フリーエージェント契約状況のデータ(解禁後1週間)



さて、本日の文章は、昨日の「クイズ」の解答編となります。


まだ昨日の分を読まれていない方は、先にそちらをお読みいただき、
是非、解答を考えていただければと思います。






というわけで、NFLフリーエージェント交渉も、解禁から1週間が過ぎました。
そこで、この1週間の契約状況を、いくつかの数字でまとめてみたいと思います。


割と「意外な数字」も多かったので、なかなか興味深かったり。


では、まず、ポジションごとの契約状況を、ずらっと並べてみましょう。

  未決定 残留 移籍 契約率
クォーターバック 12 4 6 22 45.5%
ランニングバック 32 8 5 45 28.9%
ワイドレシーバー 38 8 9 55 30.9%
タイトエンド 22 2 5 29 24.1%
オフェンスライン 56 6 8 70 20.0%
ディフェンスライン 42 9 10 61 31.1%
ラインバッカー 62 5 10 77 19.5%
ディフェンスバック 67 6 18 91 26.4%
スペシャルチーム 12 6 2 20 40.0%
343 54 73 470 27.0%



「計」は「未決定+残留+移籍」で、昨日紹介した数字と同じになります。
「契約率」は、行き先(残留・移籍)が決まった割合ですね。


というわけで、まず、Q1。


 Q1:全470人中、行き先(残留・移籍)が決まったのは約何パーセント?


この解答は、「27.0%」。
「約何パーセント?」なので、「約25%」とか「約30%」あたりが正解ですね。


まず、この数字にちょっとビックリ。
だって、まだ1週間しか経っていないのに、
もう、全470人中127人もの行き先が決まっちゃってるんですから。


というか、そもそも、「全470人中」と書いていますが、
この時期に行き先が「決定」するのって、
ほとんど「無制限フリーエージェント」だけだったりします。


例えば、「制限付きフリーエージェント」は、
既に、旧チームからは仮オファーを出されているわけですから、
この時期に決まるとしたら、無理してでも欲しくなる素晴らしい選手なのか、
もしくは、旧チームが長期契約に方針を変えてくれた場合だけですので、
あまり、解禁後1週間で「決定」することはないんですよね。


現に、この段階で「決定」した「制限付きフリーエージェント」選手は4人だけ。
(全て、長期(2年以上)契約での残留です)


また、「在籍4年未満だけどオファーなし」の選手の場合は、
そもそも、あまり「求められていない選手」ということになりますので、
そんなに最初から引き手数多なわけもなく。
現時点で決定したのは、こちらも4人だけ。


というわけで。


実は、その8人を除いた残り119人は、全て「無制限フリーエージェント」選手。
つまり、無制限フリーエージェント選手は全部で351人でしたから、
「351人中119人」の行き先が決定した、と言い換えられるわけです。
実に1/3以上の割合。


昨日、書きましたように、無制限フリーエージェント選手が「無制限」でなくなるのは、
まだだいぶ先の話ですし、ドラフトまでだって1ヶ月以上あります。


そんな中での、この1週間での高い「契約率」というのは、
如何にフリーエージェント交渉は「出足」が大切なのか、ということなんでしょうね。


さて、Q2。


 Q2:行き先が決まった中で、残留と移籍ではどちらが多い?


残留54人、移籍73人。
というわけで、正解は「移籍」でした。


昨日も書きましたように、だんだん移籍より残留の方が増えてきているのですが、
まだ、この段階では移籍の方が多いようですね。


ちなみに、「NFL.com」で紹介されていたデータなのですが、
ここのところ、フリーエージェントで移籍する人数は、
毎年100人ちょっと、とのことでした。


ということは、今年もそれくらいの人数だとすると、
もう、最初の1週間で、「全移籍者」の2/3は決定している、ってことですね。
うーん、やっぱり、「出足」が早いなぁ。


さて、Q3からはポジションごとのデータ。


 Q3:最も「契約率」(残留・移籍が決まった割合)が大きいポジションはどこ?


