これも「試合」



ピッツバーグ・スティーラーズインディアナポリス・コルツの試合が、
NHKBS1で放映されました。


QBペイトン・マニングとコルツに、
今年こそスーパーボウルを獲ってもらいたかった者としては、
この結果は残念な限りですが、まあ、そういうものなんでしょう。


チームとしては、今一番応援しているのがコルツで、
2番目がスティーラーズですので、こうなったら、気持ちをスパッと切り替えて、
スティーラーズスーパーボウル制覇を願いたいと思います。


ああ、そうか。
インディ・トリプレッツも、これで見納めになるかもしれないんだ。
RBエジリン・ジェイムズの移籍が濃厚なので)


そう考えると、寂しいなぁ。


それにしても、この試合のスティーラーズは、素晴らしかったですね。


もちろん、ディフェンス陣も素晴らしかったですが、
特に序盤のQBベン・ロスリスバーガーの出来なんて、
パーフェクトと言っても良いのではないでしょうか。(インターセプトはありましたが)


序盤、いつもの「ランを中心としたオフェンス」ではなく、
「パスを中心としたオフェンス」で、コルツ相手にこれだけの結果を残したのは、
ロスリスバーガークォーターバックとしての能力の高さを、
よく表しているのではないかと思います。
(「ランプレーへの恐れ」が背景にあるとはしても)


あと、印象的だったのは、「お客さんのうるささ」。
いや、相手のオフェンスを邪魔する「クラウドノイズ」だったら分かるんですが、
コルツのオフェンスのときも、うるさいうるさい。


そのせいで起こったと思われるフォルススタートも、何回かありましたし。


マニングが両手を広げて、「静かにしてくれ」というジェスチャーをしている場面が、
何度もありましたが、どうにも逆効果。
あれじゃあ、「ホームフィールドアドバンテージ」も何もあったもんじゃないですねぇ。


解説で「スティーラーズファンはどこにでもいる」と言われていましたが、
(確かに、「テリブルタオル」を振り回しているお客さんはいっぱいいましたねぇ)
そうなると、どのチームもスティーラーズをホームに迎え撃ちたくはないところかも・・・?


それから、この試合でも出た、マニングの「コーチの指示無視」について。
(パントチームを自分の判断で追い返して、ギャンブルをしたプレー)


あまり褒められたことじゃない、という意見が多いかもしれませんが、
僕は、「あり」だと思っています。


トニー・ダンジーヘッドコーチだって、無能ではありません。
いくらマニングが力を持っているといっても、
本当に「ダメ」だと思ったら、マニングの思い通りにさせないはずです。
(そうでなければ、指導力が疑われます)


大事なのは「試合に勝つこと」であり、
「コーチの考えを押し通すこと」では無い、ということで、
マニングの判断の正しさを認めているからこそ、許しているのではないでしょうか。


これで、ギャンブルに失敗していたとしても、
マニングを批判するようなことはしないでしょうしね。


ところで、今、巷では、この試合の「誤審問題」が、結構騒ぎになっています。


試合終盤に、スティーラーズSSトロイ・ポラマルが、
インターセプトした後にファンブルしてすぐにボールを押さえた、というものが、
チャレンジで覆って、「パス失敗」という判定になった、あのプレーです。
(その前にも微妙な判定があったりしましたが)


多くの人が疑問に思った判定で、試合後にスティーラーズLBジョーイ・ポーターが、
「コルツに勝たせようと有利な判定をしていた」と審判を批判したりもし、
そして後日、NFL審判団から「あれは覆すべきではなかった」という公式見解が出ました。


確かに、僕も、見ていて「いや、その判定はおかしいだろう」と思ったのですが、
いくら審判といえど、人間がやることなので、ミスもあるでしょうし、
誤審も含めて「試合」だと思っているので、
これでコルツが逆転勝利したら、ちょっと後味悪いけど、それもまた「試合」だと、
そんな風に思って見ていました。
(これは決して、コルツを応援していたから、というわけではなく)


最近の大きな「誤審」といえば、
つい先日のカレッジフットボールの「ローズボウル」で、
テキサス大のQBヴィンス・ヤングが、倒れざまにラテラルパスをして、
受け取った選手がそのままタッチダウンしたプレーがあったのですが、
明らかに、ボールを投げる前にヤングは膝をついていました。


今シーズンから、ボウルゲームでは「ビデオリプレイ」が導入されていて、
この試合でも、何回か、審判の自主的な確認が行われていたのですが、
このプレーでは、再確認が行われず。


「タラレバ」を言い出せば、この「誤審」が無ければ、
もしかしたら、USCが勝っていたかもしれないわけで。


でも、たとえそうであっても、テキサス大の勝利の価値は、
決して薄れるものではないと思います。
(そして、ローズボウルが素晴らしい試合であった、ということにも変わりなく)


ちょっと前のNFLでは、ニューイングランド・ペイトリオッツが、
初めてスーパーボウルを制覇した年のプレーオフで、
QBトム・ブレイディファンブルが、「フォワードパス中だった」と判定され、
事なきを得たという「疑惑の判定」があったりしたのですが、
あれがファンブルになっていたら、ペイトリオッツスーパーボウル制覇はどうなっていたか。


