クォーターバックの役割は三者三様



NFL第8週日曜日の試合の感想を。


まあ、先週より悪い結果には、なりようがないところですからね。
今週は、嬉しい結果も増えました。


でも、どうしても「残念な結果」が、印象には強く残っちゃうんだよなぁ・・・。
・・・後ろ向きな性格なのだろうか・・・?


昨日の試合で1番残念だったのは、
ヒューストン・テキサンズテネシー・タイタンズの試合。


うーん、この試合は負けちゃいけなかった。
しかし、負けちゃいけなかった以上に・・・。


ここで、話は半年前に遡りますが。


テキサンズは、今年のドラフト全体1位指名権を持っており、
大方の予想では、USCRBレジー・ブッシュを獲得するのではないか、
と思われておりました。


が、実は、地元では、それに反対する声もありまして。


というのも、昨シーズンのカレッジフットボールBCS全米選手権」である、
ローズボウルにおいて、USCを撃破したテキサス大
そして、それを率いたQBヴィンス・ヤングの存在。


「地元密着度」の高さから、NFLよりも人気があると言われるカレッジフットボールですから、
「地元の英雄」が「地元のプロチーム」に入ってもらえたら、
・・・と、地元のファンが願うことは、ごく自然なことなのでしょう。


しかし、その「地元のプロチーム」テキサンズは、ヤングを指名せず。
(結局、ブッシュでもなく、DEマリオ・ウィリアムズでしたが)


ヤングを指名しなかった理由は、非常に単純。
「我々には、4年前のドラフト全体1位指名クォーターバックがいるから」。


・・・で、この試合。


タイタンズクォーターバックは、ヤング
そして、テキサンズクォーターバックは、
「4年前のドラフト全体1位指名」、QBデイヴィッド・カーです。


テキサンズは、先週、決して弱いわけではないジャクソンビル・ジャガーズに勝ち、
一方、対するタイタンズは、ヤングクォーターバックが交代して、
まだまだ軌道に乗り切れていないところですし、
ここは、テキサンズが勝たなければいけない試合でしょう。


しかし、内容は、ただ負ける以上に酷かったです。


何せ、カーが、第3クォーター開始早々に、ベンチに下げられてしまったのですから・・・。


ベンチに下げられた理由は、怪我ではありません。


この日カーは、4回サックをされているのですが、
前半終了間際、サックをされたカーは、ファンブルをしてしまい、
それがそのままリターンタッチダウンにつながってしまう、ということがありました。


更に、後半開始早々のドライブでもサックされたカーが、またしてもファンブル
敵陣26ヤード地点まで攻め込みながら、ターンオーバーを喫してしまいました。


付け加えるならば、試合最初のオフェンスドライブでも、
敵陣24ヤード地点まで攻め込みながら、インターセプトを喫してしまっていましたが、
とにもかくにも、大事なところで「ボールを守れなかった」こと。


これが、カーがベンチに下げられた理由です。


僕は、ずっとカーを応援してきていますから、
こういう事態になってしまったのは、非常に残念なことですが、
このパフォーマンスでは、致し方ありません。


代わりに出てきたQBセイジ・ローゼンフェルズは、
最初のドライブこそインターセプトされてしまったものの、
その後、奮闘し、結局「22対28」という僅差での敗戦になりました。


さて、こうなってくると、心配なのは、来週からのスターター
このまま、ローゼンフェルズに交代ということになってしまうのか・・・?


しかし、どうやらゲイリー・クービアックヘッドコーチによると、
「来週は、もう1度カーにスターター出場させる」とのこと。


ホッとしました。


ただ、もうスターターの座が危うくなっている、というのも事実。


今シーズンのカーは、決してスタッツとしては悪くないものを残してきていますので、
この試合でベンチに下げられたことを肝に銘じ、
「ボールを大事に」しっかりとプレーしてもらいたいものです。


地元ファンに、「やっぱりヤングを獲っておけばよかった」と言われないように・・・。
(いや、もう言われているとは思いますが・・・)


さて、「残念な結果」の試合、その2。
ピッツバーグ・スティーラーズオークランド・レイダーズの試合。


いやぁ、とにかくスティーラーズは酷かったですね。


その「酷かった」筆頭は、QBベン・ロスリスバーガーで、
インターセプト、そのうち2つはリターンタッチダウン
・・・という、3週間前に戻ってしまったかのような成績。