正解は、「クォーターバック」。
22人中10人の残留・移籍が決定と、ほぼ半数まで契約が進んでいます。


やはり、クォーターバックは、「要」となるポジションですから、
決まるのも早い、ということなんでしょうね。


ちなみに、それに次ぐのは「スペシャルチーム」。
こちらは、「人材が少ない」という意味での、決定の早さになるのでしょうか。


キッカーパンターロングスナッパーを一まとめにしていますが、
実は、ロングスナッパー3人は、既に全員残留が決定しています。
これも、「特殊性」ゆえ?


さて、Q4。


 Q4:移籍より残留の人数が多いポジションはどこ? (複数)


正解は、「ランニングバック」と「スペシャルチーム」。


Q1で見たように、現時点では移籍人数の方が全体では多いわけですから、
この2つのポジションが「特殊」ということが言えると思います。


特に、スペシャルチームは、移籍2人に対して残留6人ですから、
かなり「残留率」が高いです。
先ほど紹介した「ロングスナッパー全員残留」なんて、その最たるものですね。


これはどういうことか、ちょっと考えてみたのですが、
サラリーキャップ枠を超えてしまいそうな高額年俸選手が、
フリーエージェントで移籍していくことが多いので、
比較的「安い」スペシャルチーム選手なら、安定して確保しておける、
ってことではないでしょうか。


逆に、インディアナポリス・コルツKマイク・ヴァンダージャットや、
ニューイングランド・ペイトリオッツKアダム・ヴィナティエリなど、
数少ない「高額」選手は、まだ決まっていないですしね。


ランニングバックについては・・・、うーん、なんでしょう。
「お手ごろ価格」の選手が多かった、ということでしょうか?


他チームから注目されるようなビッグネームが少なかった、ということかもしれません。
最近のランニングバック事情って、結構「買い手市場」のような気がしますし。


それにしても、ディフェンスバックの「移籍数」の多さは、凄いですねぇ。
そういえば、解禁後、最初のうちに決まった移籍って、
だいたいディフェンスバック選手の契約でした。


ちょうど「狙いごろ」だったのでしょうかね?


さて、ポジションごとのデータはこれくらいにしまして、次はチームごとで。
フリーエージェント選手の「旧所属チーム」ごとの契約状況を、一挙に紹介!

  未決定 残留 移籍 契約率
アトランタ・ファルコンズ 13 2 1 16 18.8%
アリゾナ・カーディナルズ 15 0 2 17 11.8%
インディアナポリス・コルツ 13 1 3 17 23.5%
オークランド・レイダーズ 16 0 1 17 5.9%
カロライナ・パンサーズ 13 2 3 18 27.8%
カンザスシティ・チーフス 9 2 1 12 25.0%
クリーブランド・ブラウンズ 8 0 3 11 27.3%
グリーンベイ・パッカーズ 11 3 1 15 26.7%
サンディエゴ・チャージャーズ 8 0 4 12 33.3%
サンフランシスコ・49ers 10 4 1 15 33.3%
シアトル・シーホークス 11 3 3 17 35.3%
シカゴ・ベアーズ 6 1 0 7 14.3%
ジャクソンビル・ジャガーズ 10 2 2 14 28.6%
シンシナティ・ベンガルズ 12 1 3 16 25.0%
セントルイス・ラムズ 17 0 4 21 19.0%
ダラス・カウボーイズ 9 0 2 11 18.2%
タンパベイ・バッカニアーズ 7 3 2 12 41.7%
デトロイト・ライオンズ 18 3 4 25 28.0%
テネシー・タイタンズ 6 1 0 7 14.3%
デンバー・ブロンコス 5 3 0 8 37.5%
ニューイングランド・ペイトリオッツ 9 0 4 13 30.8%
ニューオリンズ・セインツ 14 0 4 18 22.2%
ニューヨーク・ジェッツ 8 0 0 8 0.0%
ニューヨーク・ジャイアンツ 14 4 2 20 30.0%
バッファロー・ビルズ 7 4 1 12 41.7%
ピッツバーグ・スティーラーズ 5 6 3 14 64.3%
ヒューストン・テキサンズ 11 0 4 15 26.7%
フィラデルフィア・イーグルス 12 1 0 13 7.7%
ボルチモア・レイヴンズ 16 4 5 25 36.0%
マイアミ・ドルフィンズ 11 1 3 15 26.7%
ミネソタ・ヴァイキングス 11 1 4 16 31.3%
ワシントン・レッドスキンズ 8 2 3 13 38.5%



