素晴らしいキッカー
「SPORTS-i ESPN」で放映していた「ハワイボウル」を見ました。
いやぁ、これもまた、凄い試合でしたねぇ。
開始5分ちょっとで、UCFが0対14とリードしたかと思えば、
第2クォーター半ばにネバダ大が21対17と逆転。
第3クォーター終盤にUCFが28対32と再逆転し、
第4クォーター序盤にネバダ大が35対32と再々逆転。
さらに終盤には42対32と突き放し。
このまま終わるかと思いきや、残り時間1分30秒くらいに、
UCFがフィールドゴールを決めて42対35と7点差とすると、
オンサイドキックを成功させ、そのドライブをタッチダウンに結びつけ、
なんとなんと、オーバータイム突入。
そして、オーバータイムでは、「先攻」のネバダ大がタッチダウンを決め、
すぐに「後攻」のUCFもタッチダウンを決め、
更に続くと思いきや、UCFがトライフォーポイントのキックを失敗し、
ここで試合終了。
なんというか、言葉に詰まる試合展開でした。
そうそう、オーバータイム。
前に、「カレッジフットボールのルールは日本のアメフトと(ほぼ)同じ」、
ということを書きましたが、
オーバータイムについても、NFLとはかなり違うので、
実は、そのときに触れようかとも思っていたのでした。
これも「日本と同じ」であることが確認できたので、
ちょうどいいので、ここで触れておきます。
先ほども書きましたが、「先攻」「後攻」という概念があります。
コイントスをして、先攻・後攻を決め、
キックオフは無しで、25ヤード地点から「先攻」チームがオフェンス開始。
そのドライブが、タッチダウンなりフィールドゴールなり、
または、ターンオーバーなりで終了したら、攻守交替。
「後攻」チームも同じようにオフェンスをします。
この、「表」「裏」の両オフェンスが終わった段階で、
点差がついていたら、試合終了。
そして、同点なら、更に同じことが続きます。
(コイントスは、そのつど行うそうです)
NFLのオーバータイムは、コイントスで勝ったら、
間違いなく「レシーブ」を選択するところですが、
この先攻・後攻のルールでは、まず「後攻」を選ぶところでしょう。
「先攻」がもし7点取ったら、無理でも頑張って7点を狙わなくてはいけないですし、
3点だったら、無理そうなら3点で終えてもよく、
もし0点だったら、ちょっと前に進んでフィールドゴールでほぼ勝利確定、
・・・というように、戦略を立てることが出来るからです。
「先攻」だと、例えばフォースダウンで1ヤード未満の距離が残ったときに、
3点で終えるか、ギャンブルに出るか、非常に悩ましいところですが、
「後攻」なら、相手が何点取っているかによって、戦略を立てられますからね。
先ほど、「日本のアメフトとルールが同じ」と書きましたが、
通常、同点で第4クォーターが終わった場合は「引き分け」になり、
実際に、このオーバータイムのルールが適用されるのは、
ポストシーズンの試合だけになりますので、
このルールで行われるオーバータイムを見たことがある方は、
意外と少ないのではないでしょうか。
実は、僕は実際に試合会場で、これを見たことがあります。
5月2日の日記で、波木健太郎のことに触れたときに、
2年前の早稲田大学対東海大学の試合を観戦した、ということを書きましたが、
その試合が、オーバータイムに突入した試合でした。
そのときにも、「うわぁ、珍しいもの見たなぁ」とは思ったのですが、
後々から考えてみると、ホント、かなり珍しいものを見たように思います。
さて、ハワイボウル。
得点を見ても分かるように、とにかく両チームとも、
「オフェンス大爆発」の試合だったのですが、
最終的には、UCFのKマット・プレイターに全てが集約される試合でしょう。
47ヤードや45ヤードといった、長距離のフィールドゴールを成功させていますし、
キックオフのキックは、(まともに蹴ったものは)全てタッチバック。
そういった素晴らしいキック力を見せたかと思えば、
試合終盤には、見事なオンサイドキック。
いや、正直、NFLの試合を含めても、
あそこまで完璧なオンサイドキックを見たのは、初めてだと思います。
全然「運を天に任せた」キックではなくて、
練習の通り動けばボールを取ることが出来る、というような、
スピード、コース、ともに完璧なオンサイドキック。
ちょっと感動しました。
そして、最後のトライフォーポイントのキック失敗。
恐らく、この試合は、
「キッカーのミスによって勝敗が決まった試合」として、
記憶されることになるのでしょうが、
このあたり、キッカーの宿命というか、辛いところですね。
せめて、僕だけでも、「プレイターが素晴らしいキックを見せていた試合」と、
記憶しておきたいです。
プレイターは4年生ですが、NFL入りはあるんでしょうかねぇ。
もちろん、ドラフト指名は無いでしょうけども。
キック力は間違いなくありますから、
どこかのチームから声がかかっても、おかしくないと思います。
こんな形で「フットボール生活」が終わるのも忍びないので、
是非、NFLで活躍してもらいたいなぁ。
そのほか、この試合で面白かったのは、
やはり、ネバダ大の「変わったオフェンス隊形」でしょうね。
正直、隊形とか、僕はあまり詳しくは分からなかったりしますが、
そんな「素人」が見ても分かるような、「変わっている」っぷり。
見ていて、非常に面白かったです。
そのおかげで、「オフェンス隊形の進化の歴史」として、
何十年も前の貴重な映像が見られたのも、嬉しいことでした。
(この映像は、永久保存かなぁ)
詳しくないので、名前だけ羅列しておくと、
「シングルウイング」→「Tフォーメーション」→「ウィッシュボーン」→
「Iフォーメーション」→「スプリットバック」→「シングルバック」→「ショットガン」
詳しくないながらも、映像を見て、なんとなく進化の過程が分かりました。
そして、このネバダ大の「ピストル」隊形。
(簡単に言えば、「Iフォーメーション」と「ショットガン」を足したような感じ)
これは、「次の進化形」となるのかどうか。
NFLでも、何年か後に流行りだす可能性だってありますからね。
そうだったら、面白いなぁ。
以上、ハワイボウルの感想でした。