キッカーレーティング



まず、この文章の中で、現地8月22日に行われた、
プレシーズン第2週、ダラス・カウボーイズシアトル・シーホークスの試合の、
結果・内容について言及しています。(テレビ放映予定はありません)
あらかじめ、ご了承ください。


さて、最近、選手紹介の企画でキッカーを紹介し、
たまにニュースを取り上げてもキッカーの話題ばかりで、
「ここはキッカー専門サイトか!?」といった感じですが、
まあ、今は、たまたま「キッカー強化月間」だということにしておいてください。


そのうち、「パンター強化月間」とか「オフェンスライン強化月間」とか、
やるかもしれませんし。(どうやるか、ちょっと想像つかないけど)


で、そんな前振りをしつつ、本日もキッカーの話題を。


キッカー紹介などで、そのキッカーがどういう成績を残しているのか、
端的に、「そのキッカーは良いキッカーなのかどうか」を見るために、
フィールドゴール成功率だとか、最長成功距離などを紹介していますよね。


なぜ、そういう数字を紹介しているかというと、
実は、「他に判断材料が無いから」だったりします。


オフィシャルサイトでも、そうでないところでも、
キッカースタッツといえば、
「距離区分ごとの成功回数・挑戦回数」「トータルの成功回数・挑戦回数」
「成功率」「最長成功距離」といったフィールドゴールに関するものと、
トライフォーポイントのキックの成功回数・挑戦回数」、
そして、「獲得総得点」といったもので、ほぼ固定されています。


確かに、フィールドゴールの成功率は、
高ければ高いほど良いキッカーと言えそうですし、
最長成功距離も、長ければ長いほど良いキッカーと言えそうです。


ただ、例えば、「50ヤードの距離を1回失敗して4回成功した選手」と、
「30ヤードの距離を1回失敗して3回成功し、
50ヤードの距離を1回成功した選手」の2人がいたとして、
この2人のどちらが良いキッカーかといえば、
明らかに前者と言ってもよいでしょう。


でも、この2人は、どちらも、
フィールドゴール成功率80.0%、最長成功距離50ヤード」
として紹介されるわけですよね。
付け加えるならば、「成功回数4回、獲得総得点12点」も全く同じ。
・・・なんか納得いかない、というかなんというか。


もっと正確にキッカーの「能力」を表せるようなスタッツは無いかなぁ、
・・・と探し回った末、無いなら自分で作ってしまうことにしました。


クォーターバックレーティング」というものがありますが、
あれも、もともと、「パス成功率」だとか「パス獲得距離」だとかだけでは、
そのクォーターバックの能力を表しきれない、ということで、
作られたものなんだと思います。


なので、キッカーにも、「キッカーレーティング」があれば分かりやすいはず。


で、ちょっと内容の説明を書いていたのですが、
ややこしくなったので、先に結果だけ書いてしまいます。
昨シーズンの「キッカーレーティング」ベスト10は、こんな感じです。


 1位 38.6 デイヴィッド・エイカーズPHI
 2位 34.2 アダム・ヴィナティエリNE
 3位 32.8 シェイン・グレアムCIN
 3位 32.8 セバスチャン・ジャニカウスキーOAK
 5位 31.2 ジョシュ・ブラウンSEA
 6位 30.9 ジョン・カーニーNO
 7位 30.7 マット・ストーヴァーBAL
 8位 30.4 ライアン・ロングウェルGB
 9位 29.6 ニール・ラッカーズARI
 10位 29.0 トッド・ピーターソンSF)(注:現在はATL


この順位、結構、納得できそうな感じじゃないでしょうか。
どうでしょう?


値は、最大「100」最小「-100」理論平均値「0」ですが、
QBレーティングが、最大「158.3」最小「0」理論平均値「66.7」なのと同じく、
極端に高い値や低い値にはなりにくいです。
大体、0〜50で収まると思っていただければ。


昨シーズンの全キッカーの平均値は「24.0」でしたので、
それが、1つの目安になるかな、と。


QBレーティングは結構おなじみなので、大体イメージで対比させると、
QBレーティングの「70」(以下「QB70」というように表します)が、
キッカーレーティングの「0」(理論平均値)に該当し、
「QB80」(NFLにおける平均レベル)が「25」、
「QB90」(概ねリーグトップ10レベル)が「30」、
「QB100」(超一流レベル)が「35」、
「QB110」(歴代5位レベル)が「40」と、
そんな感じかな、と思います。


