングス 0 4 4
ワシントン・レッドスキンズ 1 0 1
引退 0 1 1
34 67 101



まだ1人も、「残留」も「移籍加入」もしていないのは、
コルツ、パッカーズカウボーイズタイタンズの4チーム。


一昨年はレイダーズ、昨年はベアーズと、
こういうチームは1チームずつだけだったので、
今年は、なんか、変な偏りがあるようです。


うーん・・・、どういう傾向なんだ・・・?


そういえば、この4チーム、全部プレーオフ進出チームですね。


昨年のベアーズもスーパーボウル進出チームでしたし、
こういう「好成績チーム」に起こりやすいこと・・・なのでしょうかね。


移籍加入が多いチームは、やはりドルフィンズで8人。


そして、それに次いで、バッカニアーズも7人と目立つようになってきました。


上の表を見るだけでも、この2チームの「飛び抜けっぷり」が見て取れると思いますが、
昨年と一昨年、同時期に最も移籍加入が多かったチームの、その人数は「5人」でしたから、
これは、本当に多いということが分かります。


・・・やっぱり、なんか偏ってる?


残留が多いのは、前述のとおりペイトリオッツで、
この3チームが、残留・移籍加入の合計人数でもトップの9人となっています。


とりあえず、この3チームにこういう動きがあったことは、
来シーズンに向けて、覚えておきたいところですね。


以上。


フリーエージェント解禁後1週間の状況と、その比較でした。