今シーズンの「軌跡」
NFL第14週の試合の感想を。
今回は、こんな表をまとめてみましたので、それを絡めながら。
第1週時点 | 第14週時点 | |
---|---|---|
サンフランシスコ・49ers | アレックス・スミス (7) | トレント・ディルファー (6) |
ニューヨーク・ジェッツ | チャド・ペニントン (7) | ケレン・クレメンス (6) |
バッファロー・ビルズ | J・P・ロスマン (7) | トレント・エドワーズ (6) |
ボルチモア・レイヴンズ | スティーヴ・マクネア (6) | カイル・ボウラー (7) |
スタータークォーターバックの怪我と交代が相次いでいる今シーズン。
開幕時点と現時点のスタータークォーターバックの交代状況を、
パターン分けして見ていきたいと思います。
なお、カッコ内の数字は、ここまで13試合のスターター出場回数です。
で、上記の表の面々は、
「怪我で交代して、その後、復帰したけど、不振で再び交代した」というパターン。
49ersは、スミスが第4週に怪我をして、
2試合ディルファーが出場した後に復帰しましたが、
第11週からは、またディルファーになっています。
そのディルファーも、今週のヴァイキングス戦の前半最後に負傷してしまい、
後半は、QBショーン・ヒルが出場してきました。
そう、スミスは第3クォーターバックに下がってしまっていたんですね。
ディルファーの怪我の具合は分かりませんが、
この試合、前半を終わって無得点という状況でしたし、
来週から、またクォーターバックが交代する可能性大のような気がします。
さて、続くジェッツは、ペニントンが第1週にいきなり怪我をして、
第2週だけクレメンスが出場して、すぐに復帰を果たしましたが、
第9週からは、またクレメンスとなっています。
ビルズは、ロスマンが第3週に怪我をして、
その後、4試合エドワーズが出場した後に、またロスマンに戻りましたが、
先週(第13週)から、またエドワーズとなっています。
レイヴンズは、マクネアが第5週に怪我をして、
ボウラーが2試合出場した後に復帰を果たしましたが、
また、第11週からはボウラーとなっています。
最後のケース、マクネアの「再交代」は、怪我の影響もあると言われていますが、
概ね、「不振」が原因と考えて良い状況だったと思いますので、このグループで。
ちなみに、レイヴンズは、今週のコルツ戦の終盤に、
ボウラー不調のため、QBトロイ・スミスが出てきていましたが、
さてさて、来週の試合ではどうなるのでしょうか。
先週のペイトリオッツ戦での出来を見ると、
ここで簡単に変えてしまうのは勿体無いと思うんですけどもねぇ。
では、次のケース。
第1週時点 | 第14週時点 | |
---|---|---|
アリゾナ・カーディナルズ | マット・ライナート (5) | カート・ウォーナー (8) |
カロライナ・パンサーズ | ジェイク・デローム (3) | ヴィニー・テスタヴァーディ (6) |
マイアミ・ドルフィンズ | トレント・グリーン (5) | ジョン・ベック (4) |
先ほどのケースより「重い」もの。
開幕時点のスタータークォーターバックが、
インジャリーリザーブ入りしてしまったケースです。
カーディナルズは、第6週での「交代」となって、
その後はずっとウォーナーが出場を続けていますが、
その第6週には、怪我で途中退場していて、更に大変なことになる状況でした。
そのウォーナーは、今週のシーホークス戦で5インターセプトの大乱調。
怪我じゃなくても、ちょっと「交代」の心配が出てきてしまうところだったりしますが・・・。
パンサーズは、第4週で「交代」となったのですが、
その相手は、上記表には出ていないQBデイヴィッド・カー。
そのカーが、第5週に怪我をしてしまい、第6週からはテスタヴァーディが出場。
そのテスタヴァーディも怪我をしてしまって、
第9週にカーがスターターとして戻ってきますが、また、その試合でカーが負傷。
第10週・第11週はテスタヴァーディがスターター出場し、
第12週では、またカーに戻りますが、今度は不振により交代。
ここ2週間は、テスタヴァーディがスターター出場を続けていました。
ただ、そのテスタヴァーディも、今週のジャガーズ戦の第4クォーターに交代。
理由は、負傷によるものですが、その時点で「6対34」という大敗の状況でしたので、
「今後」に向けて動き出したものとも考えられます。
交代した相手は、カーではなく、QBマット・ムーア。
