勝つためにすべきこと



NFLディビジョナルプレーオフNHKBS1で放送していた、
ニューイングランド・ペイトリオッツサンディエゴ・チャージャーズの試合の感想を。


これも、またまたまた良い試合でした。
ディビジョナルプレーオフは、全部、接戦の良い試合でしたねぇ。


いや、この試合は、反則やミスが原因で拮抗した面があったので、
「良い試合」とは言えない部分もあったのかもしれませんが、
アメフトの面白さを十分に味わえた、という意味で、良い試合だったと思います。


チャージャーズマーティ・ショッテンハイマーヘッドコーチは、
相変わらずプレーオフに勝てない、ということで、
レギュラーシーズンで良い成績を残していたにも関わらず、去就が取り沙汰されましたが、
このたび、来シーズンも指揮を取ることが発表されています。


試合後、「ショッテンハイマーの戦術ミス」とされた点が、大きく3点ありました。


1つは、第1クォーターの、「フォースダウン残り11ヤード」という場面で、
ギャンブルにいったこと。


これに関しては、僕は、「そういうのもあり」だと思って見ていました。


敵陣30ヤード地点でのギャンブル、って、
これ、ペイトリオッツビル・ベリチックヘッドコーチが、よくやることですよねぇ。


まあ、さすがに「残り11ヤード」という長さはどうなんだろう、
と思わないでもなかったですが。


ただ、Kネイト・キーディングのこの距離での成功率と風向きを考えて、
フィールドゴールをやめたこと、そして、一気に畳み掛ける意味で、
パントではなくギャンブルを選択したことは、悪くないんじゃないかと。


問題は、そのプレーで、QBフィリップ・リバーズが、みすみすサックされてしまったことで。
パスを成功させられない、と判断した瞬間に、
しっかりと「インターセプトされるような(パント代わりの)パス」を、
投げなきゃいけなかった。


もちろん、叩き落とされれば、ただのパス失敗になりますが、
それでも、この場面では、サックされるよりはマシですし、
とにかく、投げなきゃ、どうにもならない。


もちろん、サックされたとはいえ、5ヤード後退しただけですから、
フィールドゴール失敗したときよりも、悪くはないフィールドポジションですが、
ここで「投げられなかった」ことが、後々響いてきたように思います。


まあ、とにかく、プレーが上手くいかなかったからといって、
これが「戦術ミス」だったとは、僕は思いません。


それに対して、この折り返しのペイトリオッツドライブで、
敵陣32ヤード地点で「フォースダウン残り2ヤード」となり、
いつものベリチックならギャンブルにいくか・・・というところで、
フィールドゴールに切り替えて、それを成功させるあたりは、
さすがに「変幻自在」という感じです。


もちろん、今のKスティーブン・ゴストウスキーならば、この距離でも大丈夫、
というのと、多分、風向きの判断もあったのだと思います。


このあたりは、「逆向きのチャージャーズフィールドゴールを諦めた」ということで、
どちらも、「風向き」を考えた理にかなった判断なのではないかとは思いますが、
なんか、「保守的」と言われるショッテンハイマーが攻めて、
「攻撃的」なベリチックが守る・・・という構図になったようで、
なかなか面白かったですね。


さて、「2点目」は、試合の終盤、ペイトリオッツQBトム・ブレイディのパスを、
チャージャーズSSマーロン・マクリーインターセプトをし、
そのボールを、ペイトリオッツWRトロイ・ブラウンファンブルさせて、
ペイトリオッツの首の皮がつながった・・・という場面。


あそこで、チャレンジをしたのは、タイムアウトをムダにしただけだったのではないか、
ということが言われていたようです。


結果としては、その後、最後のチャージャーズのオフェンスで、
タイムアウトが必要になる場面が出てきてしまったため、
そういう印象は強くなるでしょうね。


ただ、ここで思い出したいのは、前日に行われていた、
インディアナポリス・コルツボルチモア・レイヴンズの試合の最終盤のこと。


QBペイトン・マニングからTEダラス・クラークへのパスが、
レシーブと判定されたものの、実は、微妙なところで、(僕はレシーブだったと思いますが)
レイヴンズ側はチャレンジすべきだったんじゃないか、
・・・ということが、しきりに解説で言われていました。


