「ランナーレーティング」の概要
「全ポジションの選手に注目する」のための「手がかり」作成。
今回は、「ランニングバック」です。(フルバック等も含む)
なお、フルバックやタイトエンド等のブロック力やパスプロテクション力は、
「数値」にするには、あまりにも手がかりが無いので、
ランニングバック・フルバック・ワイドレシーバー・タイトエンドについては、
前回の「レシーバーレーティング」と今回の「ランナーレーティング」で、
全てカバーすることになります。
さて、ランニングバックの「能力指標」(ランキングとなる指標)と言えば、
一般的には「ラン獲得ヤード」だと思います。
キッカー・パンターや、レシーバーのときに、
「従来のランキング指標には不満を持っていた」ということを書いてきましたが、
実は、ランニングバックについては、これであまり不満はありませんでした。
活躍している選手が、結構上位に来ているように思えますし。
まあ、じゃあ、それでいいのかな、とも思うところですが。
ただ、これは「レシーバーレーティング」のときと全く同じことになりますが、
やはり、「ラン中心オフェンス」なのかどうか、ということは結構関わってくるところで。
あと、そのチームの中心ランニングバックが1人なのか2人以上なのか、ということが、
同じように大きく関わってきているようにも思います。
実際のところ、総獲得ヤードが少なくても活躍している(と思われる)選手はいますし。
また、これには「タッチダウン数」という、
もう1つの「評価すべきポイント」が、含まれていません。
別に「何ヤード獲得、何タッチダウン」って並べて表記すれば良いのでしょうが、
「パンターパワーヤード」のときにも書きましたように、
いくつもの指標が平行して存在する、というのはちょっと分かりにくいかな、
と思うところがあります。
クォーターバックも、「何ヤード獲得、何タッチダウン」って書くよりは、
「QBレーティングいくつ」って書いたほうが、直感的にも分かりやすいですしね。
だから、なんとかして、まとめたいなぁ、と。
もう1つ付け加えると、試合の感想なんかで、しばしば書いていたりしますが、
僕は、ランニングバックがファンブルをするのは、
「やっちゃいけないこと」だと思っています。
「良いランニングバック」は、極力ファンブルしない選手だと思っているので、
この「ファンブル数」も、是非「指標」に入れていきたいところです。
すると、「獲得ヤード」に「タッチダウン数」に「ファンブル数」。
・・・なんか、「QBレーティング」や「レシーバーレーティング」に似てきましたねぇ。
考えてみれば、みんな、同じ「オフェンス」を担う選手なわけですから、
「指標の基」となるものが同じになるのは、当然なのかもしれません。
じゃあ、「似ている」んだったら、同じ計算式で計算してもいいんじゃないか!?
・・・という発想が生まれてきました。
これが「正しい」発想なのかどうかは分かりませんが、
まずは、作るだけ作ってみて、その後、どうしようか考えることにします。
で、そうなってくると、実は足りない項目が1つ出てきまして。
そう、「成功率」です。
そもそも、ランニングバックは、何を持って「成功」というのか。
例えば、「ファーストダウン獲得」というようなものも考えられますが、
クォーターバックやレシーバーは、そんなことお構いなしにパスさえ通れば「成功」ですから、
もうちょっと「成功するもの」の方が良さそうです。
そこで浮かんだのが、「オフェンスラインスタッツ」のときにも登場した概念。
「1ヤードでも前に進めば成功」。
いや、「1ヤードも前に進まなかったら失敗」と書いたほうが、
その意味するところは分かりやすいでしょうか。
「パス失敗」したことと、「ランでノーゲイン」に終わったことって、
結果から見れば同じことになりますしね。(時計が止まるかどうかは置いておいて)
「良いランニングバック」のタイプとして、ビッグプレーをする選手のほかに、
「短い距離を確実に獲得できる選手」というのもあるのではないかと思うのですが、
この「成功率」を用いれば、その選手も高評価することが出来そうです。
うん、悪くなさそうだ。
というわけで。
この「成功率」と「ラン獲得ヤード」「タッチダウン数」「ファンブル数」を用いて、
