接戦、そして、熱い展開



アメリカンフットボールワールドカップ


まず、台風の影響で開催が危ぶまれている明日の決勝戦ですが、
どうするのか、午前10時に、公式サイトで発表があるそうです。


さて、本日は大会5日目、5位決定戦と3位決定戦。
風雨の吹き荒れる中、川崎球場に行って参りました。


いやぁ、第1試合の第1クォーターが終わる頃には、もう、指ふやふや状態。
そして、その試合が終わる頃には、寒さで震えが・・・。


これは、第2試合を無事で見られるのか・・・と、やや心配になりましたが、
夜は空気が生暖かくなってきたので、意外と大丈夫でした。


まあ、雨の勢いは、第2試合のほうが強かったのですが・・・。


アメフトというスポーツは、「雨の中で試合」ということは普通に行われることですが、
これほどの風雨の中というのは、どの選手も、あまり経験がなかったのではないでしょうかね。


皆さん、お疲れ様でした。


さて、まずは、第1試合、「5位決定戦」フランス対韓国の試合の感想を。


韓国代表側の席で観戦しておりましたが、いやぁ、頑張りましたね。


もちろん、フランス代表のミスの多さに助けられたのも事実ですが、
最後まで、よく集中してプレーできていたと思います。


今、改めてスタッツを見て、「おお、そういえば!」と驚いたのですが、
韓国代表は、この試合、反則が1つも無かったんですよね。


雨の中の試合というのは、ミスが起こりやすく、
そして、反則も起こりやすくなるものですから、
そんな中での「反則0回」は、とても素晴らしいことと言えるでしょう。


それが、最終的に「勝利」を引き寄せることになりました。


ただ、前半を「0対0」で折り返したときに、「よく頑張ってるなぁ」と思いつつ、
主に頑張っていたのはディフェンス陣で、
どうも、オフェンスに光明が見出せない状態だったので、
このままでは辛いだろうな、というように感じていたのも事実。


ちなみに、前半、韓国側が自力で更新したファーストダウンは、たった2回だけ。
このままでは、得点できる展開が思い浮かびません。


それこそ、インターセプトリターンタッチダウンでも無いと・・・。


しかし、そんなビッグプレーは飛び出さず、その代わり、
久々に、「アメフトは陣取りゲーム」という言葉を思い出す展開となりました。


第3クォーター最初のフランス側のオフェンスシリーズは、
敵陣29ヤード地点まで進み、ここでフォースダウンギャンブル


実は、両チーム通じて、敵陣30ヤード以内に進入したのは、これが最初のことでした。


風もありましたし、この距離でフィールドゴールに挑戦するのは辛いところですから、
こう着状態を打開するために、ギャンブルは十分にあり得る「一手」です。


そして、エンドゾーンめがけてボールが投げられたのですが、
韓国側は、ディフェンスの良さで、なんとかこれをしのぎました。(ちょっと危なかった)


この後、両チームが1回ずつオフェンスをするも、お互いすぐに終了。


しかし、その次の韓国側のオフェンスシリーズ。
韓国側のオフェンスは、やはりパッとしませんが、
フランス側が、痛い反則を2つ犯してしまい、敵陣32ヤード地点まで攻め込むことに成功。
ここでフォースダウンとなります。


先ほどのフランス側のオフェンスが攻め込んだのと同じような位置で、
韓国側にとっても、この試合で最も敵陣奥深くまで攻め込んだことになるのですが、
ここで韓国側が選択したのは、パント。


堅いです。


このパントが、非常に良いパントとなり、
フランス側のオフェンスは、自陣5ヤード地点からの開始となりました。
そして、自陣13ヤード地点という奥深くからパントを蹴らせることに。


これにより、敵陣45ヤード地点からのオフェンス開始となった韓国代表は、
この「ワンチャンス」をものにすべく、この試合最初で最後の、好オフェンスを展開。
敵陣12ヤード地点まで攻め込むことに成功します。


そして、29ヤードのフィールドゴール挑戦。


風雨があったので、心配なところでしたが、これを見事に成功させ、ついに均衡を破ります。
この時点で、試合残り時間2分強。


最後は、この試合通して頑張っていたディフェンス陣が、もうひと踏ん張りし、
韓国代表の見事な勝利となったのでした。


正直、韓国側のオフェンスは全く進まないし、フランス側はミスばかりだし・・・で、
寒さもあって、見ていて、ちょっと辛い試合ではありましたが、
でも、最後の展開は、なかなか面白いものだったと思います。


アメフトというのは、体格差など個人能力に差があっても、
十分に勝つことが出来るスポーツなんだと、良い形で示してくれたのではないでしょうか。
(これは、これまで日本代表が示してきたことでもあります)


今は、まだまだですけども、そのうち、韓国代表が、
日本代表の前に「強敵」として立ちはだかる時代が、来るかもしれませんね。


そんなことを感じさせてくれた試合でした。


それにしても、フランス代表は、反則が多かったなぁ。


1つのプレーの中で、1チームが4個の反則を犯すのなんて、初めて見たような・・・。


僕は、アメフトで起こる大抵のことは好きですけども、反則だけは嫌いでして、
たとえ応援しているチームが反則で得をしても、ちょっと喜べないんですよね。
それが、この試合で残念だったところ。


