解雇の謎解き
さて、キッカー紹介も、本日よりNFCの各チームに突入。
例によって、チーム名のアルファベット順で紹介していきます。
まずは、アリゾナ・カーディナルズのKニール・ラッカーズ。
ラッカーズは、2000年に、ドラフト6巡でシンシナティ・ベンガルズに入団。
その後3年間、全試合に出場し、そこそこの成績を収めます。
そして、2003年に、制限付きフリーエージェントになりますが、
比較的すんなりと、ベンガルズと再契約を果たしています。
ところが。
その年の開幕直前になって、突如、解雇されてしまいます。
11月になって、正キッカーのビル・グラマティカが怪我で離脱してしまった、
アリゾナ・カーディナルズと契約し、
ここで信頼を得て、その後は全試合出場。
現在に至ります。
それにしても、不可解なのは、ベンガルズからの突然の解雇。
この前の年、ラッカーズは、フィールドゴール成功率83.3%、
最長成功距離54ヤード、トライフォーポイントのキックは32回中2回失敗、
という成績でした。
確かに、トライフォーポイントを2回も外しているのは、良くはないですが、
それ以外の成績と合わせて見れば、
解雇の原因となるようなものではないように思います。
50ヤード以上で、3回中2回成功しているのもプラス材料ですし。
現に、ベンガルズだって、1度は再契約しているのですから、
ますますもって、理由が分かりません。
一応の理由としては、キックオフ時のキックに不満があった、
・・・と言われているようですが、
果たして、本当にそれだけなのでしょうか。
どうも、それを読み解くには、
現ベンガルズの正キッカーである、シェイン・グレアムの存在が、
「鍵」となってきそうです。
というのも、ラッカーズの解雇とグレアムの入団は、全く同時でしたので。
順番に見ていきましょう。
グレアムのことは、以前ここで紹介していますが、
ベンガルズに入る前は、カロライナ・パンサーズに在籍していました。
これが、1つ目の「鍵」です。
さて、この年からベンガルズはヘッドコーチがマーヴィン・ルイスに替わり、
何人かのアシスタントコーチも入れ替わっていました。
その中には、ルイスがボルチモア・レイヴンズで、
ディフェンスコーディネーターをしていた1998年に同僚だった、
スペシャルチームコーチのダリン・シモンズも含まれます。
これが、2つ目の「鍵」。
そして、3つ目の「鍵」。
そのシモンズは、前年まで、
パンサーズでスペシャルチームコーチをしていました。
・・・カチッと音がして、何かがはまりそうな感じですね。
もちろん、理由は単純ではなく、様々あるとは思いますが、
なんにせよ、ラッカーズは、コーチのシモンズに気に入られることができず、
グレアムの加入によって追い出された、と見るのが妥当なのでしょう。
もちろん、このことは、グレアムの評価をなんら貶めるものではありませんよ。
先ほども書きましたが、ラッカーズはカーディナルズで信頼を得、
今年も、正キッカーとして活躍することが予想されます。
昨年は、リーグ最長の55ヤードのフィールドゴールも成功させ、
また、50ヤード以上の距離を、9回挑戦して5回成功しているのは、
特筆すべきことです。
50ヤード以上の距離というのは、客観的に見て成功率が低いものであり、
中途半端に長い「ギリギリ」の距離になってしまった場合には、
フィールドゴールを狙うのではなく、
パントを蹴るという安全策を取ることが多いように思います。
そんな中、9回も挑戦をさせてもらえているというのは、
チームの戦略やオフェンス力との兼ね合いもあり、一概には言えないとはいえ、
いかにチームから信頼されているかの証のように思います。
もしかしたら、ベンガルズから解雇されたのは、
本人も納得がいかない不幸なことだったのかもしれませんが、
このまま、カーディナルズの信頼できるキッカーとして、
頑張ってもらいたいものですね。