玉突きキッカー



通常、クォーターバックというのは、
1シーズン通して1人しか試合に出場しないこともあるわけですが、
だからといって、1チームに1人しかいないかというとそうではなく、
必ず、控え選手は存在します。


これは、どんなに丈夫な選手であっても、
怪我をする危険性があるわけですし、
また、「将来のエース」や「教育係のベテラン」等、
チーム事情に合った役割が、必要とされていたりもするためです。


ところが、これをキッカーの場合で見てみますと。


キッカーも、1シーズン通して1人しか試合に出場しないことが普通ですが、
控え選手もいなくて、
本当に「1チームに1人」であることが多いです。


先ほどのクォーターバックのケースと比べてみますと、
まず、怪我をする心配はほとんどありません。
(例外はありますが、基本的に接触プレーがないので)
また、キッカーは「1人職人」的なところがありますので、
あまり、「教え、教えられる」関係も見られません。


何より、全部で53人までしかロースターに入れられないのに、
その貴重な1人を「控えキッカー」で取られてしまうのはもったいない、
ということが、1番の理由ではあるでしょう。


余談ですが、昨年、マイアミ・ドルフィンズKオリンド・マーレイが、
第5週ニューイングランド・ペイトリオッツ戦の試合直前に、
ウォームアップでふくらはぎを痛めて欠場する、という事がありました。
しかし、控えなどいない!


困ったドルフィンズは、
リターナーとして加入していたウェス・ウェルカーを、
キッカーとして起用。
(大学時代にはキックをしたこともあった、という理由で)


キックオフを無難にこなし、トライフォーポイントも成功、
また、1度だけあったフィールドゴールのチャンスも見事に成功。
本職のリターナーとしても、キックオフ時・パント時に登場し、
まさに、スペシャルチーム登場時には全て登場していた、という活躍。


スーパーボウルが始まって以来では、史上初の、
1試合でキックオフリターンパントリターン、キックオフをこなし、
フィールドゴールトライフォーポイントを決めた選手となり、
その週の、AFC週間MVP(スペシャルチーム部門)に選ばれたのでした。


・・・というように、基本的には「1チーム1人」であるキッカー


さて、ようやく本題に入りますが、
シカゴ・ベアーズキッカーポール・エディンガーが解雇されました。


ベアーズと言えば、つい先日、
キッカーダグ・ブライエンが加入したことをお伝えしておりましたよね。


そのブライエンも、ドラフトでマイク・ニュージェントが指名されたため、
ニューヨーク・ジェッツから解雇されていたわけで。


まさに、「玉突き」現象。
「1チーム1人」のキッカーは、誰かが動けば皆動く、という感じです。


さて、そのエディンガーに対し、
ミネソタ・ヴァイキングステネシー・タイタンズ他、
いくつかのチームが興味を持っている、とのこと。


当然、エディンガーが加入すれば、
今までのキッカーは解雇されるわけで・・・。


この「玉突き」。
どこまで続くのか、ちょっと楽しみです。