悪夢の1ヶ月
さて、次は、ダラス・カウボーイズのKホセ・コルテスです。
コルテスは、1999年に、ドラフト外でクリーブランド・ブラウンズに入団。
しかし、7月の早々に解雇されてしまいます。
その7月中に、今度はサンディエゴ・チャージャーズと契約し、
プレシーズンに臨みますが、8月の終わりに解雇。
12月になって、ニューヨーク・ジャイアンツのプラクティス・スクワッド枠に入り、
3日後にロースター枠へ昇格し、試合に臨みますが、
結局、フィールドゴール挑戦もトライフォーポイントのキックも無いまま、
試合の数日後に解雇されています。
翌年、2000年は、再びチャージャーズと契約し、プレシーズンに臨みますが、
やはり8月の終わりに解雇。
この年は、これで終了します。
2001年、サンフランシスコ・49ersと契約。
ここで、ついに、レギュラーシーズン、
しかも、全16試合への出場を果たします。
フィールドゴール成功率は72.0%止まりながら、
52ヤードのフィールドゴールも成功させている、
というのが、その「1年目」の成績でした。
翌年も試合出場を続け、同じような成績を残していきますが、
11月、恐らく、コルテスのキャリアの中でも「最悪の1ヶ月」がやってきます。
まず、第9週オークランド・レイダーズ戦。
同点で迎えた、第4クォーター残り時間3秒に、
敵陣9ヤード地点(距離27ヤード)という至近距離でのフィールドゴールチャンス。
当然、成功させて勝利、となることが「絶対」求められている場面で、
なんと、痛恨の失敗。
結局、この試合は、オーバータイムでフィールドゴールを成功させ、
面目は保った形となりますが、これが、後々にも響いてくることになります。
翌週、第10週カンザスシティ・チーフス戦では、
46ヤードのフィールドゴール挑戦で失敗します。
試合としては勝っている場面でのことで、最終的にも試合には勝ちますし、
このこと自体は、そんなに大きな話題となることではないはずですが、
前週の失敗が印象深いため、やや嫌な流れとなります。
そして、第11週サンディエゴ・チャージャーズ戦。
接戦の末、オーバータイムに突入した試合で、
訪れた、41ヤードのフィールドゴールチャンス。
これを失敗してしまいます。
結果、この試合を落とすことになってしまいました。
3週続けての失敗、しかも、最後には1番悪い形の失敗をしてしまったため、
チーム関係者への印象は最悪に。
結局、約1週間後に解雇されることとなりました。
ただ、直後、12月の初めに、ワシントン・レッドスキンズと契約しますので、
他チームからの印象は、まだまだ「最悪」では無かった、ということでしょう。
レッドスキンズでは残りの4試合に出場し、フィールドゴール8回中5回成功。
40ヤード台で4回中1回しか成功できていないことが、不安を残しました。
それが最終的なネックとなったかどうかは分かりませんが、
翌年3月に、レッドスキンズはジョン・ホールと契約し、
コルテスは、ウェイバーリストに載せられます。
ここで、コルテスを拾ったのはカンザスシティ・チーフスでしたが、
8月の終わりになって解雇。
その後、10月になって、ミネソタ・ヴァイキングスと契約を結びます。
これは、当時のヴァイキングス正キッカー、アーロン・エリングが、
背中に怪我を抱えてしまい、キックオフの負担を軽減するため、
キックオフ専門での起用となったものでした。
そのため、2試合にキックオフ専門で出場を果たしたものの、
エリングの怪我が回復したため、10月の終わりに解雇されています。
翌年、つまり昨年2004年は、しばらくの間、どのチームとも契約できませんでしたが、
10月になって再びヴァイキングスと契約を結びます。
実は、これもまた、エリングの怪我のため。
当時、ヴァイキングスの正キッカーはモーテン・アンダーセンで、
エリングはキックオフ専門だったのですが、
踵を怪我してしまい、インジャリーリザーブ入りしてしまったため、
前年同様、コルテスにお呼びがかかったのでした。
そのまま、シーズン残りの8試合に出場しますが、
当然、フィールドゴールなどの記録はありません。
そして今年、5月にヴァイキングスを解雇されたコルテスは、
カウボーイズと契約してプレシーズンに臨みます。
当初カウボーイズの正キッカーだったビリー・カンディフが、
怪我をしてしまったため、コルテスにお鉢が回ってきた、
・・・というあたりは、ここで動向を詳しく追ってきたとおりです。
経歴を見てもらえると分かるとおり、
最近は、「キッカー」としての実績が無いに等しく、
今も、2002年の「悪い印象」を引きずっている感があります。
キャリアの中で、50ヤード以上のフィールドゴールに成功したのは、
たったの1回しかありません。
というより、挑戦自体1回しかなく、
「長い距離では挑戦すらさせてもらえない」という形になっています。
キックオフ専門キッカーとして起用されるくらいですから、
キック力自体はあるのですが、
正確度に欠ける、というところがあるためなのでしょう。
今年のプレシーズンでは、31ヤードのフィールドゴールを外すという、
失敗を1回してしまってはいますが、
他は、悪くない成績を残しています。
とはいえ、本日のニュースにあったとおり、
まだまだチーム関係者の信頼を得るまでには至っていないのが現状。
久しぶりのレギュラーシーズンでのフィールドゴール挑戦。
ここで実績を残して、チーム関係者の信頼を掴み取り、
2002年の「悪夢」を、今年こそ払拭してもらいたいものです。