ヨーロッパで奮闘中の日本人プレーヤー



少々、NFLからは話題が離れる感はありますが。


現在、NFLELNFLヨーロッパ)に参戦中の、QB波木健太郎が、
今期初出場を果たしたとのこと。


結果は、パス3回不成功の末、インターセプトされるという散々な結果も、
自身のラン2回で、12ヤードを稼ぎ出した模様。


1年半前のことになりますが、
関東学生アメリカンフットボールリーグの、
ポストシーズンゲーム「クラッシュボウル」準決勝で、
早稲田大学東海大学が対戦した試合を、現地で観戦しておりまして。


このシーズンは、当初より東海大学を応援していたので、
その試合も、東海大学を応援していたのですが、
残り時間1秒となり、東海大学が8点差リード。
早稲田大学の攻撃中で、ゴールまでは32ヤード。
これはもう大丈夫だろう、決勝戦も見に行かなきゃ、
もし甲子園ボウルにまで進んだら甲子園にも行くか?
・・・などと、安心しきって見ていたところ、
とんでもないことに。


早稲田大学が最後のプレーに選択したのは、
なんと、クォーターバックのラン。
これが見事に決まり、独走32ヤードのタッチダウンラン。


そのときのクォーターバックが、波木健太郎でした。


その後は、当然、ツーポイントコンバージョンを狙い、
今度は、見事にパスを決め、なんと、残り0秒で同点に。
あの時は、腰が抜けるかと思いました。


結局、延長戦(タイブレーク方式)で、
早稲田大学の先行攻撃を守りきった東海大学が、
最後はフィールドゴールを決めて、なんとか勝利。
決勝進出となりました。(決勝で法政大学に敗退)


と、まあ、そんな思い出が、
「ランで12ヤードを稼ぎ出す」というニュースから、
よみがえってきたのでした。


蛇足ながら、ついでなので、波木健太郎のその後を書くと、
4年生だったので、その試合で大学の現役を引退。
直後、NFLELのトライアウトに合格し、渡欧。
ずっと出番がありませんでしたが、
最終週に出場すると、その試合で見事にパスを成功させます。


NFLELでは、アメリカ人以外の選手のことを、
ナショナルプレーヤー」と呼び、
出場枠も別に用意されている(といっても原則1人)のですが、
ナショナルプレーヤーとして、史上初めて(!)パスを通したQBとなり、
その週のプレーヤー・オブ・ザ・ウィーク(ナショナルプレーヤー部門)に、
選ばれたのでした。


アメリカンフットボールでは、選手交代に数の制限がありませんから、
いろいろなポジションで、1試合に何人もの選手が出場するわけですが、
クォーターバックというのは、普通、1試合に1人しか出ません。
そのポジションを、アメリカ人から奪おうというのは、
他のポジションに比べて、容易ではないことは想像に難くありません。
(この「アメリカ人」というのは、ほぼイコール、「NFL選手」なのですから)
そんな中での活躍ですから、「快挙」と言えるでしょう。


今年も再びトライアウトに合格したものの、やはり出場機会のない日々。
そんな中での、今期初出場だったわけです。


体格でアメリカ人に劣る日本人が、NFLで通用するとしたら、
まずはクォーターバックではないか、という話があります。
波木健太郎には、是非、「日本人初のNFL選手」と、
なってもらいたいものです。


今後の活躍を期待します。




* 文中、名前に「選手」「さん」と付けていないのは、
 「ペイトン・マニング選手」と書かないのと同じ理由です。
 あしからず。