では、Q5から。


 Q5:既に半分以上の選手の行き先が決まった「旧所属チーム」はどこ?


昨日、旧所属チームごとのフリーエージェント人数が多いチーム・少ないチームを、
それぞれ6チームずつ紹介しましたが、
当然、「半分以上」も行き先が決まっているのであれば、
人数が少ないチームの中から・・・と思えるところ。


しかし、正解は「ピッツバーグ・スティーラーズ」。


なんと、14人フリーエージェント選手がいて、既に9人の行き先が決定しています。
他のチームの数字と比べると、その「早さ」が際立っているのではないかと。


しかも、そのうち6人は残留。
ちょっと、順番は飛びますが、


 Q8:残留人数が最も多いチームはどこ?


これも、正解は「ピッツバーグ・スティーラーズ」でした。


うーむ、スーパーボウルチャンピオンチーム、恐るべし。
これは、来シーズンも磐石か・・・!?


お次は、Q6。


 Q6:まだ1人も行き先が決まっていない「旧所属チーム」はどこ? (複数)


この問題、昨日の段階では「複数」でしたが、
シカゴ・ベアーズTEジョン・ギルモアが、
ベアーズ選手として初めて契約を結んで(残留)、
結果、答えが1チームとなりました。


というわけで、正解は「ニューヨーク・ジェッツ」でした。


昨日紹介した、「少ない」チームのうちの1つで、8人しかいないのですが、
それにしても、この状況で、まだ1人も決まっていない、というのも、
何かちょっと、不思議な感じがしますねぇ。


まあ、何か大きな理由があるわけではなく、たまたまなんでしょうけども。


あと、他に際立っているのは、オークランド・レイダーズが、
17人もフリーエージェント選手がいるのに、
まだ1人しか決まっていない、ということで。


やはり、成績の悪いチームのフリーエージェント選手ほど、
移籍も残留も難しい・・・と、そういうことなんでしょうかねぇ?
他に目立つのも、イーグルスタイタンズカーディナルズというところですし・・・。


選手としては、なるべくチーム成績の良い年にフリーエージェントになりたいところかも?


では、次はQ7。


 Q7:移籍してしまった選手数が最も多い「旧所属チーム」はどこ?


今まで見てきたところによると、成績の良いチームでは多くが残留し、
成績が悪いチームでは移籍も残留も出来ない、という傾向がありそうです。


そういう意味で言うと、多くの選手が「出て行ってしまった」というチームは、
「そんなに良い成績だったわけじゃないけども、どん底でもなかった」、
というチームになるのでしょうかね?


というわけで、正解は「ボルチモア・レイヴンズ」でした。


・・・確かに。


まあ、昨日紹介した、最も「多い」チームでして、
25人中5人が移籍して、4人が残留していますから、
これは単純に、もともとの人数の多さの影響もありそうな気はします。


他に見てみると、「誰も残留していなくて、出て行ってばかり」というチームが、
全部で10チームもありますが、
特に、サンディエゴ・チャージャーズの「12人中4人が移籍」とか、
ニューイングランド・ペイトリオッツの「13人中4人が移籍」というのが、
「あいたたた・・・」と言いたくなるようなところではないでしょうか。


うーん、大変だ。


さて、Q8は先ほど見ましたので、次はQ9。


 Q9:移籍して入ってきた人数が最も多いチームはどこ?


