生き残りをかけた激しい試合。
シーズン終盤、NFLヨーロッパ第9週の試合の感想を。
まずは、ワールドボウル出場争いの大一番、
フランクフルト・ギャラクシー対ハンブルグ・シーデビルズの試合について。
ギャラクシーは、この試合に勝てば、ワールドボウル出場が決定します。
この後紹介する、アムステルダム・アドミラルズの試合と同時間帯の試合だったので、
「GAORA」の試合放映の中でも、試合経過が出ていましたが、
いやぁ、凄い試合でした。
さすが、両チームとも気合の入り方が違いますね。
第1クォーター、試合開始最初のシリーズでギャラクシー側がタッチダウンを挙げ、
すぐさま、シーデビルズ側がフィールドゴールを返し、
しかし、折り返しのギャラクシーオフェンスが、またもタッチダウン、
しかししかし、シーデビルズ側もタッチダウンを返し、
しかししかししかし、ギャラクシー側が、またまたタッチダウン。
もう、全シリーズ得点が入っているという、とんでもない「殴り合い」。
この時点で、まだ第2クォーターが始まったばかりだったりします。
で、「殴り合い」ではあるのですが、
最初のシーデビルズオフェンスがフィールドゴールだったため、
得点としては、「21対10」。
やや、ギャラクシー優位の展開と言えるところです。
この後、お互いに、この試合「初パント」でオフェンスを終え、小休止。
そして、再び、「今度はこっちの番だったでしょう」とばかりに、
シーデビルズオフェンスがタッチダウン。
これで、「21対17」。
ただ、まだ、このままならギャラクシー優位に変わりはありません。
次は「ギャラクシーの番」です。
しかし、そのオフェンスの1プレー目。
ギャラクシーQBのJ・T・オサリヴァンの投げたボールを。
シーデビルズCBブレント・グライムズがインターセプト。
そのままリターンタッチダウンとしてしまいます。
逆転、「21対24」。
これで、試合は全く分からなくなりました。
そして、後半突入。
この試合は、まだまだもつれるよ、ということを表すかのように、
最初のシーデビルズオフェンスも、折り返しのギャラクシーオフェンスも、
共にフィールドゴールとなります。
前半とは変わり、今度は、「このままならシーデビルズ優位」な展開。
しかし、ここで、次のシーデビルズオフェンスをパントに追い込んだのに対し、
折り返しのギャラクシーオフェンスは、敵陣奥深くまで攻め込みます。
さあ、再びギャラクシーが優位な展開に変わるのか。
・・・と思ったら、ここで、またもオサリヴァンがインターセプトを喰らってしまいます。
(ちなみに、ここでインターセプトをしたのはシーデビルズCBリョウタ・ホリ)
まだ、第3クォーターですが、ここで勢いを逆転できなかったのは、
ギャラクシーにとっては致命的になるところか・・・!?
とか思ったら、折り返しのシーデビルズオフェンス、
第4クォーターに入って最初のプレーで、
QBケイシー・ブラムレットがサックを喰らってファンブル、ターンオーバー。
もう、何がどうなって、どっちが優位な展開なのかとか、
考えるだけムダな気がしてきました。
そして、オサリヴァンがWRアーロン・ホサックにタッチダウンパスを通して、
「31対27」、再逆転です。
試合残り時間12分。
ああ、こんな試合、現地で見てたら最高だっただろうなぁ。
次のシーデビルズのオフェンスは、敵陣36ヤード地点まで攻め込みますが、
「フォースダウン残り1ヤード」。
ここで、ギャンブルを決行し・・・、そして、失敗。
これは大きいです。
一気に、ギャラクシーの勝利が近づいてきました。
折り返しのギャラクシーオフェンスは、当然、
ゆっくりゆっくりと、時間をかけたものに。
残り時間約8分半から、しっかりと6分以上を消費し、
敵陣12ヤード地点まで攻め込むという、ほぼ理想的な展開です。
最初に、「ギャラクシーは、勝てばワールドボウル出場が決定」と書きましたが、
実は、引き分けでもOK。
ここでフィールドゴールを決めれば7点差となりますから、
ほぼ「決定」と言って良いでしょう。
(シーデビルズは、引き分けでも可能性が残るので、無理な逆転狙いはしてこないでしょうし)
・・・ああ、なのに。それなのに。
ギャラクシーのKリース・ロイドが、フィールドゴール失敗。
なんなんだ、この展開は。
そして、残り時間約2分半から始まったシーデビルズオフェンスは、
残り時間1分を切ったところで、ブラムレットが50ヤードタッチダウンパスを投げ完結。
「31対34」。
再々逆転。
ここで、ギャラクシー側は焦ったのか。
リターナーのRBデコリ・バーミンガムが、
エンドゾーン内で「不正な前パス」の反則を犯して、なんとセイフティに。
映像を見ていないので、どんなプレーだったのか、詳細は分かりませんが、
(ラテラルパスをするつもりが前に投げてしまった、というところか?)
