キッカー論



さて、本日もキッカー紹介にいってみましょう。


本日は、この日記ではたびたび・・・と言いますか、
頻繁に登場しております、ニューヨーク・ジェッツKマイク・ニュージェントです。


ちなみに、「マイク・ニュージェント」という名前は、
本日で実に8回目の登場だったりします。
ジェッツファンもビックリ。
(逆に、ジェッツファンは、そんなにキッカーのことばかり書かないか・・・)


ニュージェントは、今年のドラフト2巡指名。
ジェッツは、今年は1巡指名権が無かったので、
「トップ指名」がキッカーだったことになります。
そのことについては、賛否両論、いろいろあったようですね。


たびたび書いておりますが、そもそもキッカーは、
あまりドラフト指名でNFL入りしたりしないもので。


ドラフトでは、平均すると各チーム8人を指名しているのですが、
アメフトのポジションって、8つしかないわけではないですからね。
その貴重な指名権の1つを、キッカー「なんか」に使うのはどうなんだ、
ということです。


確かに、アメフトの試合におけるキッカーの重要度というのは、
考えようによっては、低いものとなります。


フィールドゴールをキックする場面は重要じゃないのか?」と問われれば、
「だったら、そこで止まらず、タッチダウンを取れる選手がいた方がいい」。


トライフォーポイントのキックはどうするんだ?」と問われれば、
「それだけなら専門職じゃなくても、誰か1番キックがうまい選手を使えばいい」。


「キックオフのキックはどうするんだ?」と問われれば、
「ドラフトで指名しなくたって、遠くまで飛ばすだけなら、誰でもいるだろう」。


この考えどおりにチーム編成をするならば、
とにかくキック力のあるキッカーを1人、ドラフト外入団させれば事足ります。


もちろん、極論です。
極論ですが、あながち、間違いとも言い切れません。


実際、そこまで極端ではなくても、キッカーをどれだけ重要視しているかは、
チームによって異なっていると思います。
では、何がその「重要度」を分けているかといえば、
「チームの戦略」でしょう。


アメフトは、相手陣のエンドゾーンを目指してボールを進めていくスポーツですが、
エンドゾーン」に達しなければ「失敗」なのか、近づければ「成功」なのかは、
試合戦略によって、異なってくるものだと思います。


これは私見なのですが、大別すると、
ディフェンス力のあるチームが、
「3点ずつ取っていれば、後は守りきって勝てる」と、
ディフェンス力の無いチームが、
「3点ずつでは心許ないので、しっかり7点取らなければならない」と、
それぞれ考えるのではないでしょうか。(かなり大雑把ですが)


そうなると、「ディフェンス重視」のチームほど、
キッカーを重要視することになります。


一応、キッカーは得点シーンで登場するので、
選手紹介などで「オフェンス選手」の扱いを受けることが多いのですが、
こう考えると、なんとも不思議な感じがしますね。


近年は、ニューイングランド・ペイトリオッツの例を取るまでも無く、
基本的には、「ディフェンス力」のあるチームが、
「チャンピオンチーム」となっていると思います。


ディフェンス重視の流れから、キッカーも重要視される存在になってきている、
というのが、僕の考えなのですが、どうでしょうか?


現に、ドラフトが7巡制になった1994年から5年間の、
キッカー指名人数は、1人・2人・0人・1人・0人だったのに対し、
それ以降は、3人・3人・3人・3人・1人・3人・2人と、
明らかに増加傾向にあったりします。


・・・えーっと、そういえば、マイク・ニュージェントの紹介でした。


ニュージェントは、前述しましたとおり2巡指名だったわけですが、
これは、2000年にオークランド・レイダーズが、
セバスチャン・ジャニカウスキーを1巡指名して以来の高順位指名となります。


なぜ、そんなにも高評価を与えられたかといえば、
もちろん、大学時代に活躍したからで、
ニュージェントは4年生時(つまり昨年)に、
フィールドゴール成功率88.9%(最長55ヤード)、
トライフォーポイントのキックは100%成功という成績を残して、
全米最優秀キッカーに選出されています。


それは素晴らしいですが、とはいえ、
「全米最優秀キッカー」は、毎年1人は選ばれるわけで。
上記の成績も、素晴らしいは素晴らしいですが、
さりとて、飛びぬけて「とんでもなく」素晴らしいとも思えず。


では、ニュージェントのいったい何が評価されたのか。


実は、ニュージェントは昨年、50ヤード以上のフィールドゴールを、
6回中5回も成功させています。
これは、プロでもなかなか出来ることではありません。


よく、「大学で通用してもNFLでは通用しない」ということが、
クォーターバックの選手などを中心に言われたりしますが、
キッカーの場合、大学の試合でキックをするときと、
NFLの試合でキックするときに、「何も違いが無い」というのは言いすぎですが、
ほとんど状況に違いはなく、そのままの力を発揮できると思います。
(強いて言えば、プレッシャーが強まる、ということはあるかもしれませんが)


現地の記事を読んだわけではないので、あくまで憶測なのですが、
「長い距離での安定性」がニュージェントの持ち味であり、
それが評価されたのではないでしょうか。


本日は、キッカー紹介にとどまらず、
キッカー論」にまで踏み込んでしまいましたが、
これも、僕が今、ニュージェントに肩入れしている証拠ということで。


どんな活躍をしてくれるか、今から非常に楽しみです。