しかし、この日「酷かった」のは、ロスリスバーガーだけではありません。


ディフェンスの反則が多かったのも、その1つ。
しかも、「アンネセサリーラフネス」など、明らかに不必要で罰則も大きい反則を、
次々と起こしてしまって、勝手にレイダーズのオフェンスを進めていました。


ちなみに、この日のレイダーズのオフェンスは、
パスで51ヤード、ランで81ヤードしか獲得できていませんが、
スティーラーズの反則で60ヤード(15ヤード×4回)も獲得しています。


しかししかし、それでもまだ、スティーラーズに勝つチャンスはあったんです。


試合残り時間3分弱で、「13対20」と7点差。
敵陣1ヤード地点まで攻め込んだスティーラーズでしたが。


ファーストダウンで、RBウィリー・パーカーがノーゲイン
セカンドダウンで、RBナジェイ・ダヴェンポートが4ヤードロス
更に、ダヴェンポートフォルススタートで5ヤード罰退。
サードダウンは、パスが通るも残り3ヤード。
そして、フォースダウンは、パス失敗。


ロスリスバーガーの出来の悪さや、反則の多さなど、いろいろあった試合ですが、
何よりも、この場面でタッチダウンを取れなかったことが、
今のスティーラーズの「弱さ」を表しているような気がします。


「1ヤードを取れるランニングバック」の存在って、大事ですね、ホント。


非常に、がっくりきてしまった試合でした。


さて、「残念な結果」ばかりでは何なので、嬉しかった試合も取り上げておきましょう。
まずは、アトランタ・ファルコンズシンシナティ・ベンガルズの試合。


いいですね、ファルコンズQBマイケル・ヴィック
先週の素晴らしい出来は、まぐれではありませんでした。


この日も、パス28回中20回成功291ヤード獲得3タッチダウンで、
QBレーティングは「140.6」という素晴らしい成績。


「おおっ、まるでクォーターバックみたいじゃないか!」、
・・・と、口の悪いファンには言われてしまいそうな、そんな好成績です。


ヴィックの「パス能力」については、常に議論が付きまとっていまして、
大まかに言えば、「もっと向上させるべきだ」派と、
「そんなこと気にせず走りまくればいい」派に分かれるのではないかと思います。


事前にもちょっと触れてましたし、これまでも何回か書いてきましたが、
僕は、ヴィックにパス能力を向上させてもらいたいと、常々思っていました。


それは、僕がいわゆる「ポケットパッサー」好きだから、というのもありますが、
もう1つ、いくらヴィックが素晴らしい運動能力の持ち主だと言っても、
走っているだけでは限界があり、結局走れなくなっていくんじゃないか、
・・・と思っていたこともあります。


しばしば見聞きしたことがあるのですが、
ファルコンズの対戦相手のディフェンス選手に「ヴィック対策」を聞くと、
「投げさせること」なんだそうです。
そうすれば、何も怖くない、と。


そういうディフェンスをされたら、NFLレベルでは走れるわけがありません。
いくら「気にせず走りまくればいい」と言われたって。


しかし、パス能力が向上すれば、話は別です。
ディフェンス側も「投げさせる」ようにはできなくなりますし、
そうなれば、逆に、ヴィックが走るチャンスも増えてきます。


昨日の試合も、ヴィックは、パス成績も素晴らしいですが、
ランでも9回55ヤード獲得と、しっかりと持ち味を生かしています。
これこそが、パスとランの相乗効果、というものなのでしょう。


よく、オフェンスは、パスだけでもランだけでもダメで、
パスが出てこそランが出て、ランが出てこそパスが出る、
・・・と言われますが、それを1人でやってしまえるのが、ヴィックなのでしょうね。


いやぁ、いいですね。
「見ていて楽しいヴィック」が戻ってきました。


来週以降も、素晴らしいパフォーマンスで、楽しませてもらいたいものです。


さてお次は、インディアナポリス・コルツデンバー・ブロンコスの試合。


そういえば、「最も応援しているチーム」がコルツのくせに、
ここまで感想では、あんまりコルツの試合を取り上げてなかったなぁ。


まあ、それだけ、何も言うことがないほど順調だった、ということですが。


今週は、非常に接戦でハラハラしましたが、順調な部分は非常に順調。


先週、ブロンコスのディフェンスの良さを表す言葉として、
「本当に良いディフェンスというのは、誰も目立たない」ということを書きましたが、
コルツのQBペイトン・マニングに対しては、それではダメだった、
・・・ということになるかもしれません。