「QBレーティング」と同じような計算(後述の調整あり)をしてみました。
「ランナーレーティング」。
昨レギュラーシーズンのベスト10は、以下の通り。
順位 | 選手名 | レーティング | ラン回 | 成功回 | 成功率 | ヤード | TD | FUM |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1位 | RB ショーン・アレグザンダー (シアトル・シーホークス) |
109.4 | 370 | 296 | 80.0 | 1901 | 27 | 5 |
2位 | RB ラリー・ジョンソン (カンザスシティ・チーフス) |
109.1 | 336 | 290 | 86.4 | 1759 | 20 | 5 |
3位 | RB マイク・アンダーソン (デンバー・ブロンコス) |
103.7 | 239 | 212 | 88.8 | 1014 | 12 | 1 |
4位 | RB ジェローム・ベティス (ピッツバーグ・スティーラーズ) |
103.1 | 110 | 88 | 80.0 | 368 | 9 | 0 |
5位 | RB テイタム・ベル (デンバー・ブロンコス) |
101.2 | 172 | 141 | 82.0 | 905 | 8 | 3 |
6位 | RB ラデイニアン・トムリンソン (サンディエゴ・チャージャーズ) |
101.0 | 339 | 280 | 82.6 | 1471 | 18 | 2 |
7位 | RB ティキ・バーバー (ニューヨーク・ジャイアンツ) |
100.8 | 357 | 298 | 83.5 | 1864 | 9 | 1 |
8位 | RB ルディ・ジョンソン (シンシナティ・ベンガルズ) |
96.9 | 337 | 282 | 83.7 | 1458 | 12 | 1 |
9位 | RB リッキー・ウィリアムズ (マイアミ・ドルフィンズ) |
96.6 | 168 | 141 | 84.0 | 743 | 6 | 1 |
10位 | RB エジリン・ジェイムズ (インディアナポリス・コルツ) |
96.3 | 360 | 310 | 86.2 | 1506 | 13 | 2 |
どう見えますでしょうか?
僕としては、アレグザンダーたち獲得ヤードの多い選手がそれなりに高い評価をされ、
加えて、ベティスのような一見獲得ヤードが非常に少ない選手も評価され、
「ランニングバック王国」のデンバー・ブロンコスの選手が2人入っているあたりで、
「おおっ、これってかなり良いんじゃないか!?」という手ごたえがあります。
特に、ベティスの上位ランクインで、「QBレーティング」におけるQBベン・ロスリスバーガー、
「レシーバーレーティング」におけるTEヒース・ミラーと合わせ、
各「獲得ヤードランキング」では上位にこなくても、
「パス効率」「レシーブ効率」「ラン効率」の良い選手が揃っていることが、
スティーラーズの強さにつながっていたのではないか・・・なんて考えたりもできそうです。
更に言えば、このランキングにリッキー・ウィリアムズが入っているあたりで、
「してやったり」という気持ちを持っていたりも。
昨シーズン、1試合1試合を見ていると、ウィリアムズは結構活躍していたと思うのに、
ほとんど評価する声は聞こえてこなかったからなぁ。
・・・と、まあ、個人的感情はともかくとしまして。
ちょっと補足しておきます。
まず、「規定回数」ですが、「1試合あたり6回」という計算で、
「ラン96回以上」の選手のみを対象としました。
それから、獲得ヤードが微妙に公式スタッツと異なっているのは、
「ファンブル後」の扱いが異なったりしていることが原因です。
公式スタッツでは、ボールが転がった先の地点までを「獲得ヤード」としていますが、
ここでは、ファンブルした地点までが「獲得ヤード」という扱いです。
他にも、ちょっとした「扱いの違い」はあるかもしれません。
(そういえば、実はレシーバーのときにもあったのですが、これはまた今度書きます)
あと、先ほど書いた「調整」について。
QBレーティングと「同じような計算」をしたのですが、
「同じ計算」をしてしまうと困るのは、