同じ反則を何度も繰り返しているのは、それだけプレーが雑だということなので、
そのあたりの改善を、今後は期待したいですね。


「ヨーロッパ2強」の間に割って入る存在となって、4年後のワールドカップで、
見違えるような姿を見せてくださいな。


さて次に、第2試合、「3位決定戦」スウェーデン対ドイツの試合の感想を。


この試合は、スウェーデン代表側の席で観戦しました。


こちらも、先ほどの試合と同じく、前半を「0対0」で折り返すという、
ロースコアの展開でしたが、より「実力伯仲!」という感じで楽しかったです。


激しい風雨の中ですから、両チームとも、
最初からロースコアの展開を予想していたのでしょうが、
ドイツ代表が、こういったときにオーソドックスな「ラン中心オフェンス」できたのに対し、
スウェーデン代表は、積極果敢にパスオフェンスを展開。


時折、素晴らしいキャッチもあり、盛り上げてくれました。


試合を決めたのは、1つのパントリターンタッチダウンだったので、
スウェーデン代表としては、悔やまれるところでしょうが、
「さすが、ヨーロッパ王者」というところを見せてくれたと思います。


そして、終盤には、非常に熱い展開もありました。


第4クォーターも半ばを過ぎ、7点差を追いかけていた中、
スウェーデン側のオフェンスは、自陣奥深くでインターセプトを喰らってしまいます。


もう、1点も追加点を取られてはいけない場面で、非常に痛いミスです。


ところで、アメフトでは、攻守交替があったときに、
戻ってきた選手たちが半円形になって、コーチの指示を受けるのですが、
僕はちょうど、オフェンス選手が集まるところの近くに座っていたんですよね。


で、試合終盤ですから、ここまでに何回も指示を受けるところを見ているのですが、
このときばかりは、雰囲気が違いました。


選手たちが意気消沈している、ということもありますが、
それ以上に、スウェーデン代表コーチの激しさが目立ちまして。


もちろん、何をしゃべっているのか、僕には分かりませんでしたが、
相当激しい口調で、叱咤激励しているのであろうことが伝わってきます。


そして、選手たちにも気合が入ってきて、輪を解散した、まさにその瞬間。
スウェーデン側のディフェンスが、ファンブルからのターンオーバーを引き起こしたのです。


いやぁ、たった今、気合を入れなおされたばかりのオフェンス選手たちが、
そのままフィールドに向かっていく姿は、なかなかしびれましたね。


結果には結実しませんでしたが、そんな場面を見られたのは、良かったです。


更に、その後。


ドイツ代表の「最後のオフェンス」を、タイムアウトを使いつつ、しのぎきって、
試合残り時間17秒でパントを蹴らせることとなりました。


ここで、当然、スウェーデン側は、ディフェンス選手たちが下がり、
リターンチームが出てくるのですが、なにやら交代に混乱が見られます。


そして、ふと見てみると、リターナーがいません。


うわぁ、こんな大事なときに、そんなミスをするなんて・・・!
・・・と焦っていると、ドイツ代表側がディレーオブゲームの反則。


助かった・・・。


ところが。


その後、もう1度並びなおしても、やはり、リターナーはいません。
11人全員、ライン上に並んでいます。


そうか、そういうことか!
ようやく、分かりました。


つまり、この少ない残り時間で、勝機を見出すために、
パントブロックに全てを賭けたというわけです。


そのことが分かると、俄然、この「1プレー」を見る目に力が入ります。


そして、それが見事に結実。


プレッシャーを感じたのか、パンターがボールを落としてしまい、
その場でタックルを受けることになりました。


試合残り時間は11秒しかありませんが、
敵陣21ヤード地点からという、絶好のポジションからオフェンス開始です。


いやぁ、熱い展開ですねぇ。


結果は、2プレー続けてエンドゾーンに向けたパスが失敗し、万事休す。
しかし、十分に楽しめました。


ところで、この試合、僕が最も注目していたのは、
スウェーデン代表のKオラ・キムリン


・・・だったのですが、結局、出番は後半のキックオフ時のみでした。
非常に残念。


ただ、キムリン絡みの見所が、ハーフタイムにありまして。


ロースコアゲームで、フィールドゴールで決着する公算も高いと踏んだのか、
まだハーフタイムショーが行われている中、
ドイツ代表のキッカーシュテフェン・デルガー)が、おもむろに登場し、
キック練習を始めたんですよね。


で、それを見て・・・なのかどうかは分かりませんが、キムリンも登場。


まず、キックオフ練習を1回して、
続けて、フィールドゴールの練習をデルガーと並んで始めました。


本人たちに、対抗意識があったかどうかは分かりませんが、
交互に、同じゴールポストに向けて蹴っている姿は、なかなか面白かったです。


結構、長距離で蹴ってましたが、僕の見たところ、
やはり、キムリンの方が安定感があって、良いキックだったように思いました。
それだけに、出番が無かったのが残念なところ。


ちなみに、デルガーは、後半開始最初のドイツ側のオフェンスで、
早速、42ヤードフィールドゴール挑戦のチャンスが回ってきますが、
これを外してしまうこととなりました。


ハーフタイムの練習風景を見ていたので、なかなか味わい深い(?)場面でしたねぇ。


以上、3位決定戦と5位決定戦の感想でした。


さあ、いよいよ、残り1試合! (開催されますように・・・)