今のドルフィンズが強い理由



では、まず、NHKBS1で放送していた、
ニューイングランド・ペイトリオッツマイアミ・ドルフィンズの試合の感想を。


さすがにこの試合は、ドルフィンズQBジョーイ・ハリントンを褒められないだろう、
・・・と、皆さん思われているかもしれませんが、褒めますよー。


ハリントンは、叩かれると落ち込むタイプだと思うので、「褒めて伸ばす」方針で。


・・・というのは、まあ、冗談として。


「Play-By-Play」観戦したときから思っていましたが、
この試合のドルフィンズの「勝因」の1つは、間違いなく、
Pドニー・ジョーンズの、素晴らしいパントの数々でしょうねぇ。


風船が飛んでいたりして、非常に風が強かったようなのですが、
そんな中、あんな素晴らしいパントを連発するのは凄すぎます。


前に、「敵陣30ヤード地点前後でのギャンブル」について書いたときに、
このあたりからのパントは、タッチバックになりやすい・・・ということも書いていましたが、
だからこそ、ディフェンスとしては、いくら攻め込まれようとも、
フィールドゴール圏外ギリギリ」で止めれば、
実は、ハーフラインあたりまでに止めたときと、ほとんど変わらない状況で、
次のオフェンスを始めることができるんですよね。


以前から、ペイトリオッツは(というかビル・ベリチックヘッドコーチは)、
そのあたりの「計算」が非常に上手いと思っていたのですが、
この試合は、ディフェンスは「計算どおり」にフィールドゴール圏外で止めていたのに、
パントが「計算外」に良すぎたために、思うように相手陣に押し戻すことが出来なかった、
・・・というところなのではないでしょうか。


もちろん、ドルフィンズのディフェンスは素晴らしかったですが、
このパントの好調さがなければ、さすがに無失点とはいかなかったでしょう。


ジョーンズは、週間MVPを受賞しても良かったと思うんですけどねぇ。


まさか、「スペシャルチーム部門」で、
ジャクソンビル・ジャガーズRBモーリス・ドリューが受賞するとは・・・。
・・・絶対、無理矢理だろう、それは。(多分、「オフェンス部門」で受賞できない代替)


ジョーンズは、運が悪かったですね。


さて、ドルフィンズの試合は久しぶりに見るので、
もちろん、ハリントンに注目するとともに、
最近、「ディフェンスインパクトポイント」で、ぶっちぎりの1位となっている、
DEジェイソン・テイラーにも、注目して見ておりました。


印象としては、「非常にスムーズ」といった感じで。


ゴツゴツと当たっていくわけではなく、しかし、スピードに任せてというわけでもなく、
スルスルとムダの無い動きで、タックルにいったり、ボールをカットしにいったり。


ディフェンスエンドラインバッカーで活躍している選手って、
どちらかというと、「野獣」のような感じがするものですが、
テイラーのプレーぶりからは、そういったものは感じられませんでした。


そういえば、試合後のインタビューを見ても、
そういう性格が、にじみ出ているような感じでしたね。


なんとなく、「気は優しくて力持ち」タイプ・・・?


「野獣」タイプもいいですが、こういうタイプも好感が持てていいですねぇ。


ディフェンスインパクトポイント」の推移から、
僕としては、「最優秀守備選手賞」はテイラーで決まり、とか勝手に思っているのですが、
こういう賞って、チーム成績も関係してくるからなぁ。
どうなるんでしょうか。


是非、受賞してもらいたいですね。


さて、ハリントン


先週の感想でも書きましたように、ハリントンって、
相手エンドゾーンが近づいてくればくるほど、インターセプトをされがちなので、
最近は、「Play-By-Play」観戦をしているときも、
相手陣に攻め込めば攻め込むほど、ハラハラしてきたりするのですが・・・。


・・・クォーターバックの応援の仕方として、それはどうなんだ?


で、もちろん、この試合、ハリントンが「大活躍」していないのは分かっていましたので、
実際どんな感じだったんだろうか、という目で見ていたんですけども、
いやぁ、素晴らしい「投げ捨てっぷり」でしたね。


解説でも言われていましたが、堅い堅い。


先週の試合は、ハリントンインターセプトのせいで負けていたので、多分、コーチたちに、
相当強く、「エンドゾーンに近づいたら無理するな」と言われていたのでしょう。


これだったら、安心して見ていられるなぁ。


タッチダウンパスのときは、解説でも言われていたとおり、ちょっと無理をしましたね。
というか、あのパスを、もう1ヤード左に投げられれば完璧だと思うのですが、
ちょっと前のハリントンだったら、もう1ヤード右にいっていて、
サクッとインターセプトされていたと思うので、そこを「成長」と思っていただければ。


ただ、先ほども書きましたように、風が強かった中なので、
強肩ではないハリントンの投げたボールは、風の影響を非常に受けていました。
それを考えれば、よくやったかな、と。


・・・まあ、それを考えて、投げ捨てをもっと徹底できれば、更に良かったのかも。
このあたりは、またコーチたちに徹底されるでしょう。


そうだ、「強肩」で思い出した。


試合開始当初から、僕はもちろんハリントンに注目していたのですが、
実況でも解説でも、なかなかハリントンの話題が出てこなくて、
「意識して話題にするのを避けているんじゃないか?」とか思いかけたりしていましたが、
(いや、普通、クォーターバックの話題は出るでしょうし)
そんな中、相手ディフェンスに絡まれながら、
ショベルパスを成功させたハリントンに対しての一言には笑いました。


「往年のブレット・ファーヴみたいでしたね」。


・・・言いすぎです。
ごめんなさい、ファーヴ。(なぜ、僕が謝る?)


まあ、でも、悪い気はしないなぁ。(なぜ、僕が照れる?)


で、「投げ捨て」「投げ捨て」と言うと、
ハリントンはほとんど何もしなかったかのような印象がありますが、
実は、ちゃんと、パス成功率は60%で、200ヤード近く投げています。


これは、この試合に限らず、最近のハリントンの特徴だと思うのですが、
自陣30ヤード地点あたりから敵陣30ヤード地点あたりまでの間では、
ハリントンのパスは絶好調なんですよね。
ドライブが途切れずに続くんです。


最近は、ランも織り交ぜるようになってきましたが、
パスだけでもポンポンと進むことが出来ます。


これには、相手ディフェンスが「まだ本気では守っていない位置」ということも、
当然あるとは思いますが、だからと言って、無条件で進めるわけではありません。
テンポ良く、近い位置のレシーバーに投げ分けていっているからこそ、
そこそこのところまでは問題なく進めているのです。


NFL全体を見回しても、これをきちんと出来ているオフェンスって、
実は、あんまり無いと思うんですよね。(もちろん、スタイルの違いはありますが)


得点をするためには、そこからあと一押しが必要で、
今後、ハリントンは、そのあたりを改善していく必要があるのでしょうが、
(当然、無理をしない、ということも含めて)
現状でも、「試合を組み立てる」ことは、よく出来ているのだと思います。


以前から書いていますように、こういったあたりが、
スタッツには表れにくい活躍」ということになるのですが、
それでチームは勝てているのだと、ハリントンには自信を持ってもらいたいものです。


決して、「オフェンスはダメだけど、ディフェンスのおかげで勝っている」、
・・・とか本人が思わないように。


そういう気持ちが出ちゃうと、
エンドゾーン手前で無理しちゃう原因にもなっちゃいますしね。


以上、「ハリントンを褒めて伸ばす会」でした。(ええっ!?)