「成功率」と「平均獲得ヤード」の値が、あまりにも異なることです。
「レシーバーレーティング」のときにもちょっと書きましたが、
この計算では、成功率が77.5%を超えると、成功率の評価が頭打ちになってしまいます。
しかし、上記の表を見ても分かるように、
そんな値、みんな超えてしまっています。
これでは、成功率の評価ができません。
調べてみたところ、クォーターバックのパス成功率は平均約60%なのに対し、
このランニングバックの「ラン成功率」は平均約80%でした。
そこで、成功率を計算している箇所で、3/4を乗じる調整を入れました。
平均獲得ヤードについては、逆にランの方がかなり小さい値になってしまうので、
これも、「同じ幅」の計算になるように調整を入れました。
具体的には、「平均獲得ヤードから3を引く」という計算があるのですが、
そこを「平均獲得ヤードを2倍してから4を引く」に変えてあります。
・・・と、まあ、細かい話はこれくらいにして、
以下、全対象選手のランキングを掲載したいと思います。
順位 | 選手名 | レーティング | ラン回 | 成功回 | 成功率 | ヤード | TD | FUM |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
11位 | RB ウォリック・ダン (アトランタ・ファルコンズ) |
95.6 | 280 | 241 | 86.1 | 1406 | 3 | 1 |
12位 | RB フランク・ゴア (サンフランシスコ・49ers) |
94.2 | 128 | 106 | 82.9 | 613 | 3 | 1 |
13位 | RB クリントン・ポーティス (ワシントン・レッドスキンズ) |
94.0 | 352 | 299 | 85.0 | 1526 | 11 | 3 |
14位 | RB コーリー・ディロン (ニューイングランド・ペイトリオッツ) |
92.3 | 209 | 160 | 76.6 | 737 | 12 | 1 |
15位 | RB プリースト・ホームズ (カンザスシティ・チーフス) |
91.6 | 119 | 93 | 78.2 | 451 | 6 | 1 |
16位 | RB トーマス・ジョーンズ (シカゴ・ベアーズ) |
91.2 | 314 | 256 | 81.6 | 1336 | 9 | 2 |
17位 | RB スティーブン・デイヴィス (カロライナ・パンサーズ) |
90.8 | 178 | 144 | 80.9 | 564 | 11 | 2 |
18位 | RB T・J・ダケット (アトランタ・ファルコンズ) |
90.4 | 121 | 97 | 80.2 | 395 | 8 | 2 |
19位 | RB ラモント・ジョーダン (オークランド・レイダーズ) |
89.6 | 272 | 226 | 83.1 | 1037 | 9 | 2 |
20位 | FB デショーン・フォスター (カロライナ・パンサーズ) |
88.5 | 206 | 177 | 86.0 | 882 | 2 | 1 |
21位 | RB マリオン・バーバー (ダラス・カウボーイズ) |
88.3 | 137 | 113 | 82.5 | 539 | 5 | 2 |
22位 | RB ウィリス・マクゲイヒー (バッファロー・ビルズ) |
87.5 | 325 | 270 | 83.1 | 1319 | 5 | 1 |
23位 | RB アトウズ・ピナー (デトロイト・ライオンズ) |
87.4 | 106 | 88 | 83.1 | 359 | 3 | 0 |
24位 | RB ドマニック・デイヴィス (ヒューストン・テキサンズ) |
87.3 | 230 | 193 | 84.0 | 990 | 2 | 1 |
25位 | RB サムコン・ガードウ (グリーンベイ・パッカーズ) |
87.1 | 143 | 112 | 78.4 | 601 | 6 | 3 |
26位 | FB グレッグ・ジョーンズ (ジャクソンビル・ジャガーズ) |
86.9 | 151 | 117 | 77.5 | 575 | 4 | 0 |
27位 | RB フレッド・テイラー (ジャクソンビル・ジャガーズ) |