結果的にタイムアウトを失うことになっても、
ディフェンスを立て直すことが出来ますし・・・とも。


これ、全く同じケースだったんじゃないでしょうか。


映像をじっくり見れば、「判定が微妙」なのか「明らか」なのかは、大体分かりますが、
あの短い時間で、ビデオを見ているスタッフがそれを判断して、
それをヘッドコーチに伝えて、そしてチャレンジの赤い旗を出す・・・というのは、
ほとんど無理なんじゃないかと思います。


そうこうしているうちに、オフェンス側は、さっさとプレーを始めてしまいます。


現に、さっさとプレーを始めたのがコルツオフェンスでしたし、
ペイトリオッツも、さっさと始めようとしていたところを、
ギリギリで止めることが出来た・・・という感じでした。


きっと、赤い旗を投げた時点では、ビデオの内容などは、
ショッテンハイマーまで伝わっていなかったんじゃないかと思います。


結果論から言えば、「勿体無いチャレンジ」だったわけですが、
あの時点では、まだチャージャーズが8点リードしていましたから、
「ここが勝負どころ」と考えたのであれば、
チャレンジにいくのは正解なのではないでしょうか。


まあ、最初のギャンブルもそうですが、「やること」は間違ってなくても、
結果として上手くいかなかった、ということが多かったのが、
この日のショッテンハイマーなんじゃないかなぁ、と。
そんな風に思います。


そうそう、この「インターセプトファンブル」のプレー自体、
最初のギャンブルのときと好対照で面白いですね。


「投げられなかった」リバーズと、「とにかく投げた」ブレイディ


ブレイディのプレーの結果は、「インターセプト」です。
それ以上でも、それ以下でもありません。
ファンブルでのターンオーバーなどは、ブレイディの与り知らぬところで起きたこと。


ただ、もし、あの瞬間に投げていなかったら、
次の瞬間には、サックを喰らっていました。
そうなったら、何も起こることなく、万事休す。


「とにかく投げる」ということが出来たのは、ブレイディの素晴らしさでしょうし、
今後、リバーズが出来るようになっていかなければならないところなのでしょう。


さて、最後に、もう1点、「戦術ミス」とされたところを。


それは、試合残り時間8秒、敵陣36ヤード地点で、
いきなりフィールドゴールに挑戦したこと。


「8秒もあるんだから、もう1プレー出来たはず」ということですね。


これに関しては、僕もそう思います。


ただ、「もう1プレー」を恐れた理由も分かります。


それは、第1クォーター、「投げなきゃいけない」場面で、
「投げられなかった」リバーズを見てしまっていたから。


ここでサックをされようものなら、目も当てられませんし、
そうじゃなくても、判断を迷っているうちに時間が過ぎ、投げ捨てたら8秒が終わっていた、
・・・なんてことだって考えられます。


第1クォーターのときには、敵陣30ヤード地点から蹴らせなかったのに、
敵陣36ヤード地点から蹴らせるなんて一貫していない、と思うところかもしれませんが、
実は、「向き」が違います。


風向きが試合中、ずっと同じだったかどうかは分かりませんが、
最後のフィールドゴール挑戦の「向き」は、最初のときとは違いました。
(つまり、ゴストウスキーが50ヤードフィールドゴールを成功させた「向き」です)


それらのことを考えて、残り時間8秒、
敵陣36ヤード地点からのフィールドゴールを、敢行したんでしょうね。


だから、やっぱり悔やまれるのは、最初のギャンブルのとき、
リバーズが「投げられなかった」こと。
あれが、結果としては、試合の行方を大きく左右したのかもしれません。