49ersと、非常に似たような状況になっていますね。
そして、ドルフィンズも似たような感じで、第6週に「交代」となっていますが、
その相手は、上記表に名前のないQBクリオ・レモン。
そのレモンがパッとしない成績だったために、
第11週からはベックがスターター出場を続けています。
しかし、今週のビルズ戦の第1クォーター中盤、
サックを受けたベックが負傷退場となってしまい、その後はレモンが受け持ちました。
未勝利の続くドルフィンズは、結局、ベックでも状況を打開することが出来ておらず、
来週以降、またレモンに戻る可能性も高そうですね。
では、次のパターン。
第1週時点 | 第14週時点 | |
---|---|---|
セントルイス・ラムズ | マーク・バルジャー (9) | ブロック・バーリン (1) |
タンパベイ・バッカニアーズ | ジェフ・ガルシア (11) | ルーク・マカウン (2) |
ヒューストン・テキサンズ | マット・シュアブ (11) | セイジ・ローゼンフェルズ (2) |
これも、怪我による交代ですが、
ちょうど、今週がその「交代週」に当たってしまった形で、
怪我から回復すれば、元のスターターが戻ってくることが予想されるチームです。
ラムズは、第5週にQBガス・ファーロットに交代し、
2試合を受け持った後、バルジャーが復帰してきていましたが、また第12週に負傷退場。
先週はファーロットが出場しましたが、パッとしない出来だったこともあり、
今週は、バーリンがプロ初スターター出場を果たしています。
NFLヨーロッパを追いかけたときに、ちょっと注目したことがありましたが、
バーリンがNFLでスターターを務められるとは思わなかったなぁ。
いや、バーリンも悪くないのでしょうが、
NFLヨーロッパで、同時期にもっと活躍していたクォーターバックたちが、
ロースターに残るのも難しいくらいに苦戦していますし。
まあ、タイミングの問題もあるのでしょうね。
このチャンスを、しっかりと、ものにしてもらいたいものです。
ちなみに、今週のベンガルズ戦は、そんなに酷い出来ではなかったと思いますよ。
さて、バッカニアーズは、第12週の試合でガルシアが怪我をしてしまい、
ここ2週間は、マカウンがスターター出場中。
テキサンズは、第9週に1回ローゼンフェルズがスターター出場していて、
また先週シュアブが怪我をしてしまったために、今週は、またローゼンフェルズ。
この2チーム、ちょうど、今週の試合で対戦しておりました。
この「代理クォーターバック対決」は、
3タッチダウンを挙げたローゼンフェルズに軍配が上がっています。
さて、次のパターン。
第1週時点 | 第14週時点 | |
---|---|---|
アトランタ・ファルコンズ | ジョーイ・ハリントン (10) | クリス・レッドマン (1) |
カンザスシティ・チーフス | デイモン・ファード (10) | ブローディ・クロイル (3) |
どんなパターンかというと、
「不振で交代したけど、交代した相手が怪我をしたために再交代し、でも、また交代した」、
・・・というパターン。
ファルコンズは、第7週にQBバイロン・レフトウィッチが登場しますが、
その試合でいきなり怪我をしてしまったため、それから2試合はハリントンがスターター。
その後、レフトウィッチの怪我が治ったので、
第11週の試合ではレフトウィッチがスターター出場を果たしますが、
あまりにもパッとしなかったため、翌週から、再度ハリントンに。
(一応、レフトウィッチには怪我が多いため、という理由もあるようですが)
しかし、ハリントンもパッとしなかったので、
今週の試合ではレッドマンがスターター出場を果たしています。
そんな、マンデーナイトゲーム、
NHKのBS1で放送していた、セインツ対ファルコンズの試合。
解説で、「クォーターバックが固定しないと、ヘッドコーチは辛い」と言われていて、
まあ、まさしくそのとおりだと思うんですけども、
ファルコンズの場合、クォーターバックを固定していない「元凶」こそ、
ボビー・ペトリーノヘッドコーチだと思うんですけどもねぇ。
「ハリントン擁護派」の僕が言っても、あまり信憑性が無いですが、
変に、一喜一憂して、クォーターバックをとっかえひっかえしていなかったら、
あと2勝くらいは上積みできていたんじゃないかと思います。
それは、「ハリントンがレフトウィッチやレッドマンより優れているから」という理由ではなく、
このチームの不振の原因が、クォーターバックに起因するものだけではないため、
