悔しさから這い上がったキッカー



さて、本日のキッカー紹介は、
フィラデルフィア・イーグルスKデイヴィッド・エイカーズです。


昨年の、「キッカーレーティング」ナンバー1。
キャリア通算でも、現役2位の高さを誇る、屈指のキッカーです。


さぞや、その経歴も順調なものであろう、と思いきや、
始まりは、そうでもありませんでした。


エイカーズは、1997年に、ドラフト外カロライナ・パンサーズに入団しています。
パンサーズでは、前年に正キッカージョン・ケイシープロボウルに選出され、
絶好調であったときなので、特に必要とされていたわけではなく、
あくまで、予備としての入団だったかと思います。


が、結局、その「予備」からも落ちる形で、8月になって解雇され、
エイカーズNFL1年目は、これで終了となりました。


翌年は、まず、アトランタ・ファルコンズと契約します。
が、7月の初めになって解雇。


ここで、何があったかは分かりませんが、
2週間後に再びファルコンズと契約を結んでいます。
が、やはり、8月になって解雇。


9月になって、ワシントン・レッドスキンズプラクティス・スクワッド枠に滑り込み、
なんとかNFL残留を果たします。


すると、2週間後、正キッカーが不調だったのか怪我があったのか分かりませんが、
アクティブロースター(試合に出られる選手)への昇格を果たしました。
エイカーズは、試合で自分をアピールできるチャンスに恵まれたわけです。


ところが。
試合に出場したものの、40ヤード台のフィールドゴールに2回挑戦し、
2回とも失敗。


「チャンス」であったはずが、一転、信頼を失う結果となり、
数日後に解雇されてしまったのでした。


翌年、1999年、フィラデルフィア・イーグルスと契約。
この年、NFLヨーロッパに派遣され、ここで力を磨きます。


そのかいあってか、正キッカーでは無いもののロースター枠に残留し、
シーズンを迎えました。
すると、シーズン終盤近くになって、正キッカーが怪我をしてしまい、
数試合、試合出場のチャンスに恵まれます。


正確に言うと、正キッカーが怪我をして、代わりに入ったキッカーは、
キック力に難点があったため、
長い距離でのフィールドゴールエイカーズが任されることとなったのです。


6回中3回成功。
フィールドゴール成功率50.0%。
決して見栄えの良い成績ではありませんが、
全て40ヤード以上の距離でのものですし、
53ヤード距離も成功させることが出来ています。


これで信頼を掴んだか、翌年から全16試合に出場。
この年、2000年にフィールドゴール成功率87.9%の成績を残すと、
以降、毎年、フィールドゴール成功率80%台の成績を残し、
その信頼に応えることになります。


また、もともと「長距離キッカー」として起用されていた実績もあるように、
長い距離でもコンスタントに活躍。
2003年には、最長成功距離57ヤードという成績を残しています。


そして、その活躍は、いまやNFCを代表するものとなり、
2001年・2002年・2004年と、これまでに3度、
プロボウルに選出されています。


キャリア通算成績は、フィールドゴール成功率83.2%、
トライフォーポイントのキックは、205回中4回失敗。


当初は自分の力を発揮しきれていなかったエイカーズが、活躍を始めた転機は、
直接的には、NFLヨーロッパに派遣されたことだったかもしれません。
ただ、それよりも前、レッドスキンズ時代に、
せっかくのチャンスを与えられながら、自らの失敗でそれを逃してしまったこと。


その悔しさが、今のエイカーズを形作っている基になっているように思います。


キッカーとしては、まだまだ「若い」30歳。
これから先も、長く活躍してくれることでしょう。
楽しみですね。