怪我と戦うキッカー



本日のキッカー紹介は、カロライナ・パンサーズKジョン・ケイシーです。


昨日、アトランタ・ファルコンズトッド・ピーターソンが、
「35歳の大ベテラン」と書きましたが、
ケイシーも、同じく35歳。(今年10月で36歳)
NFL入りからのキャリアは、ケイシーの方が大ベテランです。


ケイシーは、1991年に、ドラフト4巡指名でシアトル・シーホークス入り。
その年から全試合に出場し、安定した活躍を見せます。


転機は、4年後の1995年。
フリーエージェントとなったと同時に、ケイシーはパンサーズと契約します。
なぜシーホークスを離れ、パンサーズと契約したか、詳しくは分かりません。


1つ言えるのは、パンサーズは、この年に誕生したばかりのチームだったということ。
つまり、ケイシーはパンサーズ発足時のオリジナルメンバーの1人なのです。


当然、出来たばかりのチームには、
エクスパンションドラフトがあったとはいえ)
人材から何から不足しているわけですから、
相当熱心に、誘われたのかもしれませんし、
また、そういうチームでの挑戦を、ケイシー自身が望んだのかもしれません。


当然、パンサーズでも、その年から全試合に出場。
翌年には、リーグ1のフィールドゴールの成功回数を記録し、
「新チームが創設2年目で地区優勝」という快挙を成し遂げる原動力となります。
ちなみに、この年は、NFCカンファレンスチャンピオンシップまで勝ち進みました。


順調すぎるほど順調に活躍していたケイシーですが、
1999年のシーズン終盤に膝の怪我で3試合欠場します。
翌年は復帰できるかに見えましたが、
トレーニングキャンプでまた膝の怪我をしてしまい、
2000年シーズンは、1試合も出場せずに終わってしまいます。


翌年は通常通りの活躍を見せますが、
2002年シーズンは、腿の付け根の痛みにシーズン当初から悩まされ、
30ヤード以上のフィールドゴールを成功させることが出来ない、
という大変な事態に。
結局、この年は2試合出場したのみで、インジャリーリザーブ入りします。
(最終的には、ヘルニアの手術を受けています)


こんな大変な目にあいながらも、
復帰してからのここ2年、非常に高いレベルで活躍を見せています。
昨年は、フィールドゴール成功率86.4%、最長成功距離54ヤードでした。
全く、衰えを感じさせませんね。


・・・といったところが、ケイシーの経歴になります。
まとめるならば、「順調な前半」と「怪我との戦いの後半」になりますでしょうか。
そんな中で、衰えるどころか、ますますの活躍を見せているのは、
本当に頭が下がります。


個人的に、ケイシーが印象に残っている試合を挙げると、
あまり良くない印象で申し訳ないのですが、
2003年シーズンのスーパーボウル
ニューイングランド・ペイトリオッツ戦になります。


と言っても、この試合、ケイシーは、
フィールドゴールトライフォーポイントのキックも、1度も外していません。
では何が、「あまり良くない印象」なのかと言いますと。


試合残り時間3分を切ったときに、ペイトリオッツが逆転タッチダウン
プラス、ツーポイントコンバージョンを決めて、7点差としたときには、
さすがにこのまま勝負は決まりかと思われました。


しかしながら、ここから、パンサーズ・・・というか、
クォーターバックジェイク・デロームが素晴らしいドライブを見せ、
残り時間1分少々になった時点で、同点に追いつきます。


これは、オーバータイム突入か?
誰もがそう考え始めたとき・・・。


ケイシーがキックオフで蹴ったボールは、
あからさまに右側のサイドラインの方向へ飛んでいってしまいます。
アウトオブバウンズ


キックオフされたボールが、誰にも触られずにサイドラインから出た場合は、
相手チームは、自陣40ヤード地点からオフェンスを始められる、
というルールがあります。


例えば、敵陣30ヤード地点に到達すればフィールドゴールに成功するとすると、
自陣20ヤード地点からなら、50ヤード進まなければならないのが、
自陣40ヤード地点からから、30ヤード進めばよいことになります。


もとより、ペイトリオッツのQBトム・ブレイディにとって、
こういった場面は、得意中の得意とするところ。
そのとおり、しっかりと30ヤードちょっと進めて、
最後は、Kアダム・ヴィナティエリのキックで、勝負の幕を下ろしたのでした。


最後の最後に来て、なぜここでこんなミスが・・・、と思われますが、
それが「勝負のあや」というものなのでしょう。


ちなみに、ケイシーは、「1試合5フィールドゴール成功」という、
プレーオフ記録を持っています。
決して、大舞台に弱いわけでは無いんですよね。


パンサーズは創設11年目を迎え、
ケイシーも、パンサーズに来て11年目のシーズンとなります。
創設当時のオリジナルメンバーで、今もパンサーズに残るのは、
もう何年も前から、ケイシーだけとなってしまいました。


創設2年目に、チームを地区優勝に導いたときのように、
また、一昨年、チームをスーパーボウルにまで導いたときのように、
今年も、怪我に負けずに、更なる活躍を期待したいと思います。