86.7 | 194 | 152 | 78.4 | 818 | 4 | 1 |
28位 | RB ウィリー・パーカー (ピッツバーグ・スティーラーズ) |
86.0 | 255 | 204 | 80.0 | 1206 | 4 | 4 |
29位 | RB ロニー・ブラウン (マイアミ・ドルフィンズ) |
85.9 | 207 | 169 | 81.7 | 908 | 4 | 3 |
30位 | RB クリス・ブラウン (テネシー・タイタンズ) |
85.7 | 224 | 182 | 81.3 | 904 | 6 | 3 |
31位 | RB アントワン・スミス (ニューオリンズ・セインツ) |
85.7 | 166 | 141 | 85.0 | 671 | 3 | 2 |
32位 | RB キャデラック・ウィリアムズ (タンパベイ・バッカニアーズ) |
85.4 | 290 | 236 | 81.4 | 1185 | 6 | 3 |
33位 | RB ブライアン・ウェストブルック (フィラデルフィア・イーグルス) |
85.3 | 156 | 121 | 77.6 | 608 | 3 | 0 |
34位 | RB スティーヴン・ジャクソン (セントルイス・ラムズ) |
84.5 | 253 | 182 | 72.0 | 1045 | 8 | 2 |
35位 | RB メウェルデ・ムーア (ミネソタ・ヴァイキングス) |
83.8 | 155 | 124 | 80.0 | 677 | 1 | 1 |
36位 | RB ケヴィン・ジョーンズ (デトロイト・ライオンズ) |
83.6 | 186 | 153 | 82.3 | 664 | 5 | 2 |
37位 | RB ジュリアス・ジョーンズ (ダラス・カウボーイズ) |
79.9 | 256 | 196 | 76.6 | 998 | 5 | 3 |
38位 | RB チェスター・テイラー (ボルチモア・レイヴンズ) |
78.2 | 117 | 92 | 78.7 | 487 | 0 | 1 |
39位 | RB ルーベン・ドローンズ (クリーブランド・ブラウンズ) |
77.6 | 309 | 257 | 83.2 | 1246 | 2 | 6 |
40位 | RB カーティス・マーティン (ニューヨーク・ジェッツ) |
77.6 | 220 | 169 | 76.9 | 735 | 5 | 2 |
41位 | RB キーヴァン・バーロウ (サンフランシスコ・49ers) |
76.9 | 174 | 134 | 77.1 | 574 | 3 | 1 |
42位 | RB ジャマール・ルイス (ボルチモア・レイヴンズ) |
73.4 | 268 | 220 | 82.1 | 907 | 3 | 5 |
43位 | RB J・J・アリントン (アリゾナ・カーディナルズ) |
71.2 | 112 | 78 | 69.7 | 370 | 2 | 1 |
44位 | RB マイケル・ベネット (ミネソタ・ヴァイキングス) |
66.1 | 126 | 85 | 67.5 | 474 | 3 | 4 |
45位 | RB マーセル・シップ (アリゾナ・カーディナルズ) |
53.9 | 157 | 106 | 67.6 | 459 | 0 | 4 |
以上。
各チーム、1人か2人ですね。
前に、「ドローンズには良い印象を持っていない」と書いたことがあったのですが、
その「印象」が、数値で裏付けられたように思います。
(世間一般的には評価の高い選手なのでしょうが)
ポーティスは、1500ヤードも走ったにしては低い評価でしょうか。
他にも、マクゲイヒーやパーカー、キャデラック・ウィリアムズなんかも、
このランキングで見ると、比較的低い評価になってますねぇ。
なお、このランキングには、
ファルコンズQBマイケル・ヴィックのような「走るクォーターバック」が入っていませんが、
規定回数に達しているかどうかに関わらず、
クォーターバックは計算の対象外とすることにしました。
実は、その「回数」のカウント自体がクォーターバックは微妙なところだったりするのですが、
そのあたりの補足解説などは、また次回に。
本日は、こんなところで。