オフェンスに関する各種データ
さて、先日から掲載している、オフェンスラインのスタッツですが、
それを作るにあたって、昨シーズンのデータを調べていましたので、
せっかくですので、掲載しておきたいと思います。
まず、ランオフェンスについて。
なお、あくまで、公式サイトの「Play-by-Play」上で、
見分けがついたものを集計しているだけでして、
クォーターバックのスクランブルで本当はパス攻撃だったのに走った場合など、
「どの方向へのラン攻撃だったか」があいまいになっているものは、
含まれていませんのでご了承ください。
ランオフェンスは、シーズン通して13782回ありました。
そのうち、「1ヤードでも前に進んだもの」は11293回。
実に81.9%のランオフェンスが「成功」しているわけですが、
これを「多い」と見るか、意外と「少ない」と見るか。
そして、「1ヤードも進まなかったもの」=「ノーゲイン」は1168回、
「ロスしてしまったもの」は1321回です。
どちらも、ランオフェンスとしては「失敗」ですが、
ロスしているケースの方が多いのは、ちょっと意外な感じでしょうか?
ちなみに、「インチ」と言われるような短い距離を残したオフェンスで、
ぎりぎりファーストダウン更新したような場合も、
「Play-by-Play」上では、「1ヤード進んだ」ことになっています。
(ランニングバックの獲得ヤード上でも、恐らくそうなってます)
さて、ランオフェンスについて、「中央突破」のケースや、
「右タックル方向へ向かっていった」ケースなど、
方向別に細かく分けても集計してみたのですが、
概ね、傾向は変わりませんでした。
ただ1つ、大きく傾向が違ったのは、
「左右サイドライン方向へ向かったラン」のケースでした。
こういったケースは、回数としては3342回あり、
「1ヤード以上」は2636回、「ノーゲイン」は251回、
そして、「ロス」が455回ありました。
全体のときは、「ロス」は10%未満の割合だったので、
このケースでは明らかに「ロス」が多いです。
対して、この「左右サイドライン方向に向かったラン」を除いたケースでは、
全体として10417回、「1ヤード以上」が8636回、
「ノーゲイン」が917回、「ロス」が864回。
「ノーゲイン」より「ロス」の方が、回数が少なくなっていますね。
この現象を、実際のプレーを思い浮かべて考えてみると、
当然、まっすぐ突っ込むよりも、左右に走っていったほうが、
走る距離が長い、ということもありますが、
オフェンスラインからの観点で考えると、
「自分たちのいないエリアで行われているプレー」ということになります。
もちろん、全く影響が無いわけではないでしょうが、
オフェンスラインのスタッツを考える上では、
この違いは考慮に入れる必要がある、と感じました。
次に、パスオフェンスについて。
なお、ここでは、直接クォーターバックがパスしたものだけを含め、
他の選手がボールをクォーターバックから受け取って投げたプレーや、
いわゆる、「フリーフリッカー」と言われるスペシャルプレーなどは、
含めてありません。(例外的なものなので)
まず、「パスしたプレー」は、全部で16276回ありました。
近年はランよりパスが多い、というのは、よく言われていることなので、
その通りのデータですね。
そのうち、「パス成功」したのは9787回。
パーセンテージにして60.1%です。
残りは「パス失敗」なわけですが、ただの「失敗」が5954回で、
「インターセプト」が535回でした。
このあたりは、クォーターバックのスタッツでも出てくるので、
大体、イメージどおりでしょうか。
ちなみに、同じ「パス成功」でも、獲得距離別に見てみたところ、
「1ヤード以上」が9483回なのに対し、
「ノーゲイン」が124回、「ロス」が180回でした。
これをどう考えるかは、やや微妙なところですね。
で、先ほどの「16276回」には、
「サックされた回数」は含まれていませんが、
これも、「パスオフェンス失敗」の1つですね。
回数は、全体で1195回ありました。
一応、距離別でも調べてみましたが、「ロス」が1138回で、
「ノーゲイン」というか「1ヤードもロスしなかった」のが57回でした。
まあ、これはあんまり、分けて見る意味は無いですね。
ちなみに、1ヤードでも前に出てクォーターバックがタックルを受けた場合は、
ルール上、「サック」には数えられません。
さて、最後に、反則について。
これは、さらに、集計上の制限があるのですが、あくまで、
「スターターのオフェンスライン選手がオフェンス時に受けた反則」のみ、
集計しています。
つまり、途中交代で出てきたオフェンスライン選手が受けた反則や、
オフェンスライン選手がディフェンスメンバーとして出てきた場合の反則などは、
ここに含まれていない、ということです。
前者は、見分けが付きにくい、という理由で、
後者は、あくまでオフェンスラインとしての調査だから、という理由です。
また、「反則するようなプレーをしたかどうか」が重要だと考えましたので、
その反則を、実際は相手が適用しなかった場合も、回数に含めてあります。
で、そういった反則は、全部で981回ありました。
反則の種類は、実に17種類もありましたが、
そのうち、485回が「フォルススタート」の反則、
351回が「ホールディング」の反則で、
あとは、残りの15種類合計で145回でした。
まあ、オフェンスライン選手が犯す反則は、ほぼ決まっている、
ということなんでしょう。
というわけで、これらのデータを基にスタッツ計算式を作ったのですが、
今回は、データの紹介までとしておきます。
まだ、「このスタッツに妥当性があるかどうか」を見ている段階なので、
あまりに妥当性が無いのであれば、計算方法を調整するつもりです。
これから、頻繁に「オフェンスラインスタッツ」を掲載すると思いますが、
そういった観点で見ていただければ。