セインツの「敗因」は



ちょうど今入ったニュース。


ダラス・カウボーイズビル・パーセルズヘッドコーチが辞任。
そして、このまま引退する方針のようです。


うーん、カウボーイズを応援する大きな「理由」がなくなってしまったなぁ。
非常に残念。


長い間、本当にお疲れ様でした。


さて、NFLカンファレンスチャンピオンシップの試合は、
NHKBS1で、既に両試合とも放送されていますが、
まあ、朝の放送はイレギュラー的なものですし、
試合の行われた順番どおり、見ていきたいと思います。


本日は、NFCカンファレンスチャンピオンシップ
ニューオリンズ・セインツシカゴ・ベアーズの試合の感想を。


セインツの「敗因」は。


先週、シアトル・シーホークスが負けてしまったことです。


・・・いや、そんな元も子もない・・・。


まあ、あながち冗談でもなくて、「希望」のところで書いていましたように、
セインツにとっては、シカゴで試合をしなければいけなかったのが、
あまりにも痛かったですね。


足のぬかるみの影響は、両チームにあったと思いますが、
セインツ側は、かなりボールが手に付いていなかったように思いますので。


もちろん、ベアーズのディフェンスが素晴らしかったこともありますが、
あそこまでポロポロとファンブルしまくったのは、
やはり、慣れない天候の影響があったと見るべきでしょう。


これぞ、ホームフィールドアドバンテージ


よく、「プレーオフ制」の導入可否の議論において、
「レギュラーシーズンでいくら頑張っても意味が無くなる」という意見を聞きますが、
NFLでは、そのあたり、本当に上手く出来ていることがよく分かります。


まあ、そういった「そもそも」の部分は除いて、
セインツの「敗因」と言いますか、敗戦への「ターニングポイント」は、
大きく2箇所あったのではないかと思います。


まずは、セインツの最初のオフェンスドライブ


パスが結構ポンポンと通っていましたが、
それなのに、結局得点できませんでしたよね。


このときに、かなり嫌な予感がしたんですよ。


「パスが結構通る」ってことで、ランをあまりしなくなるんじゃないか、と。


その後、追いかける展開になったから、パスが多くなったのは必然のようにも見えますが、
まだ「0対0」だった第1クォーターに、
「サードダウン残り2ヤード」をパスで取ったりもしていましたし、
第2クォーターに入っても、「サードダウン残り3ヤード」をパスで取りいって失敗。


ここに至って、その傾向は決定的になったと感じました。


もちろん、地面がぬかるんでいて走りにくい、ということはあったと思いますが、
その影響は、パスプレーにだって表れるものですし、
(いつもだったら飛びつけていたパスに飛びつけない、とか)
こういう天候の中では特に、まず、ランでプレーを作らないことには、
いずれ、ジリ貧になっていくのは目に見えています。


これは、「結果論」ではなく、「一般論」と言って良いでしょう。


ショーン・ペイトンヘッドコーチとしては、その裏をかいて、一気にパスで突き放して、
相手もパスするしかない状況に追い込みたかった、というのが狙いだったのでしょうが、
そういう意味では、「通っていたのに得点できなかった」のが致命的。(これは「結果論」)


そのうちに、相手に主導権を握られてしまいました。


後半最初に、RBレジー・ブッシュが、飛び道具的な「一発」を見せましたが、
あれはあれで素晴らしいプレーだったとはいえ、
肝心のランではブッシュが19ヤード、RBデュース・マカリスターが18ヤード止まり。


いかにも、辛い展開でした。


ああ、そうそう、ブッシュの「ボールセキュリティ」は、この試合はかなり良かったですね。
放送の中で、「こういう天候だから気をつける」というブッシュのコメントが、
紹介されていましたとおり、先週の失敗を、しっかりと生かしていました。


・・・となると、実は、他の選手も先週失敗しておくべきだったのか・・・?