いやぁ、キックオフでセイフティって、今まで見たこと無いプレーだよなぁ。
これで万事休す。
先ほど書きましたように、ギャラクシーとしては引き分けでも良かったわけで、
残り時間が1分を切ってはいましたが、フィールドゴール圏内まで持っていくのは、
決して不可能というわけではなかったと思います。
なんとも勿体無い終わり方でした。
とはいえ。
いやぁ、とんでもない試合でした。
もう、先が見えないこと極まりなかったですね。
なお、タッチダウンレシーブをしていたホサックは、
やはり出番が少ないのか、ターゲットになったのは3回だけで2キャッチ止まり。
また、シーデビルズのRBクエンティン・グリフィンも出番が少なく、
3回13ヤード止まりで、注目している選手は、あまり芳しくない結果ということに。
これは、ちょっと残念だったところですね。
これで、ギャラクシーもシーデビルズも6勝3敗。
ワールドボウル出場争いは、最終週までもつれこむこととなりました。
個人的には、今回のこの「ギャラクシー対シーデビルズ」が、
ワールドボウルの対戦カードとなるかな、と思っているのですが、
果たしてどうなることでしょうかねぇ。
さて次に、「GAORA」で放映していた、
アムステルダム・アドミラルズ対ケルン・センチュリオンズの試合について。
「アドミラルズにも、まだワールドボウル出場のチャンスがある」、
ということを言われてはおりましたが、ちょっと無理目でしたね。
この試合で、注目すべき点は、もう、1つしかないでしょう。
衝撃の!
Kニック・ノヴァク、フィールドゴール失敗!! (え?)
・・・いや、もう、ホント、毎週毎週、
律儀に(?)短い距離のフィールドゴールを外しますねぇ・・・。
本当に、どうしちゃったんだろうなぁ。
センチュリオンズがワールドボウルに出場することになったら、
ノヴァクの登場シーンなんて、ドキドキして見ていられないですよ。
(いや、違うか。「ああ、外すだろうなぁ」と思って見そうかも・・・)
まあ、それは、ともかくとして。
アドミラルズのWRノリアキ・キノシタのパントリターンタッチダウンは、
素晴らしいものでしたね。
よく、解説でも言われていることですが、
走るときに、本当に周りの状況がよく見えていると思います。
そういうところは、単なるスピードより、とても大事なところでしょう。
だから、キノシタのリターンを見ていると、「ビューンっ!」ではなく、
「スルスルっ」という音が聞こえてきそうな、そんなイメージがあります。
今、NFLで活躍しているリターナーだと、誰に似ているんでしょうかねぇ。
僕は、セントルイス・ラムズのWRダンテ・ホールが好きですが、
あの「ぐるんぐるん」な感じとも違いますし、
昨シーズン活躍した、シカゴ・ベアーズのWRデヴィン・ヘスターなんかは、
まさに「ビューン」だと思うので違います。
オークランド・レイダーズのCBクリス・カーが、そんな感じだったかなぁ。(うろ覚え)
でも、やっぱり、あんまりいないかも。
いやぁ、前にも書きましたが、やっぱり、このリターンはNFLの舞台で見てみたい!
「日本人選手」云々は抜きにしても、そう思います。
実現してほしいものですね。
なお、キノシタは、これで週間MVP(スペシャルチーム部門)を受賞。
ああ、そうか。
そういえば、今シーズンは、週間MVPも全然チェックしてなかったなぁ。
来シーズンは、ちゃんとチェックしていきたいです。(鬼が笑う話)
あと、この試合について1つ書くなら、
アドミラルズのQBコーリー・ブラムレットが出てきたときに、
解説で、「勝つことだけが目的じゃないから」みたいなことを言われていましたが、
僕は、むしろ、勝つためにブラムレットを出したんだと思います。
(結果はともかくとして)
逆に、いつもだったら、ブラムレットは出さないですからね。
怪我の影響があったのかもしれませんが、
QBドリュー・オルソンがもっとしっかりしていたのであれば、
今のこんな成績には甘んじていなかったと思うので、
今シーズンの不振は、「オルソンにこだわりすぎた」ことにもあるんじゃないかなぁ、
と、そんな風にも思っています。(責任を押し付けるわけではありませんが)
まあ、とにかく残り1週。
良い形でシーズンを終えてもらいたいものです。
一方のセンチュリオンズは、6勝3敗で首位に並びました。
先週も書いていましたように、最終週はギャラクシーとの「頂上決戦」、
かつ、生き残りをかけた「最終決戦」となります。
さて最後に、ライン・ファイヤー対ベルリン・サンダーの試合について。
・・・は、まあ、いいかな。
ファイヤーのQBコウディ・ピケットもなかなか頑張ってましたが、
試合を決めたのは、ファイヤーディフェンスのインターセプトリターンタッチダウン。
・・・という、まあ、なんというか、「いつもどおり」な試合でした。
ファイヤーは、最初からオフェンスがしっかりしていれば、
きっと良いチームになるだろうになぁ。(と、毎年言われる)
以上、NFLヨーロッパ第9週の試合の感想でした。