すいません、この問題には「複数」って書いてありませんでしたが、
昨日の段階で2チームありました。


それが、本日の段階では3チームになっています。


正解は、「クリーブランド・ブラウンズ」と「デトロイト・ライオンズ」、
そして、「ワシントン・レッドスキンズ」でした。


この3チームには、それぞれ5人ずつが移籍してきています。
補強は着々と、というところでしょうか。


特に、ライオンズは、その5人の内訳が、
クォーターバック2人、ランニングバック1人、ワイドレシーバー1人、
タイトエンド1人・・・という、なんとも分かりやすい形で。


ある意味、見ていて面白いですが、
しかし、クォーターバックが2人って・・・。
ああ、ジョーイ・ハリントン・・・。


ちなみに、この3チームに次ぐのは、ニューオリンズ・セインツ
ニューヨーク・ジャイアンツフィラデルフィア・イーグルス
そしてマイアミ・ドルフィンズの4チームで、4人ずつが移籍してきています。


では、最後の問題。


 Q10:まだ誰も残留しておらず、また、誰も入ってきてもいないチームはどこ?


この問題、実は解答できた方も結構いらっしゃったのではないでしょうか。


昨日の段階では、「ニューイングランド・ペイトリオッツ」が正解でした。
結構多くのペイトリオッツファンの方が、その状況をご存知だったのでは?


しかし、土壇場で、チャージャーズWRリチェ・コールドウェルペイトリオッツと契約。


その情報も持っていたペイトリオッツファンの方は、
「あーあ、残念、せっかく解答だったのにねぇ」と。


昨日、僕自身が、
「最後の問題なんか、状況によっては、答えが無くなってしまうかもしれないし・・・」、
とか書いていましたからね。


というわけで、自信を持って、正解は「なし」!
・・・と。


残念。
はずれです。


・・・いや、「引っかけ問題」だったわけじゃないですよ。
世の中、ホント何が起こるかわからないもので。


話は3月14日に遡るのですが。


ミネソタ・ヴァイキングスGトニウ・フォノーティ
以前、この日記でも名前が出てきたことがありましたが、
昨シーズン開幕時にはチャージャーズにいて、途中でヴァイキングスに移籍した選手ですね。


このフォノーティフリーエージェントになっておりまして、
3月14日に、オークランド・レイダーズと契約を結ぶ、と情報がありました。


ところが。


昨日、契約前の身体検査を行ったところ、
フォノーティの体重が約400ポンド(約180kg)もあることが判明。
(ちなみに、昨シーズン開幕時の「公称」は349ポンド)


そんな重い選手だと知っていれば契約はしなかった!
・・・ということで、このレイダーズとの契約がご破算になってしまったようです。


昨日の段階で、誰も残留しておらず、移籍してきたのはフォノーティ1人。
しかし、それがご破算になってしまい、結果、「0人」に。


というわけで。
正解は「オークランド・レイダーズ」でした。


・・・・・・分かるかっ!!


いや、昨日の時点のデータを知っている僕が、その「裏」をかかれるなんて、
我ながらビックリですよ、ホント・・・。


ちなみに、フォノーティは、すぐさま他チームにコンタクトを取り、
その体重でも問題とはしない、タンパベイ・バッカニアーズと契約を結びました、とさ。


・・・以上、フリーエージェント交渉解禁後1週間の契約状況データと、
昨日のクイズの解答でした。


まあ、最後の「オチ」はともかく、
なかなか興味深いデータだったのではないでしょうか。
面白かったので、まとめた甲斐がありました。


フリーエージェント契約交渉も、「大きな波」が過ぎ去りましたが、
今後、どういう展開を見せていくのか、また注目していきたいと思います。