昨シーズン、インディアナポリス・コルツのQBペイトン・マニングが、
QBレーティング「121.1」なんて、とんでもない値をたたき出していますが、
あれは例外中の例外で、普通、「110」だって難しいものでして、
過去にシーズンQBレーティングが「110」を超えた選手は5人しかいません。


そういう意味で、昨シーズンのエイカーズは「超一流」レベル、
ヴィナティエリは、昨シーズンのクォーターバックで言ったら、
QBレーティング「100」にちょっと届かなかった(「98.1」でした)、
ピッツバーグ・スティーラーズのQBベン・ロスリスバーガー、というところかと。


ニューイングランド・ペイトリオッツのQBトム・ブレイディが9位で「92.6」、
グリーンベイ・パッカーズのQBブレット・ファーヴが10位で「92.4」なので、
トップ10のレベルも、ほぼそんな感じになってますね。


ちなみに、僕が「現役最高キッカー」だと思っている、
コルツのKマイク・ヴァンダージャットは、
昨シーズンは不調で、「平均点以下」の「21.7」。


実は、昨シーズン、トライフォーポイントのキックは、
キッカーがシーズン通して、1190回中たった10回しか失敗していません。
そのうちの「1回」を、ヴァンダージャットがやってしまっています。
不調だったことがよく分かるようなエピソード。


それを踏まえたうえで、なのですが、
この「キッカーレーティング」の計算には、
実は、トライフォーポイントのキックの成否は、なんら加味してありません。
(理由は、失敗したときに大きく影響しすぎるから、なのですが)


昨シーズンの「フィールドゴール成功率80.0%」という成績からだけでは、
見えてこないヴァンダージャットの不調さを、
フィールドゴールの結果だけではじき出せているのではないかということで、
この「キッカーレーティング」、結構使えるなぁ、と思っている次第です。


参考までに、シーズン成績ではなく、キャリア通算成績で、
概算してみたところ、(全プレーデータが無いので、あくまで概算です)
エイカーズが「28.7」なのに対し、ヴァンダージャットは「30.1」でしたので、
不調は、あくまで昨シーズンだけ、ということで。


「30.1」というと、低く感じますが、
QBレーティングもキャリア通算で見ると、そんな高いものにはならないですからね。
ペイトン・マニングが、現時点でキャリア通算レーティング「92.3」ですから、
上記の対比表からしても、ヴァンダージャットマニングが、
ほぼ同レベルだと考えられるわけです。


さて、実は、ここまでが前置きでして。(長っ!)


プレシーズンも第2週まで終わったわけですが、
ここまでの「キッカーレーティング」を算出してみました。


ただし、あまり回数が少ないと正確なものとなりにくいので、
フィールドゴールを3回以上挑戦しているキッカーに限りました。
(本当は、最低でも10回以上あったほうが良いのですが)
参考までに、挑戦回数も併記しておきます。


 1位 52.4(4回) ホセ・コルテスDAL
 2位 51.6(3回) クリス・ブラウンHOU
 3位 42.9(4回) ジョン・カーニーNO
 4位 42.3(4回) ライアン・リンデルBUF
 5位 40.0(5回) アダム・ヴィナティエリNE
 6位 39.7(3回) ジョシュ・ブラウンSEA
 7位 30.2(3回) ビリー・カンディフDAL
 8位 27.8(3回) ジョシュ・スコビーJAC
 9位 22.6(4回) オリンド・マーレイMIA
 10位 21.4(4回) マット・ブライアントTB


もちろん、挑戦回数が少なければ少ないほど、
「極端な値」は出やすいです。
それを踏まえても・・・。


ホセ・コルテス、むちゃくちゃ調子が良いようです。
同僚Kビリー・カンディフの故障が判明した直後の先日の試合では、
フィールドゴール3回中3回成功。


試合結果を掲載しているサイトを見ると、
LBデマーカス・ウェアファンブルフォースインターセプトで大暴れ」
「QBドリュー・ブレッドソーの活躍で、カウボーイズが勝利」
などと書かれていたりしますが、いやいや、違います。


この試合は、間違いなく、
「このチャンスを逃してなるものか」と必死になったコルテスの活躍で、
勝利したものに違いないのです。(断言)


うわぁ、このままいくと、怪我が治ろうが治るまいが、
カンディフの出番はなくなってしまうなぁ・・・。


上記ベスト10の7位にカンディフの名前があるのも、
何か、涙を誘うものがありますね・・・。


キッカーレーティング」については、
今後ちょくちょく算出していこうと思います。
計算式の内容と、そのコンセプトについても、機会があれば。


本日は、このトピックがあまりに長くなりすぎたので、
キッカー紹介はお休みさせていただきます。