キッカーの悲哀と、謎の動き



ああ、コルテス・・・。


・・・と、一昨日から言いたくて言いたくてしょうがなかった、
ダラス・カウボーイズシアトル・シーホークスの試合。
NHKBS1で放映する試合については、放映まで触れない約束ですので)


内容・結果を知っていたので、微妙な気持ちで観戦しました。


もう、第3クォーターまでの試合には、ほとんど興味が無い感じで、
第4クォーターの「その場面」を待ちました。


・・・29ヤードフィールドゴール失敗の場面を・・・。


まあ、解説にもありましたとおり、
カウボーイズKホセ・コルテスの責任に加え、
ロングスナッパーL・P・ラドウサーのスナップの責任もあるのでしょうが、
とはいえ、キックの成功も失敗も、
全ての責任がのしかかってくるのが、キッカーというポジション。


辛いところですが、先週のように決勝フィールドゴールを決めようものなら、
それまで2回失敗していようがなんだろうが、
ホセ・コルテスの決勝フィールドゴールで勝利」というまとめ方になる、
ある意味、おいしいポジションでもあり。


良いことも悪いことも、表裏一体。
それが、「醍醐味」ということにもなるのでしょう。


まあ、今日は、最後のあの劇的な逆転負けまでいくと、
コルテスフィールドゴール失敗が、直接の敗因とは言い難いですけどねぇ。


しかし、試合翌日。
コルテスカウボーイズを解雇されました。


ビル・パーセルズヘッドコーチ曰く、「不安定すぎる」。


・・・まあ、誰が見ても明らかですね、それは。


先週、パーセルズヘッドコーチが、
コルテスはタフなキッカーだ」と言っていることを紹介しましたが、
いくらタフでも、結果が残せなければどうしようもない、ということでしょう。


前にも書きましたが、「確実に3点取れる」という場面で取れないのは、
試合の戦略としても、非常に辛いところですからね。


というわけで、開幕前から恐れていたことが、
ここで現実になってしまいました。


さらば、コルテス
また会う日まで。


・・・と思っていたら。


ウェイバーリストに載せられていたコルテスを、
翌日、フィラデルフィア・イーグルスが獲得しました。


うーん、これはどういう動きなんだ・・・?


話は前後するのですが、ちょうど「コルテス解雇」というニュースが流れた頃、
Kデイヴィッド・エイカーズは、あと2週間以内には復帰できそう」
というイーグルスのニュースが流れていました。


今、イーグルスキッカーは、トッド・フランスですが、あくまで代役。
その事実が変わらないことは分かっているので、そのニュースを見て、
「ああ、フランスもあと1・2週間か。可もなく不可もなく、頑張ったなぁ」
と、思っていたんですよ。


キッカーはミスしないことが求められるポジションですから、
「可もなく不可もなく」というのは、
「優」ではないにせよ、「良」という意味と同等だと思っています。
(「可もあり不可もあり」が「不可」で)


ここまでフランスは、3試合に出場し、
最初のフィールドゴールこそ、ブロックされて失敗したものの、
フィールドゴール7回挑戦して6回成功。
トライフォーポイントのキックは全5回成功。


十分、「可もなく不可もなく」だと思います。


それなのに、そのニュースの翌日。
イーグルスコルテスを獲得。
そして、フランスを解雇。


地元のメディアでも、「なぜ?」という報道がされているようです。


理由として考えられるのは、まず、フランスのキック力の無さ。
フランスは、キックオフでの平均距離が、約60ヤードしかありません。


また、先ほど、フィールドゴール7回中6回成功と書きましたが、
最長距離は44ヤードでしかありません。(失敗したのは40ヤード)
つまり、長い距離では挑戦させていなかった、というようにも考えられます。


44ヤードのフィールドゴール距離は、敵陣26ヤード地点に該当します。
そこまで攻め込まないとフィールドゴールをキックさせられない、
となると、戦略的にも辛いところがあります。


ちなみに、先週のサンディエゴ・チャージャーズ戦で、
敵陣35ヤード地点からパントを蹴っている場面がありました。
様々な要因がありますから、一概には言えませんが、
フィールドゴールに挑戦してもおかしくない距離ではありますよね。


とはいえ。
コルテスだって、過去に53ヤードのフィールドゴールを決めたことがあるとはいえ、
今シーズン最長は45ヤードでしかありません。(49ヤード・48ヤードを失敗)


しかも、「不安定すぎる」キッカーです。


もちろん、「キックオフ専門」なら合点がいきますが、
今週末の試合にエイカーズが出場できる、という情報は、今のところなく、
このままなら、少なくとも1試合はコルテスフィールドゴールなども担当するはずです。


うーん、どう考えても、「動く」のが1・2週間早いような気がするのですが・・・。


イーグルスは、実はコルテスのキック力を非常に高く評価していて、
コルテスが他のチームに取られることを恐れて早めに動いた、
・・・というような理由になってくるんでしょうかねぇ。


確かに、コルテスのキック力には定評があってもおかしくないですが、
でも、それはちょっと考えにくいかなぁ。(コルテスには申し訳ないですが)


結局、一番考えられるのは、「実はエイカーズ、今週末から復帰」ですかね。


ちょっと、動向に注目したいです。


なんにせよ、フランス、お疲れ様でした。
この3試合の働きは、十分、関係者へのアピールになったと思いますよ。


ちなみに、下世話な話ながら、興味深い記事があったのですが、
フランスは、イーグルスプラクティス・スクワッド契約してから5週間で、
58,817ドルを稼いだことになるそうです。


おお、結構良い稼ぎじゃないか、などと思ってはいけません。
これで、今年どこからもお呼びがかからなければ、
これが「年収」になるわけですから。(正確にはプレシーズンの分もありますが)


しかも、来年の「職」も、全く保障されてませんからね。
スポーツ選手の給料というと、華やかな面ばかりが目に付きますが、
NFLのレギュラーシーズン試合に出場している選手ですら、
こういうものなんだ、ということは念頭においておきたいところです。
キッカーは特に給料が安いポジションではありますが)


まあ、「NFLでプレーする夢」をかなえたフランスにしてみれば、
「大事なのはお金じゃないんだよ」ということになるのかもしれませんね。


あと、もう1つ、蛇足ですが、
ウェイバーで獲得した選手は、前の契約が引き継がれることになるので、
コルテスは、これから1週間あたり26,765ドルを受け取ることになるそうです。


・・・フランスの方が「お買い得」じゃないか?