ならば、クォーターバックを固定して、オフェンス陣の意思の疎通をはかった方が、
シーズンが深まるほどに、ゆっくりと良化していっていただろう、
・・・という意味でのものです。
まあ、これは「結果論」ということになるんでしょうけどもね。
先ほど、「あと2勝くらいは上積みできていたんじゃないか」と書きましたが、
2勝くらい上積みしたところで、プレーオフにも届かないし、何の意味も無い、
・・・と言われれば、そのとおりかもしれません。
ヘッドコーチがレフトウィッチに期待したのは、それ以上の劇的な改善。
でも、上手くいきませんでした。
で、今回のレッドマン起用は、恐らく、そういう期待ではなく。
試合の最後に、「次は誰が出てくるんでしょうか」ということを言われていましたが、
多分、もう、このまま最後までレッドマンでいくつもりなのではないでしょうか。
成績がどうなろうとも、ここまで来たら、もう関係ないので、
周囲(ファンやマスコミ)から、短期的な要求も挙がらず、
ある意味、固定化はさせやすいのかな、と。
レッドマンが、カレッジ時代の教え子だったとは知らなかったのですが、
それならば、いろいろとやりやすいこともあるでしょうし。
で、話題になっていたとおり、来年のドラフトで、
教え子だった、ルイビル大のQBブライアン・ブロームを取るのでしょう。
・・・どうか、ハリントンに、「次の舞台」がありますように・・・。
さて、話を元に戻して、もう1チーム、チーフスは、第11週にクロイルに交代しますが、
翌第12週に怪我をしてしまったため、先週はファードが再登場。
その試合で、ファードも怪我をしてしまったため、
今週の試合はどうなるのか心配されましたが、なんとか、クロイルが復帰してきています。
さて、次のパターン。
第1週時点 | 第14週時点 | |
---|---|---|
クリーブランド・ブラウンズ | チャーリー・フライ (1) | デレック・アンダーソン (12) |
パターンというか、なんというか。
不振により、第2週でいきなり交代となったのですが、
そこから、大爆発したアンダーソンがスターター出場を続けています。
いきなり早い段階で交代したときには、どうなることかと思われましたが、
他に、クォーターバックがコロコロと交代しまくっているチームが多いことを思うと、
非常に良い決断と結果だったと言えるのでしょうね。
・・・と、以上、13チームが、
開幕時点と現時点でスタータークォーターバックが違うチームでした。
ただし、今週は、「たまたま」開幕週と同じクォーターバックながら、
ここまでに交代のあったチームは、他にもあります。
第1週時点 | 第14週時点 | |
---|---|---|
オークランド・レイダーズ | ジョシュ・マカウン (7) | → |
シカゴ・ベアーズ | レックス・グロスマン (7) | → |
レイダーズは、開幕から3試合がマカウンでしたが、
第4週からはQBダンテ・カルペッパーに交代。
第9週で再びマカウンになりますが、第11週からは、またカルペッパー。
しかし、ここ2週間はマカウンに戻っている・・・という状況です。
なんというか、目まぐるしいなぁ。
更に、今週のパッカーズ戦の第4クォーターでは、
QBアンドリュー・ウォルターが出場しておりました。
これは、どうやら、マカウンが食中毒にあたってしまった、ということらしいです。
(もちろん、試合中に食べたわけではなく、途中で発症したのでしょう)
先週の試合で途中出場したQBジャマーカス・ラッセルでは無かったのは、
まあ、いろいろと試している最中、ということなんでしょうね。
マカウンが来週の試合に出場するかどうかは分かりませんが、
どうやら、ラッセルが「途中出場予定」だそうで。
そういう「予定」も、珍しいですが、
来シーズンを見据えての動きですし、いいんじゃないでしょうか。
長期間ホールドアウトしていたラッセルが、
簡単にスターター出場するのも、やっぱり、どうかと思いますし。
さて、ベアーズは、グロスマン不調で、第4週からQBブライアン・グリーシーが出場。
そのグリーシーも、パッとしない状態が続いたため、
第11週からは、再びグロスマンがスターター出場となっていました。
ただ、先日書きましたように、木曜日のレッドスキンズ戦で第1クォーターに負傷し、
その後はグリーシーが登場。
結局、そのグリーシーは、やっぱりパッとせず、
来週の試合では、どうなるのかが注目されるところ。
・・・だったのですが、どうやら、
QBカイル・オートンがスターター出場することに決まったようです。
おおっ、お帰り!!