考えてみれば、最近、コルツが大事な試合で負けたときって、
大体、ビッグプレー(というかマニングインターセプト)が絡んでいるような気が。


どんなに総合能力の高いディフェンス陣がいるチームであっても、
「当たり前に守っていれば勝てる」対戦相手と、
「当たり前に守っていては勝てない」対戦相手がいる、ってことなんだろうなぁ。


逆に言えば、コルツは、不測の事態なく「当たり前に攻めていれば勝てる」ということか。


この試合、マニングは、パス39回中32回成功。
成功率は80%を超えています。


これだけパスを通されたら、まあ、オフェンスが止まるわけがないですわな。


ブロンコスのディフェンスが良いことは、先週までの試合で分かっていますので、
その相手に対して、これだけのパフォーマンスが出来る、というのが、
マニングの凄さなのでしょうね。


一方で、「不調」と言われるブロンコスオフェンスに、
ここまで攻められるコルツディフェンス陣が、やや心配になるところではありますが、
まあ、今は「勝ってるから良し」というところかな。


今後、オフェンスに「不測の事態」が起こったときに、
果たして勝てるかどうか、というところで、
ディフェンスの真価が問われることになるでしょう。


まあ、これが、いつも大体プレーオフで起こるので、
コルツはなかなかスーパーボウルに進めないのですが・・・。


今シーズンこそ、頼むよ。


さて次は、「GAORA」で放送していた、
シアトル・シーホークスカンザスシティ・チーフスの試合。


いやぁ、これは面白い試合でしたねぇ。


途中から、完全に「チーフスが逆転負けする方向」へと、
どんどん、どんどん、突き進んでいったので、
チーフスの「勝利希望」で見ていた僕としては、ヒヤヒヤしっぱなしでしたが・・・。


解説で、「オフェンスの意図が分かって面白い」というようなことを言われていましたが、
僕としては、そこまで正確には分からないながらも、
流れるようなテンポの良いオフェンスは、見ていて気持ちが良かったです。


特に、チーフスのRBラリー・ジョンソンはいいですね。
パスレシーブでは、簡単なパスを落としていたりしましたが、
「本職」のランでは、全く問題なし。


するすると相手ディフェンスの間を抜けていく様は、本当に気持ちが良いです。


あと、負けはしましたが、シーホークスのQBセネカ・ウォレスも良かったですね。
欠場したQBマット・ハセルベックの代役だったわけですが、
ホント、良い選手が控えているものです。


ちょっと応援したくなるタイプのクォーターバックでしたので、
来週以降、ハセルベックが復帰してくるまで、注目していきたいと思いました。


どうでもいいですが、ウォレスの顔って、
スティーラーズRBジェローム・ベティスの顔を一回り小さくしたような感じに見えません?
・・・え? 髭しか似てない? (そうかも・・・)


ああ、そうだ。
クォーターバックといえば。


試合の途中で、今年のNFLヨーロッパで大活躍した、
QBギブラン・ハムダンについて触れられてましたねぇ。


実は、ハムダンシーホークスと契約したことは気が付いていたのですが、
「どうせ、ハセルベックが復帰したらすぐに解雇されるだろう」、
と思っていたので、特にこの日記では触れてませんでした。


いやぁ、まさか中継で映って、話題に触れられるとは思わなかったなぁ。
元気そうで、何よりです。


「第3クォーターバック」という立場に過ぎないとは言え、
プラクティス・スクワッドにいるよりは、学べることは遥かに多いでしょうから、
この機会を、今後に是非生かしてもらいたいですね。


さて、最後に、NHKBS1で放送していた、
ボルチモア・レイヴンズニューオリンズ・セインツの試合について。


・・・ですが、特に何も書くことはないかなぁ。


この日のセインツは、やることなすこと、全て悪い方向に転がっている感じでした。
こんな日もあります。


しっかりと修正して、来週以降、また頑張ってもらいたいですね。


他にも、「残念な結果」や「嬉しい結果」の試合はありますが、
まあ、本日は、こんなところで。