とはいえ。


僕は、この試合のリバーズは、よくやっていたと思います。
改めてスタッツを見てみると、パス成功率50%以下で、
「あれ? それだけしか成功していなかったんだ」と意外に思ったのですが、
それだけ、大事な場面で大事なパスは、まあまあ通せていたんじゃないかと。


勝利に結びつかなかったのは残念ですし、反省すべき点も多々あるとは思いますが、
これを糧に、来シーズン以降、頑張っていってもらいたいですね。


チャージャーズは、RBラデイニアン・トムリンソンも、いつもの通り活躍していて、
勝てなかったのがおかしいくらいですが、
「敗因」は、全てひっくるめて、「ミス」という一言に尽きるのでしょう。


「ミスが無ければ・・・」と思ってしまうところですが、
そもそも、ミスが無かったら、どのチームだって勝ってしまいます。


反則に関しては、自分たちでどうにかしなければなりませんが、
インターセプトからのファンブルなどは、ペイトリオッツ側に引き出されたミス。


ミスを多くした方が負け。
如何に相手のミスを引き出せるかで勝負が決まる。


テレビの解説で、たびたび聞く言葉ですが、それを実感するような試合。
そして、「だからペイトリオッツは強いんだ」ということが、よく分かった試合でした。


以上、ディビジョナルプレーオフペイトリオッツチャージャーズの試合の感想でした。

ディビジョナルプレーオフの結果(まとめ)



というわけで、ディビジョナルプレーオフの結果を振り返ってみます。

               
アウェイ ホーム 希望 結果
IND BAL IND IND
PHI NO NO NO
SEA CHI SEA CHI
NE SD SD NE
    2/4  
       
    5/8  
    62.5%  



「希望どおり」は半分。


ただ、「叶ってほしい方」から2つが「希望どおり」だったので、
これはもう、上々の喜ばしい結果と言って良いでしょう。


あと3試合。


ここまできたら、なんとか、全て「希望どおり」となってもらいたいところです。

カンファレンスチャンピオンシップの希望(まとめ)



さて、引き続いて、カンファレンスチャンピオンシップの希望のまとめを。

           
アウェイ ホーム 希望
NO CHI NO
NE IND IND



対戦相手は変わりましたが、応援するチームに変わりはありません。


ニューオリンズ・セインツシカゴ・ベアーズの試合で残念なのは、
やはり、セインツのホームで試合が出来ないこと。


この時期のシカゴは、見るからに寒そうですからねぇ。


最も寒さの影響を受けるのが、クォーターバックだと思うのですが、
セインツQBドリュー・ブリーズは、前に所属していたサンディエゴ・チャージャーズも、
今のセインツも、「暖かい地域」のチームなだけに、心配なところ。


チャージャーズ時代の2年前には、1月2日にカンザスシティ・チーフスと、
1月8日にニューヨーク・ジェッツと、それぞれ敵地で対戦しており、
また、昨シーズンも12月31日にデンバー・ブロンコスと敵地で対戦していて、
それぞれ、まあまあ、北部のチームと言えばそうなんですけども、
やっぱり、シカゴほどではないでしょうし、日にち的に考えても、
「今までに体験したことの無い寒さ」の中での試合になるんでしょうね。


頑張ってもらいたいものです。


ニューイングランド・ペイトリオッツインディアナポリス・コルツの試合は、
あまりにも出来すぎな「因縁」めいた対戦カード。


「これまで立ちはだかってきたペイトリオッツを倒してスーパーボウルへ」、
・・・というシナリオがせっかく用意されているのですから、
ここは、もう、しっかりと乗っかってもらいたいものです。


そういえば、今日の放送の中で、ペイトリオッツQBトム・ブレイディを評して、
「だんだんペイトン・マニングに似てきましたねぇ」と解説で言われていましたが、
プレーオフでの試合運び」ということで考えると、むしろ、
マニングブレイディに似てきているのだとも思えます。


お互いが、お互いの良いところを吸収していっているのかもしれませんね。


とにかく、良い試合でありますように。
そして、コルツが勝ちますように。


以上、カンファレンスチャンピオンシップの「希望」のまとめでした。