対するベアーズのランオフェンスは、やはり素晴らしかったですね。


先日、「オフェンスラインスタッツ」のところで書いていましたとおり、
RBセドリック・ベンソンRBトーマス・ジョーンズの「2枚看板」が、
全32チームの中でも「屈指」というのは、
この試合を見れば、納得できるところではないでしょうか。


セインツを応援していたので、基本的には悔しいのですが、
ちょうどベアーズのCオリン・クルーツとかに注目したところだったので、
それはそれで、嬉しいものがありました。


さて、「ターニングポイント」の2点目。


それは、セインツのKビリー・カンディフフィールドゴール失敗。
もっと言えば、その前の「キックオフ失敗」。


・・・いやぁ、これ、あんまり言いたくないんですけどね。
カンディフ、結構、応援してますし・・・。


以前、この日記でも取り上げていましたが、
セインツにはKジョン・カーニーという正キッカーがいますが、飛距離が出ないということで、
「キックオフスペシャリスト」兼「長い距離のフィールドゴール担当」として、
カンディフが契約を結んでいました。


その「飛距離」を期待されるカンディフのキックが、飛ばない、飛ばない。


ベアーズのKロビー・ゴウルドのキックオフ飛距離と比べてみても、かなり短かったので、
これは「天候の影響」ではなく、本人の「絶不調」ということでしょう。


で、試合開始当初から、全然飛んでいなかったのですが、
決定的だったのは、ブッシュの88ヤードタッチダウンで「14対16」となって、
追い上げムード全開となった直後のキックオフ。


これが、ヘナヘナと、力なくアウトオブバウンズへ・・・。


この場合、相手のオフェンスは自陣40ヤード地点から始められますから、
「追い上げムード」に水を差す、あまりにも痛いミスです。


いや、そのときは、ディフェンスが頑張って事なきを得た、
・・・かに見えるのですが、そのときのフィールドポジションの悪さが、
折り返しのオフェンスでの「長い距離」のフィールドゴール挑戦につながったと見れば、
はっきりと「影響大」でした。


しかし何より、その、敵陣29ヤード地点からのフィールドゴール挑戦。
もちろん、失敗したカンディフが悪いのですが、
こんなにキックオフが飛んでいなかったカンディフに、なぜ蹴らせたのでしょうか。


ここで蹴らせなかったら、カンディフの存在意義がなくなってしまいますが、
そうは言っても、キッカーの調子ほど、試合によって変わってくるものはありません。


先週、ニューイングランド・ペイトリオッツサンディエゴ・チャージャーズの試合の感想で、
ちょうど敵陣30ヤード地点あたりでの作戦について触れ、
ペイトリオッツビル・ベリチックヘッドコーチのことを「変幻自在」と書きましたが、
間違いなく言えるのは、決して、思いつきで作戦を決めているわけではなく、
キッカーの調子の良し悪し、そして、成功する確率が高いか低いかを、
見極めてのことなのではないでしょうか。


この試合で、カンディフに、長い距離のフィールドゴールを挑戦させたのは、
かなり無謀な「ギャンブル」だったと思います。


もちろん、長い距離をカーニーに蹴らせる選択肢は無いでしょうから、
ここは、パントか、フォースダウンギャンブルに行くべきだったでしょう。


ただ、それが全く念頭になかったのは、その前3プレーによく表れていて、
これがまた、全部「パス失敗」だったんですよね。
(このあたりは、先ほど書いた「パス偏重」による失敗にもつながりますが)


フィールドゴールを成功させるために、少しでも前に進めておく、
・・・という意識がなかった時点で、完全な「戦術ミス」でした。


そして、以前から何度も書いていますとおり、
「敵陣30ヤード地点あたりでのフィールドゴール失敗」というのは、
インターセプトファンブルによるもの以上に痛い「ターンオーバー」です。


これも、そのときのベアーズオフェンスはあっという間に止められて、
セインツとしては事なきを得た・・・かに見えますが、
パントで5ヤード地点という奥深い位置に落とされているのは、
ベアーズPブラッド・メイナードが素晴らしいことはもちろんのことながらも、
自陣44ヤード地点という良い位置からパントできたからこそでしょう。


そして、直後の「セイフティ」。


ここから、一気にセインツ側が崩れていってしまったのは、
まあ、ご覧になったとおりです。


・・・というわけで、「ターニングポイント」としては、
やはり、この一連の流れの「基点」となった「キックオフ失敗」と言えますが、
「戦術面」では、直前のプレー選択も含めた「フィールドゴール失敗」、
ということになるのではないでしょうか。


まあ、結局のところ。


「天候が酷い」→「なのにパス偏重」→「プレー選択のミス」と、
全てがつながっての敗戦、ということなのでしょう。


だから、やっぱり。


先週、シーホークスが負けてしまったこと。


これが、セインツの「敗因」です。


以上、NFCカンファレンスチャンピオンシップ、セインツ対ベアーズの試合の感想でした。