マンデーナイトゲームでのスターター復帰とは、ゴージャス(?)だなぁ。
まあ、今シーズン、僕が期待したことは、ことごとく打ち崩されているので、
そんなに期待しすぎずに、久しぶりにオートンのプレーを見ることが出来る、
ということだけ、喜んでおきたいと思います。
では、次のパターン。
第1週時点 | 第14週時点 | |
---|---|---|
ジャクソンビル・ジャガーズ | デイヴィッド・ギャラード (10) | → |
テネシー・タイタンズ | ヴィンス・ヤング (12) | → |
フィラデルフィア・イーグルス | ドノヴァン・マクナブ (11) | → |
ミネソタ・ヴァイキングス | ターヴァリス・ジャクソン (9) | → |
これらは、途中で怪我で交代したこともあったけども、
その後、無事復帰してきた、というパターンです。
ジャガーズは、第7週にギャラードが負傷。
第8週から3試合はQBクイン・グレイが出場しましたが、
その後、復帰して、更に絶好調なギャラードです。
タイタンズは、第7週の試合だけ、QBケリー・コリンズがスターター出場。
イーグルスは、第12週と第13週にA・J・フィーリーがスターター出場していましたが、
今週の試合では、マクナブが復帰しています。
ヴァイキングスは、第3週と第4週、そして第8週にQBケリー・ホルコム、
第11週には、QBブルックス・ボウリンジャーが出場していて、
ジャクソンも含めて、いずれも、そんなに活躍できていなかったのですが、
ここに来て、ジャクソンの調子が上向きです。
さて、では、最後のパターン。
第1週時点 | 第14週時点 | |
---|---|---|
インディアナポリス・コルツ | ペイトン・マニング (13) | → |
グリーンベイ・パッカーズ | ブレット・ファーヴ (13) | → |
サンディエゴ・チャージャーズ | フィリップ・リバーズ (13) | → |
シアトル・シーホークス | マット・ハセルベック (13) | → |
シンシナティ・ベンガルズ | カーソン・パーマー (13) | → |
ダラス・カウボーイズ | トニー・ロモ (13) | → |
デトロイト・ライオンズ | ジョン・キトナ (13) | → |
デンバー・ブロンコス | ジェイ・カトラー (13) | → |
ニューイングランド・ペイトリオッツ | トム・ブレイディ (13) | → |
ニューオリンズ・セインツ | ドリュー・ブリーズ (13) | → |
ニューヨーク・ジャイアンツ | イーライ・マニング (13) | → |
ピッツバーグ・スティーラーズ | ベン・ロスリスバーガー (13) | → |
ワシントン・レッドスキンズ | ジェイソン・キャンベル (13) | → |
13試合連続スターター出場しているのは、13人です。
ただし。
先日書きましたように、木曜日のベアーズ戦で負傷したキャンベルは、
今シーズン絶望となってしまいました。
その後を引き継いだQBトッド・コリンズが、
来週からはスターター出場するんじゃないかと思われます。
一方、先週の試合で負傷退場していたファーヴは、
今週の試合でも、無事、連続スターター出場を継続できています。
万全ではないと思うので、ちょっと心配ではあるんですけどもね。
これらのチームは、クォーターバックが安定しているだけあって、
基本的には、好調なチームが多いです。
ペイトリオッツ、コルツ、スティーラーズの「AFC3強」、
カウボーイズ、パッカーズ、シーホークスの「NFC3強」(現時点の成績で)が、
いずれも、この中に入っているのは、象徴的なところでしょう。
「クォーターバックの安定」は、いつの時代でも重要ですが、
怪我人が多い今シーズンは、特に、その重要度が実感できますね。
以上、第14週の感想、兼、今シーズンのスタータークォーターバックの「軌跡」でした。