でも、そんなことで、スーパーボウル制覇の価値は落ちたりしませんからね。


誤審は無いに越したことがないですが、
誤審があったからといって、その試合に疑問符を付けるのは、どうかと思います。


まあ、今回の場合、なんとかスティーラーズが逃げ切ったので、
そこまでの大問題にはなっていませんが。


今回、改めて分かったのは、「ビデオリプレイを導入したところで誤審は無くならない」、
ということでしょうかねぇ。
いや、「チャレンジ」の仕組み自体は、試合のエッセンスとして面白いので、
そういう意味で、あった方がいいとは思いますが。


余談ながら、選手名などを「NFLに関連するキーワードを登録するグループ」に登録する際に、
アメリカの「Wikipedia」(電子百科事典)をチェックしているのですが、
この「誤審」を出したオフィシャルピート・モレリさんが、
早速登録されていたのには、笑ったというか、あきれたというか。
(活躍している選手でも、登録されていない人は結構いるのに)


まあ、それだけ多くの人に注目され、話題になっていた、ということなんでしょうけども。
どうも、モレリさんの家に石が投げ込まれただとか、そんなことも起こっているようですが、
どんな結果であったとしても、審判を恨んではいけないですよね。


それよりも個人的には、スティーラーズRBジェローム・ベティスが、
最後の最後にファンブルした、あのプレーの方が問題で。


もし、あのままコルツが逆転していたら、それはそれで喜ぶべきところですが、
反面、今シーズン限りでの引退を表明しているベティスの「最後のプレー」が、
あのファンブルになってしまうかと思うと、いたたまれなくて・・・。


最後のコルツのドライブは、ドキドキしながら、非常に複雑な思いで見ておりました。


もし、あれでスティーラーズが負けていたりしたら、
ベティスも、こんな形ではやめるにやめられず、来年も現役続行、
・・・なんてことがあったかもなぁ、と思ってしまったりも。
(解説でも言われていましたが)


あの、ファンブルリターンを止めたロスリスバーガータックルは、
序盤のオフェンスでの活躍をしのいで、
この試合での最も素晴らしいプレーと言っても良いかもしれませんね。


あと、興味深かったのは、最後、
コルツKマイク・ヴァンダージャットフィールドゴールが失敗した瞬間に、
各人がつぶやいていた「言葉」について。


ダンジーヘッドコーチは、どうやら「オーマイゴッド」のようでしたが、
マニングは、口の動きから見るに、あからさまな「放送禁止用語」のような・・・。
まあ、マニングヴァンダージャットの仲の悪さは周知の事実ですが。


こういうときに、人の性格って表れてきますねぇ。
(とか書くと、マニングのことが嫌いみたいですが、それとこれとは別)


この場面を見て思い出したのは、昨シーズンの開幕戦、ペイトリオッツとの試合でした。


あの時も、コルツが3点差を追いかける展開。
敵陣17ヤード地点まで攻め込んでいて、フィールドゴールは確実っぽかったのですが、
マニングサックをされて、12ヤードも後退してしまい。


それでも、48ヤードのフィールドゴール挑戦でしたから、
ヴァンダージャットの力をもってすれば・・・とも思われましたが、
失敗してコルツ敗戦。


そのときも、マニングは、「おいおい、それくらい決めてくれよ」というような、
そんな表情をしていたのですが、
「いや、その前にあなたがサックされなければ」と思わないでもなく・・・。


そんなにまでしてヴァンダージャットを苦しめたいのか。(んなわけはない)


マニングヴァンダージャットの仲の悪さを再確認しました。
(両者とも応援している者としては、複雑な気持ちですが)


そうそう、非常に個人的なことですが、この試合のGAORAの生中継を見終わった後に、
(正確には、深夜の生中継を録画して、朝早く起きて見たのですが)
ふと気が付いたら、例の「スティーラーズのTシャツ」を着ていたことに気が付きました。


・・・コルツを応援していたんじゃないのかい、と自分で自分にツッコミ。
ちなみに、コルツのTシャツも2枚持っているんですけどねぇ・・・。


まあ、とにもかくにも、スティーラーズは、
昨年、AFCカンファレンスチャンピオンシップで負けていますから、
今年こそは、勝ってスーパーボウルに進んでもらいたいですね。


しかし、そう考えると、ペイトリオッツが負けたのは、良かったよなぁ。


あの、寒い寒い「ジレットスタジアム」に乗り込んだら、
どうにも、昨年の二の舞になってしまいそうな、そんなイメージが・・・。


いや、相手がデンバー・ブロンコスでも、敵地に乗り込むことに変わりは無いのですが。
まあ、スティーラーズファンもまた乗り込んでいくでしょうしね。


ちなみに、第6シードのチームがカンファレンスチャンピオンシップに進むのは、
史上初めてのことになるそうです。(ちょっと意外かも)


もちろん、スーパーボウルに進めば素晴らしい快挙。
是非、成し遂げてもらいたいですね。


そんな感想の試合でした。